【必見】ISMS事故報告の手順と具体例:初心者でもすぐ実践できるポイントを徹底解説!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 3月25日
- 読了時間: 10分

▼ 目次
1. はじめに
1.1. 本記事の目的と想定読者
ISMS(ISO27001)を導入するとき、「事故報告」や「インシデント対応」の仕組みは非常に大切です。実際、インシデントが起きた場合に「どのように報告して、どうやって早期に対処するか」が明確でないと、被害が拡大したり、審査で不適合を指摘されることもあります。
こんな方におすすめ
これからISO27001認証を取得しようとする企業のご担当者
事故報告フローを作りたい初心者、または審査対応で“インシデント管理の不備”を指摘されがちな方
他社の実務例やコンサル経験を参考に、よりよい運用体制を整えたい方
本記事では、事故報告の基本手順から具体例・審査対応のコツまで、初心者がすぐに使えるようにわかりやすくまとめました。
1.2. 事故報告がISMSで重要な理由
リスク低減の要(かなめ): インシデントを早期に発見・報告することで、被害を最小限にとどめられます。
可用性の確保: ISMSの目的は情報資産を安全に扱うことですが、事故報告が遅いと復旧も遅れ、可用性が大幅に損なわれるリスクがあります。
審査にも直結: ISO27001審査では、事故報告やインシデント対応のプロセスが明確で、ログなどの証拠がちゃんと残っているかを厳しくチェックされます。
1.3. この記事で得られるメリット
誰でも実践できる事故報告フローを構築できる
具体例や他社事例を参考に、失敗パターンを回避できる
審査対応のポイントを押さえることで、ISMS認証取得がスムーズに進む
2. ISMS事故報告の基本概念
2.1. 事故(インシデント)とは?
ISO27001では、インシデントを「情報セキュリティに影響を与える出来事」と定義しています。たとえば、
ウイルス感染やランサムウェア攻撃
顧客情報の漏えい、誤送信
サーバー障害や停電などシステム停止
社員の誤操作によるデータ削除…などが該当します。
コンサル経験談: ある小売企業で、ちょっとした電源トラブルが大規模在庫システム障害に繋がり、対策報告が遅れて被害が拡大したことがありました。こうした“ちょっとした”トラブルこそ見逃さずに報告する仕組みが大切です。
2.2. 事故報告の目的
迅速な被害拡大防止: 事故報告が早ければ対策担当者が素早く動き、影響を最小限に抑えられます。
原因分析と再発防止: 報告後、なぜ事故が起きたのかを調べることで、同じミスを繰り返さずに済むよう対策を検討。
外部への責任ある対応: 規制当局や顧客への報告が必要な場合もあるため、報告フローが整備されていれば、企業イメージを損なわずに済む。
2.3. 初心者が誤解しやすい点
“これは報告するほど大きな事故ではないのでは?” → 小さなインシデントが大事故の前兆かもしれないので、原則報告が望ましい
“報告が遅れると責任問題が大きくなる?” → 逆に、早めに報告して対策するほど信頼が保たれます。遅れは被害拡大と評価低下に繋がる場合が多い
3. 事故報告の手順:初心者でもすぐ実践できるステップ
3.1. ステップ①:インシデントの発見・初動報告
誰が見つけても報告OK
インシデントを発見した人が即、ISMS事務局や情報システム部門に連絡
迷わず報告できるよう「インシデント発生時フロー」を社内イントラなどで周知
初動担当者を決める
例:ISMS事務局、セキュリティ委員会、IT管理者など
経験談: ある中小企業では、初動担当を決めておらず「誰に言えばいいかわからない」状態で被害が拡大したケースあり
3.2. ステップ②:被害範囲の確認と情報共有
影響度評価
どのシステム・データが影響を受けた?機密情報や顧客データが含まれる?
社内連絡
管理職や経営層への速報、関係部署へのアラート
プロのアドバイス: 大きなインシデントなら早めの広報検討も必要
3.3. ステップ③:一次対応・応急処置
被害拡大を防ぐ
例:該当PCやサーバーをネットワークから隔離、アカウント凍結、バックアップの保護
ログ確保
復旧に必要な証拠(システムログ、アクセスログ)を確保し、原因追及に備える
3.4. ステップ④:報告書作成と再発防止策の立案
事故報告書フォーマット
発生日時・場所・原因・影響範囲・対応内容・再発防止策などを記録
対策会議
関連部署が集まり、詳しい原因と改善策を検討。責任分担と期限を設定し、取りこぼしを防止
3.5. ステップ⑤:マネジメントレビューや内部監査で振り返り
経営層への報告
重大インシデントなら経営陣に定期的に状況説明し、追加予算や体制強化を検討
PDCAサイクル
事故対応結果を次のリスクアセスメントや管理策見直しに反映→ ISMSがどんどん強化される
4. 事故報告で失敗しないための具体例・運用ヒント
4.1. 報告フローの整備
他社事例: 大手IT企業B社では、全社員に“インシデント発見→チャットツール連絡→ISMS事務局が拾う”という簡易フローを周知。これにより報告漏れが大幅に減少
ポイント: 報告窓口が複雑だと時間ロスが大きいので、できるだけシンプルに
4.2. テンプレート活用
事故報告書テンプレ: 件名、日時、場所、影響範囲、原因分析、暫定対応、今後の対策…など
メリット: 短時間で要点がまとまり、審査員にも“組織的運用”をアピールできる
4.3. 社内訓練とロールプレイ
プロの視点: 定期的にフィッシングメール演習やランサムウェアを想定したロールプレイを実施→ 事故報告手順が本当に機能するかを検証
成功事例: 製造業A社は年2回の“擬似インシデント演習”で社員の報告スピードが上がり、被害が出る前に防げるケースが増えた
