システム開発でもISO9001を取得できる!導入のポイントと成功事例をわかりやすく紹介!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 2 時間前
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▼ 目次
1. はじめに
1.1. 本記事の目的と想定読者
ISO9001は品質管理の国際規格というイメージが強く、製造業向けと思われがちですが、システム開発においても活用できます。プロジェクト管理やソフトウェアの品質保証を整えるためには、プロセスを明確化し、顧客の要求をしっかり満たす仕組みが必要です。
この記事はこんな方におすすめ:
システム開発会社やIT企業でISO9001導入を検討中だが、具体的メリットや導入手順が分からない方
「ソフトウェア開発にもISO9001が本当に役立つの?」と疑問を持つ管理者や担当者
実際に取り組んだ企業の成功事例や失敗を防ぐポイントを知りたい方
1.2. システム開発でもISO9001が必要?その理由とは
ソフトウェアは「目に見えない商品」です。変更やバグが起きやすく、トラブルや納期遅延に悩む企業が多いですよね。ISO9001を導入すると、リスクベース思考でバグや納期遅延を事前に防ぎ、プロジェクト管理や顧客満足度向上を体系的に実現できます。大手企業や海外取引先との案件獲得にも有利になるため、競合との差別化としても注目されています。
2. システム開発でISO9001を取得するメリット
2.1. 取引先との信用度アップ
大手企業や海外の取引先では、ISO9001認証を取っているかどうかを評価基準にする場合が多いです。
他社事例: ISO9001を取得したITベンダーが、今まで縁がなかった大手企業からRFP(提案依頼)を受け、受託案件の規模が拡大。
2.2. プロジェクト管理の標準化と効率化
要件定義からテスト、リリース、保守までの流れが明確化され、担当者任せの管理から脱却できます。
コンサル視点: 開発工程でのチェックリストやレビューのルールが全プロジェクト共通化し、不具合や漏れが減少→ 開発チーム同士でノウハウ共有もしやすい。
2.3. リスクベース思考でバグや納期遅延を抑止
“バグが多い”“要件変更が頻繁”などのリスクを可視化して、重要度の高い対策から取り組む文化が根づく
メリット: バグ対応の工数や修正費を削減でき、顧客からのクレーム対応に追われる時間が大幅減
2.4. 社内意識改革と従業員モチベーション向上
開発担当やテスターだけでなく、営業やサポート部門も品質向上に貢献→ 全社横断のチームワークが向上
実例: ISO9001導入を機に“品質ミーティング”を定期開催→ 新人〜ベテランまでアイデアを出し合う場ができ、離職率の低下につながった
3. 導入のポイント:システム開発におけるISO9001適用の特徴
3.1. ソフトウェア開発プロセスとの連携(ウォーターフォール・アジャイルなど)
ISO9001は「これを使え」と開発手法を指定しませんが、ウォーターフォールでもアジャイルでも、品質マネジメントの仕組みが必要
具体例(アジャイル): スプリントごとに“品質リスク”と“テスト項目”をチェックリスト化→ 不具合を早期に発見し、改善サイクルを高速で回す
3.2. 要件定義や仕様変更管理がカギ
システム開発では、要件がしょっちゅう変わるケースが多い→ 変更管理の手順をISO9001で文書化
プロのアドバイス: “誰が変更を承認し、どのドキュメントを修正するか?” “影響範囲をどうテストするか?”をハッキリ決めるとトラブル激減
3.3. テスト工程と品質保証の文書化
単体テスト、統合テスト、受入テストのフローを明文化→ スキップや抜け漏れをなくす
成功例(IT企業A社): テストプロセスをガイド化し、レビュー担当を明確に配置→ バグ対応時間が半分に減り、納期遵守率が上昇
3.4. 運用・保守フェーズまで含めた顧客満足管理
リリース後の障害対応やパッチ適用フローを明文化し、SLA(サービスレベルアグリーメント)との整合性を確認
メリット: 顧客が“何をいつまでに対応してもらえるか”を安心でき、サポート満足度が向上→ リピーター増加
4. 成功事例:システム開発企業がISO9001を取得したケース
4.1. 事例①:受託開発メインのソフトハウスB社
背景: 納期遅延が当たり前、バグ修正費が膨れ、顧客からクレーム続発
