ISMSとPマークの違いをわかりやすく解説!取得メリット・難易度・費用・運用の選び方を徹底比較
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 3月19日
- 読了時間: 12分

▼ 目次
1. はじめに
1.1. 記事の目的と想定読者
本記事では、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム) と Pマーク(プライバシーマーク) の違いを知りたい企業担当者向けに、両制度の特徴や取得メリット・難易度・費用、運用の選び方などを分かりやすく徹底比較します。
想定読者
これからセキュリティや個人情報保護の認証取得を検討している担当者
「ISMSとPマークどちらを取るべきか」迷っている管理職
すでにどちらかを導入しているが、もう一方の認証取得も検討している企業
1.2. なぜISMSとPマークの違いが重要なのか?
導入の目的が異なるため、どちらを選ぶかによって運用範囲やコスト、得られる信用度が変わります。
取引先からの要求や自社ビジネスの特徴によって最適な制度は異なるので、両制度をよく理解することが重要です。
コンサル視点: 過去に「Pマークで十分だと思っていたが、情報セキュリティ全般を問われISMSが必要だった」「ISMSだけでいいかと思ったら個人情報保護の要求が厳しくPマークを追加取得した」という事例も多くあります。
1.3. 本記事で得られるメリット(メリット・難易度・費用・運用の選び方 など)
ISMSとPマークの目的・範囲・取得メリットの違いを網羅的に理解できる
審査や運用の難易度、導入費用の目安を把握し、自社に合った選択がしやすくなる
他社事例から、両方取得または片方だけ導入する場合の実際の運用イメージを得られる
コンサル活用の有無を含め、最適な導入シナリオをイメージできる
2. ISMSとPマークの基本概要
2.1. ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とは?
ISMS: ISO27001という国際規格に基づき、情報資産(紙・電子データ・口頭情報など)全般を守る仕組み
守備範囲: 個人情報に限らず、企業の重要データやシステム、ネットワークなどを含む
目的: リスク評価や管理策(附属書Aなど)を通じて、機密性・完全性・可用性を継続的に保護
2.2. Pマーク(プライバシーマーク)とは?
Pマーク: JIPDEC(一般財団法人日本情報経済社会推進協会)が運営する制度。個人情報保護に関するマネジメントを認証する仕組み
守備範囲: 個人情報に特化し、事業者が適切に個人情報を扱っているかを評価
目的: 個人情報保護法など法令を踏まえ、事業者が「個人情報をきちんと管理しています」と示すためのマーク
2.3. それぞれの制度が目指す目的・守備範囲(情報セキュリティ vs 個人情報保護)
ISMS: 全社的なセキュリティリスクの低減を目指す
Pマーク: 個人情報を厳格に管理し、消費者や取引先に「個人情報が安全」とアピールする
コンサル視点: BtoB取引が多い企業はISMSを優先しがち、BtoC中心ならPマークがあると顧客安心度が高まることが多い
3. 主な違い:目的・範囲・対象となるリスク
3.1. ISMSがカバーする広範な情報資産とセキュリティリスク
範囲: 個人情報に限らず、企業の知的財産、顧客情報、設計データ、サーバー・ネットワーク構成など
リスク例: 不正アクセス、ウイルス、物理的破損(災害)、内部不正など多岐にわたる
3.2. Pマークが焦点を当てる個人情報・プライバシー保護の重要性
守備範囲: 顧客の個人情報、従業員の個人情報、取引先や応募者情報 など
トラブル例: 個人情報が流出すると社会的信用を失い、賠償リスクが大きい→ Pマーク取得で消費者・取引先に対する安心感を高める
3.3. 他社事例:ISMSは全社的な情報保護、Pマークは個人情報特化で使い分けるケース
事例: システム開発会社がISMSを取得し、金融系顧客の要求をクリア。一方で、BtoCで個人情報を扱うEC企業がPマークで信用アップ
コンサル談: 企業によっては「個人情報だけでなく他の機密データも保護したい」→ ISMSがより合致
4. 取得メリットと導入効果:ISMSとPマークでどう変わるか?
4.1. ISMS取得のメリット(取引先信用向上、社内セキュリティ文化醸成 など)
取引先: 大手やグローバル企業と取引する際に要求されやすい→ 受注機会拡大
内部効果: 社員全体がセキュリティ意識を高め、インシデントリスクを下げる→ 経営リスクを抑える
4.2. Pマーク取得のメリット(個人情報保護に関する対外的信用、BtoC取引での信頼度アップ)
顧客安心: BtoCビジネスで「個人情報をしっかり管理しています」と示すと購買意欲や信頼が向上
競合優位: 同業他社が取得していない場合、差別化のアピールポイントに
4.3. 他社事例:両方取得している企業の声(顧客への訴求力が高まった、リスク軽減)
事例: ITサービス会社がISMSで広範な情報保護、Pマークで個人情報保護を強調→ 新規顧客獲得&既存顧客の信頼度上昇
コンサル談: リスク評価の範囲が広くなるが、認証取得の相乗効果は大きい
5. 難易度と審査の違い:どちらが大変?どんな準備が必要?
