JIS Q 9001とISO9001の違いとは?日本版規格と国際規格を簡単比較&導入のコツ!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 5月9日
- 読了時間: 7分

▼ 目次
1. はじめに
1.1. 本記事の目的と想定読者
ISO9001と似た名前でJIS Q 9001という規格を聞いたことはありませんか? どちらも「品質マネジメントシステム」に関わる規格ですが、実は発行元や対象が少し違います。
この記事で分かること:
JIS Q 9001とISO9001の違いを、初心者でもわかりやすく比較
企業が導入を検討するときのメリットや導入のコツ
コンサルタント視点や他社事例を交えた、実務に直結するアドバイス
想定読者は「国内向けに品質を整備したいが、JIS Q 9001とISO9001はどう違うの?」「国際取引があるならISOが必要?」と迷っている経営者・品質担当者などの初心者の方です。
1.2. JIS Q 9001とISO9001の違いを知る重要性
両方とも品質管理に関する規格ですが、「日本版なのか国際版なのか」という違いがあり、国内取引か海外取引かなどで取得する優先度が変わります。
初心者向け用語解説:
JIS Q 9001:日本の工業規格として策定された品質マネジメント規格
ISO9001:国際標準化機構(ISO)による世界共通の品質マネジメント規格
2. JIS Q 9001とISO9001の基本をわかりやすく解説
2.1. 規格としての位置づけ:日本版 vs 国際版
JIS Q 9001:国際規格ISO9001を基に日本で整備した“国内版”
ISO9001:国際的に統一された“世界版”
コンサルTIP: 「JIS Q 9001」の中身はISO9001とほとんど同じですが、対外的な認知度や書類上の扱いが若干異なる場合があります。
2.2. 共通の目的:品質の継続的な向上
共通点:どちらも品質マネジメントシステム(QMS)を構築し、クレームや不良を減らしながら顧客満足度を上げる考え方
PDCAサイクルやプロセスアプローチ、リスクベース思考など、基本の概念は共通
2.3. 主な適用分野:製造・サービス業など幅広い
受注から出荷・サービス提供までのフローを対象に、品質基準や手順を整備し、継続的に改善
事例(製造業A社):製造ラインの不良率をモニタ→ 改善活動をPDCAで回す→ コストダウン&クレーム半減
3. JIS Q 9001とISO9001の違いを簡単比較
3.1. 規格の起源・発行元
JIS Q 9001:日本工業規格(JIS)として制定。発行元は日本産業標準調査会(METI管轄)
ISO9001:ISO(International Organization for Standardization)が発行し、世界各国で採用
メリット: 国際取引や海外顧客へのアピールにはISO9001が広く通用しやすい
3.2. 審査や認証の仕組みの違い
共通点:第三者認証機関が審査し、合格すれば認証書が発行
相違点:海外企業との取引で「ISO9001」の認証証明を要求されるケースがある
コンサル経験談: 国内限定ビジネスならJIS Q 9001でも問題ないが、海外展開予定がある企業はISO9001の方がメリット大
3.3. 国内での運用しやすさと国際的な信頼度
JIS Q 9001:日本語で運用しやすく、国内企業には導入負担がやや少ない
ISO9001:海外取引先やグローバル企業には認知度が高い→ 規格への理解や要求が明確
ポイント: 内容はほぼ同じだが「ISO9001を取得している」という事実が海外・大手との取引で“信用”に直結する場合が多い
4. 導入メリット・活用シーンの違い
4.1. JIS Q 9001:国内中心の取引・事業展開
日本語での規格説明・運用が比較的スムーズ
事例(サービス業B社): 主に日本の顧客相手のビジネス→ JIS Q 9001認証で社内品質管理を改善し、国内市場での評価を高めた
4.2. ISO9001:海外取引や国際的信用力が求められる場合
国際規格であるISO9001の認証は、グローバル企業や海外市場への参入時に大きく有利
事例(製造業C社): 欧米へ輸出する製品の品質を証明→ ISO9001認証を取って営業拡大に成功
4.3. 共通メリット:品質管理の強化・クレーム削減
どちらも品質マネジメントシステムの導入で、クレーム低減や不良率削減、顧客満足度向上などの効果を得られる
コンサルTIP: 国内限定ならJIS Q 9001だけでも十分メリットがある。国際的な取引を見据えるなら最初からISO9001が無難
5. 選び方のコツ:どちらを導入すべき?
