【必見】ISO9001が取り消されるのはどんなとき?実際の事例と早期対策を初心者向けに解説!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 4月21日
- 読了時間: 10分

▼ 目次
1. はじめに
1.1. 本記事の目的と想定読者
ISO9001を取得すると、顧客や取引先への信頼度が上がり、品質管理の仕組みが整うなど多くのメリットを得られます。しかし、いったん取得した認証が**「取り消し」になるケースがあり、その際のダメージは大きいです。本記事ではISO9001認証の取り消しが起こる場面や原因**を解説し、早期対策や再取得に向けたアドバイスをまとめます。
本記事の目的:
認証取り消し事例を通じて、よくある原因を把握し、似た失敗を回避できるようにする
取り消しリスクを減らすための具体的な手法や内部監査のポイントを紹介
取り消し後の再取得や社内への影響について、コンサル経験や他社の失敗談をベースに学ぶ
想定読者:
ISO9001運用初心者で、“取り消しリスクがあるって本当?”と不安な担当者
認証は取得したけれど、形骸化している気がして取り消しリスクを心配している品質管理責任者
取り消しになった場合の再取得や顧客対応を知りたい経営層・管理者
1.2. なぜ取り消しが注目される?ISO9001の審査制度をおさらい
ISO9001取得後の審査制度:
年1回のサーベイランス審査: 運用維持状況をチェック
3年ごとの更新審査: 大きな問題がなければ引き続き認証継続
取り消しリスク:
サーベイランス審査や更新審査で重大な不適合が見つかる→ 改善ができずに放置すると取り消し
取り消しとなると、信用低下や顧客との取引停止につながる場合も
初心者向け用語解説
不適合: 規格や社内ルールと実態が合わず、重大な問題がある状態
サーベイランス審査: 毎年1回受ける監査。運用状態を点検し、不備があれば改善要求される
更新審査: 3年に1度、再認証のための審査を受ける。ここで大きな問題があると認証更新不可
1.3. この記事で得られるメリット
具体的な取り消し事例から、どこに落とし穴があるのか理解できる
早期対策を把握し、サーベイランス審査や更新審査で重大不適合を回避できる
取り消し後の再取得手順や、社内への影響への対応策を学び、リスク管理を強化できる
2. ISO9001取り消しが起こる典型的な理由
2.1. 重大な不適合の放置
原因: 内部監査や外部審査で指摘された重大不適合を放置→ 改善期限を超過、進捗がみえず審査員から“改善意欲なし”と判断
他社事例: 製造業A社が設計工程の大きな問題を放置→ 次回審査でも改善なし→ 認証取り消し
コンサル視点: “よくある”パターンは、書類だけ整備して実作業には手をつけず後回しになるケース
2.2. 形だけの書類整備で実運用がない
状況: PDCAや手順書は作成したが、現場が全く守っていない→ 現場ヒアリングで不一致が発覚
結果: “システムの形骸化”とみなされ、審査で重大不適合→ 認証取り消し
コンサルTIP: 経営層が“ISOはお飾り”と考えている会社で多発→ 現場が協力せずマニュアルが使われない
2.3. 経営環境の変化で運用が追いつかない
例: 拠点増設・合併などで組織が大きく変わる→ QMS範囲を更新せずズレが発生
失敗例(サービス業B社): 拠点新設を審査機関に未報告→ QMS対象外と錯覚→ 実際には従業員が移動しており運用不一致→ 取り消し
注意: 変更時には必ず認証機関に相談し、適用範囲を拡大する審査が必要
3. 実際の取り消し事例:具体的ケースから学ぶ
3.1. 事例1:製造業C社が重大クレームを隠蔽→ 不適合認定
背景: 重要部品に欠陥があり顧客からクレーム→ 社内で隠蔽し改修せず放置
審査で発覚: クレーム数と社内報告数の整合性がとれず、審査員が問題を追及→ 重大不適合
結果: 改善計画が曖昧で期限超過→ 認証取り消し
学び: 不具合やクレームは早期に正直に報告→ 原因究明と再発防止策を確実に実行
3.2. 事例2:建設業D社が増設した新拠点を未運用→ 規格違反
