ISO9001のスキルマップとは?作り方の手順と具体例をわかりやすく解説!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 2 時間前
- 読了時間: 7分

▼ 目次
1. はじめに
1.1. 本記事の目的と想定読者
ISO9001を導入・運用する企業の中には、社員やチームのスキルを体系的に整理し、品質マネジメントに活かしたいと考えるところが多いです。しかし「スキルマップって具体的にどう作るの?」と疑問を抱く初心者の方も多いのではないでしょうか。
この記事で分かること:
ISO9001で求められる“力量の管理”とスキルマップの関係
スキルマップの作り方をステップごとにわかりやすく解説
コンサルタント視点&他社事例をもとに、実務ですぐ使えるヒントが得られる
想定読者は、ISO9001で「組織の力量管理」のパートに取り組む経営者・品質担当者・人事担当者の方で、「スキルマップがうまく作れない…」と感じている初心者のみなさんです。
1.2. ISO9001で“スキルマップ”がなぜ重要?
ISO9001では、製品やサービスの品質を保つうえで**「必要な力量」**を明確化し、適切に教育や配置を行うことが求められます。スキルマップを使うと、誰がどのスキルを持ち、どの業務に適しているかを一目で把握できます。
メリット: クレームや不良を未然に防ぎ、正しい人材配置や教育計画で品質を底上げできる
2. ISO9001におけるスキルマップの位置づけ
2.1. 力量の管理(7.2)の要求事項
ISO9001の**7.2(力量)**では「組織は必要な力量を明確にし、適切な教育や訓練を行い、それを評価しなければならない」と規定。
コンサルTIP: スキルマップは“必要な力量”を可視化し、現状の社員スキルとのギャップを把握するのに最適
2.2. スキルマップが果たす役割
可視化: 各社員が持つスキルや習得度を一覧で見られる→ 人材配置や教育計画の判断材料
品質向上: 適切な人材が適切な工程を担当→ クレームや不良を減らす
実務例(製造業A社): 製造ラインごとに必要スキルをマップ化→ 未習熟者には先輩がOJT→ 不良率15%減
2.3. 他の要求事項との関連
7.1.2(人的資源)や7.3(認識)などでも、人材や意識改革の重要性が述べられている
ポイント: スキルマップだけ作って満足するのではなく、実際の教育計画や業務配置に落とし込むことが大切
3. スキルマップの作り方:基本ステップ
3.1. ステップ1:必要なスキル項目を洗い出す
業務内容(製造・設計・顧客対応など)をリスト化
その業務に必要なスキル(知識・資格・経験レベルなど)を明確に
例: 製造ラインなら「図面理解」「溶接技能」「安全基準知識」など
3.2. ステップ2:各社員のスキルレベルを評価
レベル設定: 例えば1〜5段階評価やA〜C評価など、分かりやすい区分を決める
コンサルTIP: 評価基準を客観的に決め、自己申告+上司評価の両面から判定するとトラブルが少ない
3.3. ステップ3:一覧表(マトリックス)化して可視化
社員一覧×スキル項目のマトリックスに評価を記載→ 一目で「どの社員がどのスキルを持つか」把握
メリット: 教育・採用の優先度、業務分担を考えやすい
事例(サービス業B社): コールセンターで“クレーム対応力”“製品知識”“PC操作スキル”を行員ごとにチェック→ 教育計画を効率化
4. 実務で活かすポイント:ISO9001“スキルマップ”管理
4.1. 定期的な更新とフォローアップ
スキルは変わる: 新人は成長し、ベテランも新スキルを身につける→ 年1回程度の更新がおすすめ
コンサル経験: アップデートを忘れて形骸化している会社が多い→ 人材配置ミスマッチが発生しクレーム増
4.2. 社内共有・教育の徹底
スキルマップを部門長やリーダーに配布し、誰がどの作業に得意か理解させる
成功事例(製造業C社): スキルマップによる“多能工化”を推進→ 繁忙期に人手不足の工程を別スタッフがカバーし納期遅延ゼロ
4.3. 人材育成計画との連動
スキルマップが現状を示す→ “どの工程にどんなスキルが足りないか”→ 教育や研修を計画
メリット: 業務効率UPだけでなく、社員のモチベーションやキャリアパスが明確になる
5. スキルマップ導入の成功・失敗事例
5.1. 失敗例:形だけ作って放置→ 運用されずクレーム多発
原因: 上層部がコンサルの提案でスキルマップを作成→ 全社員に共有せず、配属や教育には活用されなかった
対策: 年1回以上の更新を義務化+ 部門長が人材配置や育成会議でスキルマップを参照
5.2. 失敗例:評価基準があいまい→ 社内トラブル発生
原因: スキルレベルを主観で決める→「私はもっと上の評価だ!」という不満が出る
コンサルTIP: 客観的な基準や試験、面談プロセスを用意し、納得感を高める
5.3. 成功事例:新サービス立ち上げで必要スキルを早期カバー
事例(IT企業D社): 新プロジェクトで“特定プログラム言語”が不足→ スキルマップで誰が学習済か把握→ スムーズにチーム編成
効果: プロジェクト遅延なし&顧客満足度UP
6. スキルマップ作成時の注意点:審査対応や内部監査
6.1. 「必要な力量」を根拠づける
ISO9001の審査では“なぜこのスキルが必要?”を聞かれることも→ 工程や顧客要求との関連を示す
コンサルTIP: 「A工程には溶接資格が必須」など、具体的に説明できると審査員も納得
6.2. 文書化・更新履歴の管理
スキルマップも文書化した情報として扱う→ 改訂時に承認フローを通すなど、最新の記録を保管
実務アドバイス: Excelや社内システムで管理→ 更新履歴を残すと内部監査で評価が高い
6.3. 内部監査でのチェック
監査員が「この工程に必要なスキルは何? 誰が持ってる?」と質問→ スキルマップで説明し、教育計画も見せる
成功例: スキルマップがしっかり運用されている→ 審査で不適合ゼロ+ コスト削減を実現
7. まとめ:初心者必見!ISO9001のスキルマップとは?作り方をわかりやすく解説
7.1. 記事の総括:ポイントの再確認
スキルマップの役割: ISO9001の“力量管理”を目に見える形で整理→ 適切な人材配置と教育で品質向上
作り方(ステップ): (1)必要スキルを洗い出す (2)スキルレベルを評価 (3)マトリックス化で可視化→ 運用と教育に活かす
実務のコツ: 定期更新・社内共有・内部監査の活用→ 形骸化を防ぎ、クレーム削減やコストダウンに繋げる
成功・失敗事例: 放置や基準あいまいだとトラブル発生、適切に使えばモチベアップ+顧客満足度向上
審査対応: “なぜこのスキルが必要か”を根拠づけ、更新履歴や教育計画とも連動→ 審査員にも高評価
7.2. 今すぐできるアクション:初心者が意識すべきポイント
プロセスごとに必要スキルをリストアップ: 資格、経験、知識を具体的に
評価基準を客観的に設定: 1~5段階など分かりやすい区分
スキルマップをシステムやExcelで管理: 更新履歴や承認フローを明確に
教育・人材配置とセットで活用: 新人育成や多能工化にも役立てる
内部監査で定期チェック: 運用状況を見直し、常に最新の状態を保つ
あとがき
ISO9001の「スキルマップ」は、力量管理を見える化し、品質目標を達成するための重要ツールです。導入時にきちんと作りこめば、人材育成や業務効率化、さらにはクレームや不良率削減といった形で、会社全体のパフォーマンスを上げる大きな効果が得られます。ただし、形だけ作っても更新されず放置されると意味がありません。ぜひ、定期的に見直す仕組みを整え、社員や部門長に浸透させることで、審査でも高評価を得つつ現場の力を最大限に引き出せるはずです。初心者の方はまず、必要スキルを洗い出すところからスタートし、スキルマップを効果的に活用してISO9001のメリットを大きく享受してください。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
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