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ISO9001 品質記録の保管期間はどう決める?具体例と失敗しない運用法を徹底解説!

  • 執筆者の写真: 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
    【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
  • 4月27日
  • 読了時間: 9分

ISO9001の品質記録保管期間をどう決める?法令・リスク別の具体例と失敗しない運用を解説。業種別の最適年数や実務コツもわかりやすく紹介し、審査でも安心できる

▼ 目次


ISO9001の品質記録保管期間をどう決める?法令・リスク別の具体例と失敗しない運用を解説。業種別の最適年数や実務コツもわかりやすく紹介し、審査でも安心できる

1. はじめに

1.1. 本記事の目的と想定読者

ISO9001を導入する企業では、品質記録を残すことが必須です。ですが、「何年保管すればいいの?」と悩む方も多いでしょう。どの文書を、どのくらい保管すべきか迷うと、書類が増えすぎたり、逆に足りなくて審査で指摘を受けたり… そんな失敗を避けるため、初心者向けにわかりやすい解説と実例をまとめました。

  • 本記事の目的:

    1. ISO9001での記録保管期間に関する基本的な考え方具体的手順を学ぶ

    2. 法令やリスク評価と絡めた年数の設定方法、失敗しない運用法を知る

    3. 他社の事例やコンサル経験談を通じ、形骸化を防ぎ、審査でも高評価を得られる管理を実現する

  • 想定読者:

    • 初めてISO9001を運用し、“品質記録を何年保管するか”で困っている品質担当者・管理責任者

    • 部署ごとにバラバラに記録を保管していて、内部監査で課題が浮上している企業

    • なるべく優しい単語で解説してほしい初心者の方

1.2. なぜ品質記録の保管期間が重要?

ISO9001:2015では“文書化した情報”の中でも、特に品質記録は審査や顧客対応、トラブル追跡に必須のエビデンスです。万が一の不良やクレーム時にすぐ取り出せるかが企業の信頼を左右します。しかし、長すぎる保管はコスト増、短すぎるといざという時に対応できません。

  • 初心者向け用語解説:

    • 品質記録: 検査成績書、試験報告、クレーム対応記録、内部監査記録など、“品質に関する証拠”になるもの

    • リスクベース思考: 自社が抱えるリスク(製品寿命、業界規制、顧客要求)を考慮して保管期間を設定

本記事のゴール: 適切な保管年数を定め、審査でも突っ込まれず, クレーム対応にも強い、しかも運用コストを抑えた仕組みを作ることです。



2. ISO9001で定める品質記録の保管:基本の考え方

2.1. 規格上の要求:年数は具体的に書かれていない?

ISO9001:2015自体は「何年保管しなさい」とは示していません。組織が自主的に決めるのがポイントです。理由としては、業種やリスク、製品寿命など状況が異なるため、一律の指示ができないからです。

  • コンサル視点: むしろ“どんな文書をどのくらい必要か?”を自分たちで考えて設定し、審査で説明できるようにしておくことが求められます。

2.2. リスクベース思考と法的要件のバランス

  • リスクベース思考: 製品の寿命やクレーム発生リスク、アフターサービス期間などを考え、保管期間を長め/短めに調整

  • 法的要件: 食品衛生法や医療機器法など、業種によっては最低保管期間を定める法律がある

  • 事例(食品業A社): 食品衛生法で製造記録を5年保管→ ISO9001上も5年以上に設定し、クレーム発生時の追跡が容易に

2.3. 形骸化を防ぐために

  • 年数を決めるだけでなく、取り出しやすさ更新・廃棄手順を明確に→ 使えない記録は意味がない

  • 失敗例: 製造業B社で“10年保管”と定義→ 倉庫が書類であふれ、実際には検索不能… 審査員に問題指摘される



3. 保管期間の決め方:初心者でもわかるステップ

3.1. ステップ1:法令や顧客要求の確認

  • 業界別法令: 食品なら5年、建設なら10年、医療関係なら製品寿命に合わせ数年以上など

  • 顧客要求: 大企業や海外取引先が契約で最低保管年数を指定する場合あり→ 必ずチェック

  • コンサルTIP: ここを軽視すると、契約違反や法令違反のリスクが高まる

3.2. ステップ2:リスク評価と重要度の整理

  • 製品やサービスの寿命、保証期間、クレーム頻度、保険契約などのリスクを洗い出す→ その上で保管期間を設定

  • 例(自動車部品メーカーC社): リコールリスクを考慮→ 不具合発生しやすい部品は10年、それ以外は5年

3.3. ステップ3:文書化と運用ルールの明示

  • 保管年数(○年)を明確に手順書や管理規程に書く。破棄フローや延長手続きも設定

  • 事例(製造業D社): 検査記録5年保管→ 満了時は廃棄記録を残す。延長が必要なら品質責任者が承認

3.4. ステップ4:ITシステムやアーカイブ方式の検討

  • 紙媒体→ 倉庫スペースや検索性の問題。電子媒体→ 初期費用やシステム導入

  • メリット: 電子保管なら場所を取らず、検索も容易→ 審査やクレーム時に即提示できる

3.5. ステップ5:定期レビューと更新

  • 法令が変わったり、新製品導入でリスクが増減→ 保管期間を見直す

  • コンサル視点: このレビューが無いと、不要に長いままだったり、不十分なままだったりする→ 形骸化防止



4. 具体例:業種別の保管期間目安

4.1. 製造業:部品・製品寿命や保証期間を考慮

  • 自動車部品: リコール対応で10年保管

  • 家電: 製品保証2~3年+ α(安全リスクを加味し5年など)

  • コンサルTIP: 大手OEMが自主基準を設ける場合が多く、下請けもそれに合わせる

4.2. 食品・医薬品・医療機器:法的要件が優先

  • 食品衛生法: 製造記録を5年保管など→ リコール追跡のため

  • 医療機器: 厚生労働省関連法令で5年以上(クラス別に違いあり)

  • 失敗談(食品業E社): 法定期間4年と勘違い→ 審査で指摘され再教育

4.3. サービス業・IT:契約要件やバグ追跡

  • ソフトウェア: クレーム・バグ管理、プロジェクト文書など→ 多くは3~5年保管、保証期間に合わせることが多い

  • 事例(IT企業F社): 契約で3年保証→ 品質記録は最低3年+ 1年で設定


ISO9001の品質記録保管期間をどう決める?法令・リスク別の具体例と失敗しない運用を解説。業種別の最適年数や実務コツもわかりやすく紹介し、審査でも安心できる


5. よくある失敗と対策:失敗しない運用法

5.1. 年数だけ決めて運用がおろそか→ 実際に探せない

  • いざ審査やクレーム発生でファイルを探しても見つからない…

  • 対策: ファイル名ルール、置き場所(棚番や電子フォルダ)を統一→ 定期的に棚卸し

5.2. 不要記録まで長期保管→ 倉庫・サーバーのコスト肥大

  • “全部10年”と設定し、膨大な紙書類やデータが倉庫を圧迫

  • コンサルTIP: リスク低い記録は短期保管→ 重要記録は長期に振り分け、管理コストを最適化

5.3. 社内周知不足→ 部門間でバラバラ運用

  • A部署は5年、B部署は3年、C部署は不明…→ 不一致が監査で発覚し、問題化

  • 成功例(製造業G社): 全社文書管理規程で“品質記録は基本5年”と定義→ 特例があれば社長承認のプロセスを運用



6. 形骸化を防ぐための運用ポイント

6.1. 経営層・管理責任者のコミットメント

  • トップが“品質記録はトラブル時に会社を守る命綱”と社内へメッセージ

  • 事例: 製造業H社で社長が文書管理に注力→ 社員も“使う記録”を整理し、紙のムダが減る

6.2. 内部監査でのチェック項目

  • 監査質問例: 「この検査記録はどこにある? 何年保管?」→ 実際に出してもらい確認

  • メリット: 実物検証で漏れや不備を早期発見→ 外部審査でも安心

6.3. 成果を社内共有:クレーム対応時の活用実例

  • “○年前の検査データをすぐ出せたおかげで顧客トラブルを最小化”など成功体験を全社に報告

  • コンサル視点: 記録が“使える”ことを社員が実感→ 形骸化せず運用が定着



7. 成功事例:保管期間を最適化して審査や運用で成果を出した企業

7.1. 製造業I社:リコール対応強化で10年保管→ 信頼度UP

  • 背景: 自動車関連でリコールリスク大→ 以前は5年保管で不安

  • 取り組み: 主要部品は10年保管へ延長→ 不具合発生時に早期原因究明→ 顧客離れを防止

  • 効果: 審査員からも“リスクベース思考が明確”と好評価

7.2. 食品業J社:法定5年+独自1年で安全マージン確保

  • 内容: 食品衛生法で5年→ 独自に1年上乗せし6年保管

  • メリット: 保管期限付近でクレームが来ても余裕をもった対応→ リコール規模を小さく抑えられる

7.3. IT企業K社:3年保管で契約クリア→ 文書整理コスト大幅削減

  • 背景: 過去プロジェクト書類を10年保管→ 倉庫費用&サーバー容量が圧迫

  • 改善: 顧客契約3年+保証分だけを確保→ 古いデータは破棄→ 運用効率UP、管理負担30%減



8. まとめ:ISO9001 品質記録の保管期間はどう決める?具体例と失敗しない運用法を徹底解説

8.1. 記事の総括:ポイントの再確認

  1. 保管期間はISO規格で明確に年数指定されず→ 組織がリスク・法令で決める

  2. 決め方ステップ: (1)法令&顧客要求 (2)リスク評価 (3)文書化&全社周知 (4)ITシステム活用 (5)レビューで更新

  3. 業種別例: 製造業=自動車部品など長期、食品=5年(法令)、IT=契約ベース…

  4. 失敗例: “全部長期保管”で倉庫費用増 or “一律短期”でトラブル対応不可→ バランスが要

  5. 形骸化防止: トップの後押し、内部監査の徹底、成功事例の共有→ 社員が保管の意義を理解

8.2. 今すぐ取り組むアクション:初心者が押さえるべきステップ

  1. 自社業界の法令・顧客契約を調査: 必要最低年数を把握

  2. リスク・製品寿命を考慮: 保証期間やクレームリスクに合わせ“○年+α”など設定

  3. 文書化&社内周知: “検査記録=5年、クレーム対応記録=○年”など手順書に明記

  4. 運用テスト: 内部監査で“1年前の検査記録を出して”など実演→ 漏れや不備を修正

  5. 定期レビュー: 法改正や新製品でリスク変化したら期間延長or 短縮を検討

あとがき

ISO9001における“品質記録の保管期間”は、法令や顧客要求、製品寿命、リスク評価を踏まえて組織が自律的に決める大切な要素です。本記事で紹介した設定のステップ(法令確認→ リスク評価→ 文書化→ IT運用→ 定期レビュー)や業種別事例を参考にすると、審査でも突っ込まれず、かつコストも最適化しやすいでしょう。ぜひ、保管ルールが形骸化しないよう、内部監査や管理責任者のフォローを活用し、必要なときに素早く取り出せる記録管理を築いてください。しっかり運用すれば、クレーム対応やリコール時にも大きな効果を発揮し、顧客と会社を守る重要な仕組みとなるはずです。

ISO9001の品質記録保管期間をどう決める?法令・リスク別の具体例と失敗しない運用を解説。業種別の最適年数や実務コツもわかりやすく紹介し、審査でも安心できる

この記事の監修者情報

金光壮太 (ISOコンサルタント)

大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている

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