状況: 新拠点を作ったが“別法人扱い”にし、ISO範囲外と勝手に判断→ 実際は同じ社内指揮命令系統だった
審査: “適用範囲に含まれるはずの拠点を無届け”とみなされ、不適合→ 認証取り消し
コンサル視点: 組織の範囲変更はISO規格で最も注意すべき→ 詐称と疑われるリスク大
3.3. 事例3:機械メーカーE社の内部監査形骸化→ 改善ゼロ
問題: 内部監査が毎回“問題なし”→ 実際は現場で作業ミスや安全管理不十分が多発
審査員が現場視察: “手順書と実作業が大きくズレ”→ 形骸化
結果: “QMSが機能していない”と断定され取り消し→ 取引先にも知られ、受注ダウン
学び: 形だけの監査は取り消しリスクを高める→ 現場ヒアリングで実態を確認することが重要
4. 取り消しを防ぐための早期対策
4.1. 内部監査・経営レビューの強化
対策:
内部監査を形だけにしない→ 現場へのインタビュー、作業観察で問題を発見
経営レビューで重大不備に予算と人材を集中投下→ 早期是正
メリット: 不具合が潜在化せず、外部審査前に潰せる→ 取り消しリスク激減
コンサルTIP: 経営層が“ISOはコストではなく、品質改善と利益向上の手段”と理解することが大切
4.2. 是正処置と予防処置の徹底
ポイント: 不適合やクレームを見つけたら“根本原因”を追究→ 再発防止策を着実に実行
事例: 製造業F社が不良率増に対し“材料受入検査”を強化し改善→ サーベイランス審査で“迅速な取り組み”と高評価→ 取り消し回避
失敗回避: “原因特定があいまい”だと同じ不適合を繰り返す→ 審査で印象が悪くなる
4.3. 組織の状況変化への柔軟対応
方法: 新拠点や合併、製品ライン追加などがあれば、すぐに認証機関へ報告→ 適用範囲の拡大審査を行う
他社例: サービス業G社が新支店オープン時に早めに審査を実施→ トラブルなく認証維持成功
メリット: “規格との整合”を絶えず保てる→ スムーズにQMSを全社浸透させやすい
5. もし取り消しになったら?再取得までの流れ
5.1. 原因究明と是正計画の策定
取り消し後: まず取り消し理由(重大不適合内容)を分析→ どこが致命的な課題だったかを特定
計画: はじめから認証取得プロセスをやり直す→ 内部監査強化や新ルールの作成などが必要
失敗回避: 改善策が“表面的”だと審査員から信頼回復が難しい
5.2. 再審査の手順と費用
流れ: 再取得プロジェクト→ 文書整備→ 内部監査→ Stage1 & Stage2審査
費用: 初回取得と同等かそれ以上→ 会社の信用面も一時的に損なわれる
事例: 製造業H社が取り消し後に再挑戦→ 1年間かけて是正→ 再認証成功し取引先に信頼回復
5.3. 対外的な影響への対応
取引先や顧客への説明: 取り消しの経緯と再取得に向けた対策を丁寧に共有→ 信頼維持
コンサルTIP: 隠蔽は逆効果→ “真摯に向き合い、改善を進める”姿勢を示せば関係を続けられるケースも多い
6. 失敗例から学ぶ:取り消しリスクを高める要因
6.1. 経営層の関心不足
状況: “ISOは現場に任せた”と丸投げ→ 指摘への改善に投資しない→ 重大不備放置
結果: 取り消し→ 業績悪化&信用低下
コンサル視点: 経営層が“品質こそ経営の柱”と考え、リーダーシップを発揮する企業ほど認証維持が容易
6.2. 担当者頼みの属人化
問題: 1人の担当者がすべて抱える→ その人が退職や異動でいなくなるとQMSが機能不全
解決: “運用チーム”でノウハウを共有→ 手順書や監査チェックリストを全員が使えるように
他社例: サービス業I社がリーダー交代時に情報が引き継がれず取り消し寸前→ コンサル導入で挽回
6.3. 形だけ手順書・現場と乖離
原因: 外部コンサルに任せきりで大量の文書だけ作成→ 実際のフローと合わず現場が混乱
失敗回避: 現場の声を取り入れ、簡潔で使いやすい手順書を整備→ 定期的な見直し
7. 成功に導くコツ:形骸化を防ぎ、運用を定着させる
7.1. トップダウンとボトムアップの両面アプローチ
経営層: ISOを“投資”と捉え、資金・人員をしっかり支援→ 会社のモチベーションUP
現場: 改善提案や作業標準への意見を出しやすい雰囲気づくり
事例: 製造業J社が経営レビューで現場課題を最優先に議論→ 不良率-30%達成
7.2. 小さな成果を積み重ねるPDCA
PDCA: 月次や四半期で進捗確認→ 未達や不具合があれば対策を打ち、次回評価
TIP: 成果が見えれば社員も意欲UP→ “ISOやってよかった”の成功体験が定着
他社例: 出荷検査の精度が上がりクレームが激減→ 部門間連携が進み、業績も改善
7.3. トレーニングと社内コミュニケーション
新人研修・定期講習: 規格用語やプロセスを理解→ 形骸化リスクが下がる
メリット: 社員全員が“品質重視”の視点を持ち、問題発生時に自主的に報告・対処
コンサル経験: 教育不足の企業ほど、内部監査で単純ミスや手順違反が頻発
8. Q&A:ISO9001取り消しと維持に関する疑問
8.1. 「取り消し防止のためにどのくらい監査すればいい?」
回答: リスクや部署数に応じて決定→ “年1回”だけでなく、リスク高い工程は追加監査
コンサル視点: 頻度ではなく“質”が大事→ 本当に問題を発見&改善しているか
8.2. 「大手顧客にはどう説明すればいい?」
回答: 取り消しや不適合が生じたなら“原因と再発防止策”を誠実に報告→ 信頼維持
失敗回避: 隠蔽がバレれば損害賠償や契約解除もありうる
8.3. 「再取得までの期間や費用は?」
回答: 改善具合次第だが、少なくとも半年~1年かかる例が多い。費用は初回取得と同程度かそれ以上
例: 製造業K社が取り消し後に再取得→ 約1年かけて不具合是正し、追加で数十万の審査費負担
8.4. 「ISO9001以外の認証へ切り替えるべき?」
回答: 業種によりJISQ9100やISO14001など選択肢はある→ ただし顧客要件や自社メリットを慎重に検討
メリット: 合わない規格を続けるより、本当に役立つ別規格の方が投資価値が高い場合も
9. まとめ:【必見】ISO9001が取り消されるのはどんなとき?実際の事例と早期対策を初心者向けに解説
9.1. 記事の総括:ポイントの再確認
取り消し原因: 重大不適合の放置、形骸化、組織変更への未対応など→ “規格要件と現場運用に大きなギャップ”
実際の事例: クレーム隠蔽や新拠点未対応など→ 審査で発覚し認証取り消し、顧客信用低下
早期対策: (1)内部監査の強化、(2)是正処置の徹底、(3)経営層のコミット、(4)組織変更時に範囲更新
再取得手順: 原因分析→ 改善策実行→ 新規審査のStage1&2→ 再取得には費用と時間が必要
形骸化防止: PDCAを地道に回し、全社員が品質重視を意識→ 経営レビューや教育で運用定着
9.2. 今後のアクション:初心者が取り組むべきステップ
内部監査の見直し: 形だけで終わっていないか? 現場インタビューや実態チェックを強化
経営層への報告・是正処置のスピードUP: 大きな問題を早期に対策→ 審査前に改善済みと示す
組織変更や新拠点への適用範囲管理: 必要があれば速やかに認証機関へ相談
教育・共有: 社員がQMSの狙いを理解→ 問題を隠さず報告→ 取り消しリスクを最小化
あとがき
ISO9001の認証が取り消されると、再取得にコストや時間がかかるばかりでなく、顧客信用や業績にも悪影響が出る危険性があります。よくある失敗は「問題発覚→ 放置→ 審査で不適合を指摘→ 改善間に合わず認証取り消し」というパターンです。本記事で紹介した具体例や早期対策を参考に、内部監査の質を高め、経営層が迅速に是正処置を支援するなど、常にPDCAを回す仕組みを作りましょう。そうすれば、取り消しリスクを下げるだけでなく、クレーム削減や取引先からの信頼UPといったISO9001本来のメリットを活かし、形骸化を防いだ実務改善が可能になります。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
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