5.1. ISMSの審査プロセス(ステージ1・2、サーベイランス など)
手順: ステージ1(文書審査)→ ステージ2(現場審査)を経て認証取得。認証後も年1回の監視審査(サーベイランス)がある
コンサル視点: 全社的なリスクアセスメントや管理策(附属書A)整備が鍵。IT以外の部門も多く関係
5.2. Pマークの審査手順(書類審査、現地審査、更新審査)
運営団体: JIPDECやプライバシーマーク付与事業者が審査→ 書類審査→ 事業所訪問審査で個人情報管理の実態を確認
更新: 2年ごとに更新審査を受け、継続して基準を満たすかチェック
5.3. コンサル視点:独力での取得難易度や人員・工数の目安
ISMS: 組織規模や情報資産数が多いほど文書や管理策が膨大→ 6か月~1年かかるケースが一般的
Pマーク: 個人情報に特化しているが、個人情報のフロー把握やルールが煩雑になる場合がある→ 数か月~半年ほどの準備期間が多い
5.4. 成功事例:最初はPマークのみ→ その後ISMSに拡張した企業
事例: 小規模ECサイト運営でPマークを取得→ 取引先から「システム全体のセキュリティも整備してほしい」と要望があり、後からISMSも導入
効果: 個人情報保護に加え、サーバーやネットワーク全般まで対策範囲が広がり信用力UP
6. 導入・運用コスト比較:費用だけで選んでは危険?
6.1. 取得費用・審査費(ISMSとPマークそれぞれの平均相場)
ISMS: 企業規模や適用範囲で審査費は数十万~100万円台が多く、文書作成や内部監査工数など社内コストも大
Pマーク: 企業規模や個人情報取り扱い量で審査費が変動。中小企業で数十万円~
コンサル視点: 導入初期の文書整備にかかる人件費や機会損失も見込む必要がある
6.2. 文書作成・コンサル依頼などの社内外コスト
例: コンサルに依頼すれば短期導入が可能だが、数十~数百万円の費用。自力だと工数が大きく本業に影響
注意: 費用だけでなく、導入スピードや専門ノウハウの有無によるリスクも考慮
6.3. 運用コスト(年次サーベイランス、更新審査、内部監査、社員教育 など)
ISMS: 毎年または半年ごとにサーベイランス審査あり。内部監査も年1回以上必須
Pマーク: 2年ごと更新審査、日頃の運用記録が必要
共通: 教育・監査・マネジメントレビューなど継続的な費用が発生
6.4. 他社事例:コストと効果を両面評価して最適な制度を選んだケース
事例: 製造業E社が当初ISMSを検討→ しかし個人情報保護を強化すれば取引先との契約が有利になると判明→ Pマークを先に取得し成果を上げた
7. 運用の選び方:ISMS優先か?Pマーク優先か?両方取得か?
7.1. 自社のビジネス特性・顧客要求から見る適切な選択
BtoBで機密データやシステム保護が求められるならISMS
BtoCや個人情報保護の訴求が重要ならPマーク
コンサル談: 顧客・業界要求に合わせて導入順を決めるとスムーズ
7.2. BtoB取引がメインの場合(ISMSの信用度 vs 個人情報保護)
ISMS: 大手や海外企業からの評価が高い。取引先の要求仕様に合致しやすい
Pマーク: 個人情報をあまり扱わないBtoB企業には必須度が低いかもしれない
7.3. BtoCビジネスの場合(Pマークの対顧客アピール効果)
ECサイト・通販企業: 「Pマーク取得」で個人情報保護を明示→ 消費者が安心
例: 顧客問い合わせやクレジットカード情報を扱うコールセンター業務でもPマークが有効
7.4. 他社事例:両方取得のメリットと負担を両立させた運用
事例: ITサービス会社がISMSで全社的情報保護、Pマークで顧客個人情報の保護をさらに強化→ 受注拡大
負担: 監査や審査が増えるが、文書の一部を共通化し効率的に運用
8. 具体的導入シナリオ:ISMSからPマーク、またはその逆
8.1. 先にISMSを取得し、その後Pマークを追加取得する手順
手順: 全社的な情報セキュリティ体制を整え→ 個人情報保護マニュアルを強化→ Pマーク審査では既存ドキュメントを再利用
メリット: ISMSのリスク評価がベースになり、Pマーク導入が簡単に
8.2. 先にPマークを取得し、その後ISMSを拡張する手順
手順: 個人情報保護体制を先に構築→ 成果を踏まえ、システム全般のセキュリティに範囲拡大→ ISMS審査を受ける
注意: ISMSでは個人情報以外の機密データも含めたリスク評価が必須
8.3. 統合的なマネジメントシステムとして運用し、審査負担を下げる例
事例: 大企業F社がISO9001(品質)・ISO27001(セキュリティ)・Pマークを一体化→ 統合マニュアル&内部監査で作業効率アップ
コンサル視点: 導入時にやや複雑だが、長期的には監査や文書管理の手間を削減
9. よくある疑問・誤解:ISMSとPマークの運用に関するQ&A
9.1. 「ISMSがあればPマークは不要?逆にPマークがあればISMSは要らない?」
回答: 目的が異なるため、“ISMSで個人情報もカバーできる”かもしれないが、Pマークは個人情報特化で“対消費者アピール”に強い→ ビジネス特性で判断を
9.2. 「小規模企業でもISMSとPマーク両方取れる?」
回答: 可能だが、コストと工数が大きい。小さな企業ではまずどちらか重要性が高い方を取得し、余力があれば追加を検討
9.3. 「審査基準が被っている部分があるが、ダブルで見られる?」
回答: 一部、個人情報保護策など重なる部分があるが、審査機関や制度が別→ 審査自体は各制度で行われる
TIP: 文書や運用を共通化し、負担を軽減する企業が多い
9.4. 「どちらかを先に取得すると、もう一方が取りやすくなる?」
回答: ある程度の管理体制やリスク評価手順が整うので、2つ目の認証導入は比較的スムーズ→ 必要書類をアレンジするだけでよいケースもある
10. コンサル活用:ISMS・Pマーク取得における効率化のポイント
10.1. コンサル企業が提供する支援内容(ギャップ分析、文書作成支援、模擬審査 など)
具体例: リスク評価ワークショップ、適用宣言書作成サポート、内部監査代行、審査員とのやり取り支援など
メリット: 専門ノウハウによる短期導入と不適合リスクの最小化
10.2. 短期導入でコスト最適化を狙う際のノウハウ
方法: テンプレートや既存マニュアルの流用、内部監査はコンサルが代行→ 社員は本業に集中
コンサル談: 中小企業では特に工数が圧縮され、導入成功率が高まる
10.3. 成功事例:コンサルに部分的依頼し、工数を半分に抑えた企業
事例: サービス業G社がISMSを自力で着手→ 書類整備で行き詰まり→ コンサル部分導入→ ステージ1を一発合格
結果: トータルの費用は抑えつつ、社員の負担も軽減
10.4. 注意点:コンサル丸投げでノウハウが社内に残らないリスクと対策
解説: 社員が内容を理解せず形だけ導入→ 運用や更新審査に苦労する
対策: コンサルと共同作業し、文書や手順を“社内が主体で運用できる形”に仕上げる
11. 導入成功事例:ISMSとPマークを効果的に使い分けた企業の実例
11.1. 製造業A社:BtoB向け大手との取引にISMSを活用、社内データ保護も強化
背景: 取引先がISMS認証取得を条件として要求→ 1年弱でISMS導入
効果: 企業信用度が上がり、契約がスムーズに。内部でもサーバーやネットワークの保護意識が定着
11.2. サービス業B社:個人情報を多く扱うためPマークを先に取得→ その後ISMSに拡張
内容: 顧客の個人情報を大量に扱うコールセンター→ Pマークで信用を得つつ、全社的セキュリティも重要になり、次にISMS導入
利点: 結果的に「個人情報+全社情報」という広い範囲をカバー
11.3. IT企業C社:両方取得で顧客基盤を広げ、海外取引にも対応可能に
例: 国内向けの個人情報保護にPマーク、海外向け大手企業へのアピールにISMS→ 幅広い顧客ニーズに応えられる
コンサル視点: 審査コストは増えるが、売上拡大やリスク低減効果が高い
12. まとめ:ISMSとPマークの違いをわかりやすく解説!取得メリット・難易度・費用・運用の選び方を徹底比較
12.1. 記事の総括:自社の業務・取引先要求から適切な制度を選択する
要点: ISMSは情報資産全般の保護、Pマークは個人情報保護に特化
選び方: BtoBならISMSが有力、BtoCならPマークがアピールに有効→ 両方導入する企業も多い
12.2. まずはリスクとコストを冷静に評価→ 必要ならコンサル活用で効率化
手順: 自社が抱えるデータや顧客要求を整理→ 必要な対策範囲を決定→ 片方 or 両方導入を決める
コンサル: 専門家の支援で短期導入&不適合リスクを下げる
12.3. 最後のメッセージ:両制度を理解し、最適な運用で組織の信頼度をアップしよう
結論: ISMSとPマークをうまく使い分け、セキュリティ・プライバシー保護の双方を高めれば、取引先・顧客からの信用度が格段に上がる→ ビジネスチャンス拡大とリスク低減を同時に達成
おわりに
ISMSとPマークのどちらを取得すればよいかは、自社のビジネス内容や取引先の要求に大きく左右されます。
ISMSは情報資産全体の保護が必要な企業に向き、Pマークは個人情報保護を強く訴求したいBtoCビジネスで効果的です。
両方導入する企業も増えており、適切に組み合わせることで外部審査や顧客からの信用度を高めることができます。
それぞれのメリット・難易度・費用を見極めた上で、コンサル活用などを検討し、自社に最適なセキュリティ認証を選んでください。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
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