5. 運用とコミュニケーション:事故発生時の対応連絡
5.1. 内部との連携:ISMS事務局・セキュリティ委員会
事故情報を一元管理: 重複報告や担当者不明を避けるため、事務局に集中させる
役割分担: 誰が初動対応し、誰が原因調査、誰が経営層報告など明確に
5.2. 外部との連携:顧客・取引先・規制当局
報告義務: 個人情報流出など法的に届出が必要な場合は、早めに法務・管理部門と連携
顧客対応: 二次被害防止や信用保護のため、誠実に状況を伝え、復旧見込みや対策を説明
5.3. 事故報告が社内文化になるための施策
「小さな異常も報告OK」な環境: 責任追及ばかりでなく、改善重視の姿勢
成功事例: あるコールセンターでは、「クレーム対応中に不審メールを受信した」など小さな報告でも事務局が拾い、重大インシデントの芽を早期に潰している
6. 審査で評価される事故報告運用
6.1. ログやレポートの保管
エビデンスが必須: いつ事故が起き、どう対応し、結果どうなったか…ログ・レポートをアーカイブ
コンサル経験談: 大規模IT企業B社はインシデント記録を専用システムで一元管理し、審査員の要求にすぐ提示できて評価が高い
6.2. PDCAサイクルの徹底
Check(監査)→Act(改善): 事故後の再発防止策が実行されているかを監査やレビューで確認
不適合例: 「事故報告は毎回あったが、原因分析・対策実施が曖昧」という場合、審査で指摘されがち
6.3. 事例:短時間で是正報告をまとめ、高評価を受けた企業
背景: 突発的な情報漏えい事故が発生
対策: 事故報告書フォーマットを使用し、即日で暫定対策と再発防止策をまとめ→ 審査員に提出
成果: 経営判断が早く、外部顧客にも誠意ある対応を示せたことでブランドイメージ維持
7. バックアップ・BCPとの関連:事故報告後の対処を円滑に
7.1. バックアップで可用性確保
事故報告後の復旧: フォレンジック調査やセキュリティ対策と並行し、バックアップからのデータリストアで業務を再開
実務例: 製造業A社は毎日差分バックアップをしており、システム障害時も報告直後に復元作業を始め1日で復旧成功
7.2. BCP(事業継続計画)との連携
災害や大事故への対応: インシデント報告からBCP発動までの流れを一連にしておくと、混乱を最小限に
コンサル視点: 金融機関や大手企業は、事故報告とBCP発動プロセスを同じマニュアルで管理していることが多い
8. よくある失敗例と回避策
8.1. 報告が遅れ被害が拡大
原因: 「小さなトラブルだから大丈夫」と判断し、正式報告を先送り
回避策: 迷ったら報告→ 事務局・委員会が迅速に状況判断し、対策部門へ回す
8.2. 報告書だけで終わり、再発防止策が実行されない
原因: 事故後の対策会議で結論は出ても、誰がいつまでに対策するか不明
回避策: 報告書に“担当者”“期限”“評価方法”を明記、事務局や監査でフォローアップ
8.3. 内部監査や審査で証拠不足
原因: 運用ログや復旧記録を残さず、口頭報告のみ
回避策: インシデント発生時のメール・チャットログ、報告書、復旧手順書をデジタル保存しておき、監査で提示
9. Q&A:ISMS事故報告に関する疑問
9.1. 「事故報告は誰が作成すべき?複数人でもOK?」
回答: 基本はインシデントを発見した担当者とISMS事務局やセキュリティ委員会が協力して作成。技術的要素が複雑ならIT部門を巻き込むなど臨機応変に
9.2. 「軽微な事故も全部報告すべき?」
回答: 原則“Yes”。あとから大きい事故だったと判明するケースがあり、報告ハードルを下げておくのが望ましい
9.3. 「外部報告義務はどのタイミングで?」
回答: 個人情報漏えいなら一定人数超過で行政報告が必要、金融の場合は金融庁など…業種・法規制に応じたルールがある。顧客への通知時期もBCPと絡めて明文化
9.4. 「報告書フォーマットはどう作ればいい?」
回答: シンプルに“日時・原因・影響範囲・初動対応・再発防止”あたりが必須項目。自社オリジナルでもOKだが固定化し、社内で統一すると共有しやすい
10. まとめ:ISMSの事故報告とは?選定基準や具体例を詳しく解説!
10.1. 記事の総括:ポイントの再確認
事故報告(インシデント報告)はISMSで非常に重要な仕組み
初心者向け手順: (1)発見・通報→(2)被害確認→(3)一次対処→(4)報告書・再発防止策→(5)振り返り
具体例や運用ヒント: 報告フロー、テンプレ、演習など取り入れれば成功率UP
審査対応: ログやレポート保管を徹底し、PDCAサイクルを回していることが評価される
10.2. 次のアクション:すぐに取り組める実践ステップ
報告フロー策定: 誰がどこに報告するか、最初の窓口を明確に
テンプレ・ツール用意: 事故報告書フォーマット、チャットやチケットシステムなどで管理
演習・教育: 年1~2回は擬似インシデントで報告訓練し、ログや報告精度を高める
定期振り返り: 社内監査やマネジメントレビューで、報告手順に改善点がないか確認
あとがき
事故(インシデント)報告は、企業の情報セキュリティの最前線といえます。些細な異常を見逃さず、素早く報告・対応する文化が育てば、大きな事故やトラブルを未然に防ぐことにも繋がります。本記事で紹介した具体例や手順を参考に、ぜひ自社のISMS運用へ取り入れてみてください。そうすれば、ISMS審査での不備も減り、インシデントが起きた際にも被害を最小限に抑えながら、信頼感ある対応ができる企業になれるはずです。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
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