5.1. 自社の事業範囲と顧客ニーズを見極める
国内顧客メイン:JIS Q 9001で十分対応可能
海外顧客や国際企業との取引が多い:ISO9001の認証が求められる場合が多い
コンサルTIP: 「とりあえず国内で足場固め→ 将来海外展開ならISO9001へ切り替え」など段階的アプローチもあり
5.2. 審査費用・社内リソースの考慮
審査費:ISO9001もJIS Q 9001も大きな差はなく、外部審査機関への支払や内部監査体制構築が必要
実務例: 海外対応だと英語文書・海外子会社連携など運用コストが上がる可能性あり
5.3. 両方必要になるケースは?
基本的にはどちらかを取得すればOK(中身がほとんど同じ)
まれに、国内規格から国際規格への移行や統合運用を行う企業も:しっかりしたコンサルタントのサポートが有効
6. 運用・導入時の注意点:審査対応や内部監査
6.1. 文書化した情報(手順書・記録類)の整備
どちらの規格も 手順書や記録の文書化が不可欠→ 改訂管理や旧版破棄ルールに注意
コンサルTIP: 現場が使いやすいマニュアルを作れば、審査でも高評価+クレーム減
6.2. リスクベース思考とプロセスアプローチ
ISO9001/JIS Q 9001ともに“プロセス管理”や“リスク評価”を重視→ 不良やクレームを未然に防ぐ
事例(製造業D社): プロセスアプローチ導入で不良率月5%→2%に減少、コストダウン
6.3. 内部監査での評価ポイント
実際の運用が形だけでなく、社員が理解しているか→ “この手順書、現場で使ってますか?”など
成功例: 半年に1回の内部監査で問題を発見→ すぐ改善→ 外部審査で指摘ゼロ
7. まとめ:JIS Q 9001とISO9001の違いとは?日本版規格と国際規格を簡単比較&導入のコツ
7.1. 記事の総括:ポイントの再確認
日本版(JIS Q 9001)と国際版(ISO9001):発行元や認知度が異なるが、内容はほぼ同一で品質管理の基本を求める
導入メリット:いずれもクレーム減や顧客満足度UPを狙える→ 海外対応ならISO9001が有利
選び方:自社の顧客範囲や将来ビジョンを考慮→ 国内完結ならJIS Q 9001、海外展開視野ならISO9001
運用の注意点:文書化やリスク評価、内部監査をしっかり実施→ “形骸化”を防ぎ、実際の改善効果を出す
コンサル経験:企業によってはJIS Q 9001で始め、拡大時にISO9001へ移行。両方の規格を理解すれば柔軟に対応可能
7.2. 今すぐできるアクション:初心者が意識すべきポイント
国内取引がメインか、海外顧客が多いかをまず確認
審査費・社内運用コストを把握し、導入スケジュールを具体化
手順書・記録を現場で活用できる形に→ 改訂管理を徹底
内部監査を定期化して問題発見→ 審査での指摘リスクを減らす
コンサルや認証機関と相談しながら最適解を選択→ 必要に応じて将来ISO9001への移行も検討
あとがき
JIS Q 9001とISO9001は、どちらも“品質マネジメントシステム”を構築するための基準として、ほぼ同じ内容を含んでいます。違いは主に「日本国内規格か、国際規格か」という点です。
国内オンリーで仕事をする企業→ JIS Q 9001でも十分に社内品質向上が可能
海外取引がある、または将来視野に入れている企業→ 国際規格のISO9001が有利
実際に導入する際は、文書化されたルールを形だけで終わらせずに、現場が本当に使いやすい手順書やリスク評価を作ることがポイント。内部監査や外部審査での指摘を、改善のチャンスと捉えてPDCAを回せば、クレーム削減やコストダウンといった効果を得られるはずです。ぜひ、両規格の違いや自社の事業範囲を考慮しながら、最適な品質マネジメント体制を築いてみてください。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
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