ISMSリモートワークの規定・ルールを具体例で解説!初心者でもすぐ導入できる実務ガイド!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 3月25日
- 読了時間: 9分

▼ 目次
1. はじめに
1.1. 本記事の目的と想定読者
リモートワークや在宅勤務が普及するなか、「ISMSを導入したいけれど、リモートワークでのセキュリティ管理が難しい…」という声が増えています。本記事では、**ISMSの規格(ISO27001)**を前提にしながら、リモートワークに適用する際の規定やルールづくりのポイントをまとめました。
こんな方にオススメ
はじめてISMS認証を取得する中小企業・スタートアップの担当者
リモートワーク中のセキュリティ事故や審査不備を防ぎたい管理者
具体的な実務例や失敗事例を知って、運用をスムーズにしたい方
1.2. リモートワークが拡大する背景とISMSの重要性
コロナ禍以降の常態化: 多くの企業が在宅勤務やテレワークを急速に導入。場所を問わない働き方が当たり前に
セキュリティリスクの増大: 社外ネットワークへの接続や、個人PC利用による情報漏えいリスクが上昇
ISMS導入のメリット: リモートワークでも適切なセキュリティ管理を行うための仕組み(規定・ルール)を作ると、顧客や取引先からの信頼度がアップ。内部不正や事故の予防にも効果的
1.3. 本記事で得られるメリット
リモートワークに合わせたISMS規定づくりの流れが分かる
具体的ルールや事例を参照し、初心者でもすぐに実行できる
審査対応で押さえるべきポイントを理解し、スムーズなISO27001認証取得をサポート
2. ISMSリモートワーク規定・ルールの基本概念
2.1. ISMSとリモートワークの関係
ISMSは組織がもつ情報資産(データ、システム、ノウハウなど)を守る管理システムです。リモートワークでは、
オフィス外からのアクセス
自宅やカフェなど不特定環境での作業が増えるため、情報漏えいや不正アクセスのリスクが高まります。
2.2. リモートワーク規定とは何か?
在宅勤務や出先業務で守るべきセキュリティルールのこと
例:使用できるデバイスやVPN接続の強制、データの扱い方、外部Wi-Fi使用の可否などを規定化
コンサル経験談: 曖昧な規定のまま在宅勤務を開始した企業は、社員ごとにバラバラのやり方をしてトラブルに発展しやすい
2.3. 初心者が押さえるポイント
端末・ネットワーク対策: 会社支給PCかBYOD(私物PC)か、VPN必須など
データ保護: ファイルのやり取り、印刷物の扱い、外部ストレージの禁止・制限など
インシデント報告フロー: リモート下で異常を発見したらどう連絡し、誰が初動対応するか
3. 規定・ルールを導入するメリット
3.1. 情報漏えいリスクの大幅低減
プロの視点: テレワーク中の機密ファイル誤送信や、公共Wi-Fi経由でのハッキング被害など、実際に増えている
ルール化で社員が一貫したセキュリティ対策を取りやすくなり、事故率を下げる
3.2. 顧客・取引先への信頼感向上
他社事例: 製造業A社は取引先の海外企業からセキュリティ対策を問われた際、リモートワーク規定を示したところ「しっかり管理している」と評価が上がり契約拡大
3.3. 社員が安心してリモートワークを行える環境
明確な規定があれば「これを守ればOK」という安心感を社員が得られ、業務効率を落とさずにリモートで働ける
4. リモートワーク規定導入のステップ:初心者向け解説
4.1. ステップ①:リスクアセスメントと適用範囲
どの業務・部署で在宅を行うか、どの情報資産が扱われるかを棚卸し
ISMSの適用範囲(在宅勤務者含むのか、海外拠点にも適用か)を明確に
4.2. ステップ②:必要なセキュリティ要件の整理
端末管理: 社内PCor私物PC、OS更新やセキュリティソフトの使用強制など
ネットワーク管理: VPN利用、暗号化通信の徹底、パスワード管理
データ送受信: ファイル共有ツール、クラウドストレージの選択ルール、メール暗号化
4.3. ステップ③:ルール策定と文書化
文書例: リモートワーク規程、在宅勤務ガイドラインなど
必須内容: 運用範囲、端末使用方法、データの取り扱い、インシデント報告フロー
コンサル経験談: よくある失敗は「ルールはあるけれど読みにくい」→ わかりやすい言葉と具体例で作る
4.4. ステップ④:運用テストと改善
パイロット運用: まず数名~少数部門で試して問題点を洗い出す
社員教育: 研修やeラーニングでルール徹底。Q&Aサポート体制を整え、疑問を即解決
5. 実務に直結するリモートワーク規定の具体例
5.1. アクセス管理ルール
例: 「在宅から社内サーバーにアクセスする際は必ずVPNと二要素認証を使用する」
用語解説: 二要素認証(MFA)…ID/パスワードに加え、スマホアプリやワンタイムコードを使う方式
5.2. 端末・ソフトウェア管理
会社支給PCのみ使用: OS更新やウイルス対策を会社が一括管理できる
BYODの場合: 私物PCを使うなら、暗号化ソフトや特定のウイルス対策必須、OSバージョン要件を定める
5.3. データ保護と物理セキュリティ
覗き見防止フィルター: 自宅以外で働く時に第三者から覗かれないように
印刷ルール: 個人宅での印刷は基本禁止、どうしても必要なら施錠できる場所に保管&シュレッダー廃棄
USBメモリ利用: 原則禁止、使うなら暗号化USBを限定的に
5.4. インシデント報告
小さな異常も報告: 見知らぬウイルス警告画面や怪しいメールを受け取った時点で連絡