導入: ISO9001を適用し、要件定義〜テスト〜リリースの標準工程を整備→ “変更管理の承認フロー”を社内システム化
結果: 納期遅延率5%→1%に激減、顧客評価が向上→ 大手クライアントとの長期契約増
4.2. 事例②:自社パッケージ開発のITベンダーC社
問題: 顧客ごとのカスタマイズ要望が増え、バージョン管理やテストが混乱→ バグ対応コストが拡大
改善: ISO9001で“リスクベース思考”を取り入れ、重要機能に集中テストを設定+ カスタマイズフローを文書化
成果: バグ報告が3割減少し、顧客サポートの工数を新規開発に回せた→ 売上増&顧客満足度UP
5. 失敗しないコツ:システム開発におけるISO9001導入でありがちな落とし穴
5.1. 形だけ文書化して運用されない
プロジェクトによって“実は独自のやり方”がまかり通ってしまう→ 内部監査で大量の不適合が出る
対策: 定期的に全開発チームへ教育&内部監査→ 文書と実際をすり合わせ
5.2. 開発メンバーの抵抗感が強い
“書類作業が増えて開発スピードが落ちる”という不安→ 成果を見せないとモチベ低下
コンサルTIP: 小さく始めて、バグ削減や納期守れるメリットを体感→ 自発的に“品質管理いいね”という空気に
5.3. サプライヤー評価や外部委託先の管理が手薄
外部ライブラリや下請けに丸投げ→ 連携ミスや品質問題で本プロジェクトが巻き込まれる
事例(ITベンダーD社): 下請け先の財務リスクを見落とし倒産→ 納期どころかプロジェクト白紙→ ISO9001で仕入先リスクチェック導入し再発防止
6. どう導入効果を高める?PDCAを回し続けるポイント
6.1. 定期的なマネジメントレビュー
経営者やプロジェクトリーダーが“バグ件数や納期遅延率、顧客クレーム”を定期チェック→ 早期に問題箇所を修正
他社例: 毎月レビュー会議で各PJの品質数値を共有→ トラブル防止策を全PJに展開し品質底上げ
6.2. 内部監査の活性化
部署間、PJ間で相互に監査→ “別のチームのやり方”を学ぶチャンスにも
メリット: 外部審査前に問題を洗い出し、指摘を最小限に抑えコスト削減
6.3. クレーム・不具合のナレッジ化
バグやトラブルを隠さず共有→ “こういう対処をした”“再発防止策は何か”を蓄積
成功例: ある企業はバグデータベースを作成→ 同じ問題の二度発生を阻止し、開発コスト削減
7. まとめ:システム開発でもISO9001を取得できる!導入のポイントと成功事例をわかりやすく紹介
7.1. 記事の総括:ポイントの再確認
システム開発でISO9001が有効な理由: バグや納期遅延などのリスクを管理、顧客満足度UP、取引先信用度向上
導入メリット: (a)プロセス標準化 (b)バグ・クレーム抑止 (c)社員意識改革 (d)大手・海外取引獲得
導入の特徴: 開発手法(アジャイル・ウォーターフォール)に合わせた品質管理、仕様変更管理やテストプロセスの明確化
成功事例: (1)受託開発B社→ 納期遅延・バグ率激減 (2)パッケージ開発C社→ 変更管理でトラブル減
失敗しないコツ: 文書化だけでなく運用定着、開発メンバーの抵抗軽減、外部委託先の管理
PDCAで継続向上: 定期レビュー、内部監査、ナレッジ化で常に進化
7.2. 今すぐできるアクション:初心者が意識すべきポイント
自社開発フローを可視化: 現場で勝手にやっている工程を整理
品質目標と数値指標設定: バグ発生率、納期遵守率、クレーム率など
手順書の作成と全員教育: 要件管理やテスト工程をルール化→ OJTと内部監査で徹底
リスクベース思考でサプライヤーや外部委託先をチェック
PDCAで運用改善: 毎月or毎スプリントで問題を見直し、改善策を即実施
あとがき
システム開発企業でも、ISO9001を導入すれば開発プロセスや品質保証の仕組みを整えられ、顧客からの信頼度UPやプロジェクトの安定稼働など大きなメリットがあります。要件や仕様変更が多いIT業界でも、リスクベース思考や変更管理のルールをしっかり作れば、バグやクレーム対応に追われる時間を減らし、新たな機能開発に集中できるでしょう。
本記事でお伝えした導入のポイントや成功事例、失敗を防ぐコツを踏まえ、まずは現行の開発フローの見直しや品質方針の明確化、メンバーの教育を進めてみてください。内部監査やマネジメントレビューで改善を続ければ、外部審査でも合格しやすくなり、ISO9001による持続的な品質向上とビジネスの拡大が期待できます。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている