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ISO9001の識別とは?合格品・未検査品を取り違えない管理方法

執筆者の写真: 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
5 日前
読了時間: 6分

更新日:11 時間前

同じ形の部品が二つの箱に入っている。片方は検査済み、もう片方はこれから検査するもの。担当者には分かっていても、応援に入った人が見分けられなければ、取り違えが起こる余地が残ります。


ISO9001でいう識別は、こうした場面で『これは何か』『今、どの状態か』を分かるようにすることです。この記事では、ラベルを増やす前に決めたいことを、置き場や作業の引き継ぎから考えます。


ISO9001の識別管理のために部品と表示札を確認する担当者


▼目次



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1. ISO9001の識別は「品物」と「状態」を分かるようにすること


識別には、品名・品番などで対象を区別する面と、未検査・合格・保留などの状態を区別する面があります。同じ品番でも検査前と検査後では、次の工程へ進めてよいかという判断が違います。


たとえば、品番だけが書かれた箱では中身の種類は分かりますが、検査が終わったかまでは分かりません。反対に『合格』だけでは、どの注文や品番に対応する物なのかが曖昧です。取り違えると困る情報を組み合わせて表示します。


対象は製品だけとは限りません。お客様に渡す報告書なら案件名・版番号・承認状況、施工写真なら現場名・撮影日・工事の区分が、必要な物を選ぶ手がかりになります。仕事に合う方法で区別できることが大切です。


トレーサビリティとは何が違う?

識別は目の前の対象を区別すること、トレーサビリティは履歴や行き先を追えることです。ロット番号は両方に役立ちますが、全品に個別の番号を付けるかどうかは、顧客要求や必要な追跡範囲を踏まえて決めます。番号を付けただけで、履歴まで追えるようになるわけではありません。




2. 最初に分けたいのは、判断を間違えると困る状態


まずは受け入れから出荷までの流れをたどり、『ここで別の人が作業を引き継いだら、何を間違えそうか』を探します。似た品番が並ぶ場所、検査の前後で同じ台車を使う場所、手直し品が戻ってくる場所が確認の出発点です。


状態の名前は増やしすぎず、次に取る行動と結び付けます。たとえば次のように決めると、表示を見る意味がはっきりします。


未検査

まだ合否を確認していない状態。担当者が検査を終えるまで、合格品の置き場へ移さない。


合格

決めた確認が済み、次の工程へ進められる状態。どの品番・数量・ロットの判定かが分かるようにする。


保留・不適合

追加確認が必要、または基準を満たしていない状態。理由と相談先を示し、権限のある人の判断前に使用しない。




3. ラベル、置き場、画面表示をどう使い分ける?


動かす物は、移動先でも状態が分かる方法にします。箱に札を付けるなら、別の容器へ小分けしたときに、品番や判定の情報も一緒に引き継ぐ手順が必要です。元の箱に札が残り、中身だけが先へ進む運用では情報が途切れます。


固定した棚で管理するなら、区画と置ける物の条件を明確にします。『ここは合格品』という決まりを設けた場合、満杯だからと未検査品を一時置きしてしまうと、その置き場を判断の根拠にできなくなります。一時置きの場所も用意しましょう。


色は補助に使い、文字でも伝える

色分けは目に入りやすい方法ですが、色の見え方や照明、白黒印刷では伝わりにくくなることがあります。赤・青だけに頼らず、『未検査』『保留』などの文字や形、置き場の区分を合わせると判断しやすくなります。ISO9001が共通の色を指定しているわけではありません。


システム上の状態と現物を一致させる

画面で合格を登録しても、現物の箱を間違えて動かせば防止策になりません。現物の品番・ロットと画面の対象を照合し、誰がどの時点で状態を更新するかを決めます。紙とシステムを併用するときは、表示が食い違った場合の確認先も必要です。



4. 表示がない・外れたときは、その場の推測で進めない


札が落ちている、箱の表示と中身が合わない、同じ箱に異なるロットが混ざっている。このようなときに『たぶん合格品』として使うと、識別の仕組みが崩れてしまいます。まず使用・出荷を止めて保留の扱いにし、担当者へ確認します。


記録や現物を照合して対象と状態を確認し、必要なら再確認・再検査を行います。表示を復旧できる人と、再開を判断できる人を社内で決めておけば、相談を受けた側も動きやすくなります。


特に注意したいのは、箱の再利用です。前の品番や『合格』の札を残したまま別の物を入れないこと、使い終わった表示を外すタイミングを決めることが、取り違え防止につながります。




5. ISOトラストの支援事例から考える、少人数の管理


ISOトラストがISO9001の取得・運用を支援した製造業A社では、社内担当者が1名で、通常業務との両立と限られたリソースが課題でした。支援後は認証を取得し、品質管理と無理のない維持運用の体制を整えています。


この公開事例が示すのは、担当者の人数も考えて運用を設計する必要があるという点です。以下はA社の実施手順の紹介ではなく、少人数の職場に向けたISOトラストの運用提案です。


弊社では、識別のルールを整理する際、表示の種類を増やす前に『物が動くとき、誰が状態を伝えるか』を一続きで確認することを提案します。品番・状態・確認先を一枚の札で読めるようにし、移し替えと引き継ぎの手順を合わせて決める方法です。


検査台帳に既に判定結果があるなら、その記録へたどれる番号を表示に入れる方法もあります。同じ内容を別の台帳に何度も転記する前に、今の記録と現物をどう結び付けるかを検討しましょう。




6. 明日、別の人が見ても判断できるかを試そう


ルールを作ったら、普段その工程を担当しない人に、一つの箱を見てもらってください。『これは何ですか』『どの状態ですか』『次へ進めてよいですか』の三つを、表示と決まった記録から判断できるか試します。


担当者の記憶を聞かないと答えが出ないなら、表示の内容や記録との結び付けを見直す余地があります。通常の流れだけでなく、小分け、手直し、担当交代、一時置きでも確認すると、弱い箇所を見つけやすくなります。


ISO9001の識別は、札を貼って終わりにする仕事ではありません。次の人が取り違えずに判断できるかを基準に、必要な表示と引き継ぎを整えましょう。自社に合う区分や記録の整理に迷うときは、ISOトラストへご相談ください。


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著者情報

金光壮太 (ISOコンサルタント)

大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている。

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