JISQ9001とISO9001の違いと共通点とは?認証取得前に知っておきたい基本ガイド!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 2 日前
- 読了時間: 5分

▼ 目次
1. はじめに:JIS Q 9001とISO 9001の違いを理解する意義
ISO9001をこれから取得しようとする企業にとって、「JIS Q 9001」と「ISO9001」の違いは意外とわかりにくいものです。しかし、この違いを正しく理解しておくことで、文書作成や審査対応での無駄な混乱を避けることができます。特に日本国内の企業にとっては、JIS Q 9001が基本になるため、正しい知識を持って選択することが重要です。
2. ISO 9001とは?国際規格の概要
ISO 9001は、国際標準化機構(ISO)が発行する品質マネジメントシステム(QMS)の国際規格です。組織が継続的に品質を管理・改善し、顧客満足を高めていくための仕組みを定めています。
特徴
世界共通の規格(英語が原文)
国際取引やグローバル展開のある企業に有効
顧客重視、リスクベース思考、継続的改善が主な原則
私が支援しているある輸出企業では、取引先から「ISO 9001での認証」を求められており、JIS Q 9001では対応できないと判断して、英語版のISO9001文書を整備しました。
3. JIS Q 9001とは?日本国内規格の概要
JIS Q 9001は、ISO 9001を日本語に翻訳し、日本の国家規格(JIS)として発行したものです。「JIS=Japanese Industrial Standards(日本産業規格)」のQは「品質(Quality)」を示します。
特徴
日本語で記載されており、理解しやすい
内容はISO 9001と同一(構成・要求事項)
審査機関によってはJISベースの文書でも認証可
多くの中小企業では、JIS Q 9001をベースにQMSを構築することで、社内教育がスムーズに進みやすくなります。
4. ISO 9001とJIS Q 9001の主な違い
4-1. 発行機関
ISO 9001:国際標準化機構(ISO)
JIS Q 9001:日本産業標準調査会(JISC)
4-2. 表記と言語
ISO 9001:英語原文(認証文書も英語が基本)
JIS Q 9001:日本語訳の公式規格(JIS Z 8301に準拠)
4-3. 審査対応と契約
国際企業ではISO原文に合わせた英語対応が求められる場合も
国内取引中心ならJIS Q 9001でも十分対応可能
私が支援したある商社では、外資系クライアント向けの文書のみISOベースで英語作成し、それ以外はJISで運用する“ハイブリッド運用”で効率化を図っています。
5. ISO 9001とJIS Q 9001の共通点
規格構成(4~10章)と内容は一致
PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)をベースに設計
顧客要求・継続的改善・リスク管理を重視
そのため、どちらで運用していても、審査で見られるポイントは基本的に同じです。審査機関もJIS Q 9001の準拠であっても国際認証として扱います。
6. JIS Q 9001の分類と規格番号の読み方
「JIS Q 9001」という表記には意味があります:
JIS:日本産業規格(Japanese Industrial Standards)
Q:品質に関する規格群(Quality)
9001:ISO 9001に対応する品質マネジメント規格
たとえば、環境マネジメントは「JIS Q 14001」、情報セキュリティは「JIS Q 27001」と表記され、JISの中で体系的に分類されています。
7. 認証取得時の選択:ISO 9001とJIS Q 9001のどちらを選ぶべきか
国際取引がある場合
→ ISO 9001をベースにした文書整備や英語対応を含めた運用がおすすめです。
国内企業・中小企業の場合
→ JIS Q 9001でも十分。コストや教育面でも導入しやすいです。
コンサル視点での提案
私の経験上、「JIS Q 9001で文書を整備+必要時に英訳」という使い分けが一番現実的です。とくにISO原文にこだわらない限り、審査上の差異はありません。
8. 実務上の注意点と導入事例
注意点
海外との契約や文書提出時はISO版(英語)を要求されることがある
表記の微妙な訳文の違いが業種によっては重要になることも
導入事例
食品製造業では、輸出国ごとの品質証明が必要になるため、ISO9001ベースで整備。国内販売が中心の医療機器商社では、JIS Q 9001で教育・監査を行いコストを抑えています。
9. よくある質問(FAQ)
Q. ISOとJIS、どちらで認証を取るべき? → 基本的にJIS Q 9001で問題ありません。ただし、海外向けの営業や契約がある場合はISO版を意識しましょう。
Q. JIS Q 9001で取得した認証は海外で通用しますか? → はい、審査機関がIAF加盟機関であれば、JIS Q 9001でも国際認証と見なされます。
Q. コストや運用に違いはありますか? → 審査内容に大きな差はありませんが、英語対応が必要な分だけISO運用の方がややコストがかかる傾向があります。
10. まとめ:自社に最適な規格を選択するために
JIS Q 9001とISO9001は内容的には同じですが、使い方・表現・運用方針に違いがあります。自社が何を目的に認証を取得するのか、どこで使うのかによって適切な判断をすることが大切です。
国内業務中心 → JIS Q 9001でOK
海外対応・英語対応必要 → ISO 9001ベース推奨
両者の特徴を理解した上で、社内のリソースと目的に合わせた使い分けが、効率的で無駄のないISO運用につながります。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
Comments