テンプレート: 事故報告書フォーマット(日時、場所、内容、影響範囲など)を社内ポータルで入手しやすくする
6. 審査で評価されるリモートワーク規定の扱い方
6.1. 文書化と周知状況
審査員の注目: 規定が“きちんと書かれているか”“社員が理解・実践しているか”
実例: IT企業B社は、在宅勤務ガイドとQ&A集をイントラ公開&年1回全社員研修→ 審査で「周知徹底が良好」と評価
6.2. モニタリングと改善サイクル
内部監査: リモートワーク規定どおりに運用されているか、PCログやアクセス権限をサンプルチェック
マネジメントレビュー: 新たなリスク(海外拠点や新ツール導入)が増えた場合、ルール更新を議題に
7. 他社事例:リモートワーク規定を整備して成功したケース
7.1. 製造業A社:海外拠点との遠隔協力体制を安全化
背景: コロナで海外出張不可。VPNや英語版ガイドラインを準備したが、ルールが曖昧で混乱
対応: ISMSの適用範囲に海外拠点の在宅勤務者も含める。英語版の在宅勤務規定を整備+研修実施
成果: 意識統一ができ、セキュリティ事故が減少。審査でも「海外拠点との連携含め良好」と評価
7.2. サービス業B社:BYODでコスト削減・セキュリティ両立
手法: 個人PC使用を認める代わりに、OSアップデート必須・ウイルス対策ソフト・VPN接続を義務化
成功要因: ポータルサイトで設定手順をわかりやすく解説し、ITサポート体制を強化
審査結果: 「リスクを認識し、対策を具体的に実践している」と高評価
7.3. 金融機関C社:物理的セキュリティ+電子データ管理で完璧対応
内容: 在宅でも鍵付き書棚、紙書類最小化、デスクトップロック推奨、システムログ監査の強化
効果: 社員満足度も高まり、離職率が低減。外部監査や顧客監査でも「厳格な管理」と好印象
8. 失敗事例と回避策
8.1. 曖昧な規定で社員が混乱
原因: 「在宅勤務はVPNを使うこと」程度のざっくりしたルールのみ
回避策: 具体的なPC設定、会社データの扱い方、禁止事項まで明記し、Q&Aリストを用意
8.2. オフィスと同じ運用を想定しすぎて実行不能
原因: 自宅のネットワーク事情や通信環境を考慮せず、高度なセキュリティ機器を要求→ 社員が対応できない
回避策: 現実的なリスク・コストを検討し、徐々にセキュリティレベルを上げるアプローチ
8.3. 更新・改訂が追いつかず審査で指摘
原因: リモートワーク対象部署が増えたり、新ツール(チャット、クラウド)を導入しても規定未改訂
回避策: 内部監査やマネジメントレビューで定期的にルールの適正化を実施し、文書更新を忘れない
9. Q&A:ISMSリモートワーク規定・ルールに関する疑問
9.1. 「在宅勤務と出張先勤務は同じルールでいい?」
回答: 原則は似た考え方(社外勤務)だが、カフェやホテルWi-Fi利用のリスクが高い分、VPN強制や画面覗き見防止策など強めに設計するのがおすすめ
9.2. 「BYODを完全禁止にしなきゃダメ?」
回答: リスクは高いがコスト面や社員の利便性を考慮し、一部要件(暗号化、セキュリティソフト必須)を守る形でOKとしている企業も多数。社内でリスク評価を行い、合理的に決定
9.3. 「リモートワーク時の紙資料はどう管理すればいい?」
回答: 個人宅での印刷は極力避ける、許可が必要な場合は施錠できる棚に保管し、不要時はシュレッダーor焼却など物理セキュリティルールを明記
9.4. 「海外からアクセスする場合、追加のルールは必要?」
回答: 国際的なデータ保護法や地域規制(GDPRなど)があるため、VPN経由や多要素認証の強化などが多い。国際回線利用時の速度・通信品質リスクも考慮
10. まとめ:ISMSリモートワークの規定・ルールを具体例で解説!初心者でもすぐ導入できる実務ガイド
10.1. 記事の総括:ポイントの再確認
リモートワークの拡大でセキュリティリスクが高まり、ISMS規定がより重要
ルール策定ステップ: (1)リスク評価→(2)必要要件整理→(3)文書化→(4)研修・運用テスト→(5)監査・改善
具体例: VPN必須、端末管理、暗号化、印刷制限、インシデント報告フローなどを分かりやすく定義
審査対応: 文書やログを残し、運用状況を証明。PDCAサイクルで定期的に更新
10.2. 次のアクション:すぐ取り組める導入フロー
現状把握: 在宅勤務者の数やツール、デバイスをリストアップ
リスクアセスメント: 外部Wi-Fi利用、デバイス紛失、個人情報漏えいなど具体的なリスクを想定
規定作成・文書化: 必須項目(アクセス制御、端末ルール、インシデント報告など)を簡潔に
社員教育・モニタリング: 研修やQ&A整備、内部監査で実施状況を確認し、問題点を改善
あとがき
リモートワーク時代には、オフィス外で業務を行うことで生じる新しいリスクと向き合う必要があります。ISMSの規定やルールを整備することで、社員が安心して在宅勤務を行いながら、**顧客や取引先にも「しっかりセキュリティ対策している企業」**と評価されやすくなります。本記事の具体例やステップを参考に、自社の規模や業種に合わせて柔軟に運用してください。最初は少し負担が増えるかもしれませんが、適切な運用ルールを作り、社員が慣れれば、安全性と生産性の両立が可能です。ぜひ、ISMS審査でもスムーズに合格し、リモートワークを強みにしたビジネス展開を目指しましょう。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
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