初心者向け!ISO9001の内部監査とは?目的と流れをわかりやすく徹底解説!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 4月30日
- 読了時間: 9分

▼ 目次
1. はじめに
1.1. 本記事の目的と想定読者
ISO9001で必須となる内部監査を、「どんなことをするの?」「何が目的?」と疑問に思う方は多いでしょう。とくに初めて担当する人にとっては、必要な資料や当日の進め方、報告手順など分からないことばかりかもしれません。本記事では、初心者でもわかりやすい言葉を使って、内部監査の目的から具体的な流れ、さらに対策や成功事例まで、幅広くカバーします。コンサル経験を踏まえたアドバイスや他社事例も盛り込んでいるので、読んですぐに実践に移せるよう構成しました。
この記事を読むと:
内部監査の本当の目的や意義を理解できる
準備~実施~報告の流れが明確になり、形骸化を防ぐコツがつかめる
外部監査や日常業務で活かせる改善のヒントを得られる
1.2. なぜISO9001で内部監査が重要なのか?
ISO9001において、内部監査は企業の品質マネジメントシステム(QMS)が正しく動いているかを確認する自己チェックの仕組みです。単に外部監査(審査)対策のためだけではなく、自分たちで問題やリスクを発見し、素早く改善することが目的です。
初心者向け用語解説:
内部監査: 社内のメンバーが独立した立場でチェックし、問題点や改善点を指摘するプロセス
外部監査: 認証機関の審査員による合否判定(ISO認証の可否を決定)
形骸化: 見せかけだけの運用で、実際の業務は変わらず、ISOの恩恵を受けられない状態
2. 内部監査の目的とは?ISO9001で求められる理由
2.1. 内部監査の基本目的:自己チェックで継続的改善を促す
内部監査の最大の目的は、組織がQMSをきちんと運用し続け、品質を高い水準で保ちつつさらに改善することです。
具体例: 製造業の現場で「作業標準どおりに実施しているか」「検査記録は正しくつけられているか」を監査→ 不備があれば、すぐに是正策を立案して再発を防ぐ。
2.2. 外部監査との違い:形骸化を防ぐコツ
外部監査: 合格・不合格を判定する審査→ 第三者が評価
内部監査: 自社メンバーによる自己点検→ 改善にフォーカス
コンサルTIP: 「内部監査は外部監査の練習」ではなく、本質は社内改善。「書類だけ整合性確認」で終わらず、実務の運用状況や社員の理解度なども深く見ていく。
2.3. リスクベース思考との関連
2015年版ISO9001では**“リスクと機会”**の考え方が重視されています。内部監査の際、どのリスクをどう管理しているか、その機会をどれだけ活かせているかをチェックすることが、企業の品質力を大きく左右します。
他社事例(製造業A社): リコールリスクを内部監査で指摘→ 工程改善に取り組み→ 不良率減少&顧客信頼度向上
3. 内部監査の流れ:初心者向けステップ解説
3.1. ステップ1:監査計画の立案
監査の範囲やスケジュール、監査員(誰がどの部署を見るか)を決める段階
事例(サービス業B社): コールセンターを重点的に見たい→ リスク大きい部門を優先的に監査範囲に入れる
3.2. ステップ2:監査準備(チェックリストや関連文書の整理)
対象部門の手順書、過去のクレームや不具合記録、品質目標などを確認→ 質問項目や重点確認点をリスト化
コンサル視点: 現場に聞く前に最低限の文書確認→ 効率よく実施できる
3.3. ステップ3:監査の実施(現場訪問・インタビュー)
現場観察+担当者への質問+記録確認→ “文書通りに運用? 実際はどう?”をチェック
注意: 質問は責める形でなく“どうやってるか教えて?”というスタンス→ 現場の本音が引き出しやすい
3.4. ステップ4:報告書作成とフィードバック
指摘事項・観察事項・良い点をまとめ、被監査部署にわかりやすく報告
他社事例(製造業C社): 月次で監査結果を共有→ 翌月には是正策を施し、外部監査前に弱点を補強
3.5. ステップ5:是正措置や改善策のフォローアップ
指摘箇所をどう直すか? 期限や担当者は?→ 再発防止策を実施→ 次回監査で効果を検証
メリット: これを繰り返すことで“高品質の維持”+“新たな問題の早期発見”が可能
4. 実務に役立つ内部監査の具体例:業種別サンプル
4.1. 製造業:工程監査で不良率を改善
背景: 機械加工の不良が多くクレーム頻発
監査実施: “作業標準通りに加工してる? 計測器の校正はOK?”などをチェック→ 不備を発見
成果: 不良率激減し、社内のコストダウン&顧客満足度UP
4.2. サービス業:コールセンター監査でクレーム減少
状況: 電話応対トラブルが増え、SNSでの悪評も…
監査内容: スクリプトやオペレーター訓練記録、クレーム処理速度などを確認→ 問題点を洗い出し改善
事例(サービス業D社): 3ヶ月後にクレーム件数30%減、顧客アンケート評価が2ランクUP
4.3. IT企業:バグ管理プロセス監査で品質UP
問題: ソフトウェア不具合が顧客への納期遅延やクレームを引き起こす
監査対策: バグ追跡システムの更新履歴や対応期限の管理をチェック→ 抜け漏れが判明
効果: 改善後はバグ修正速度が倍に→ 顧客満足度向上&再発注率アップ
5. よくある失敗と対策:内部監査を形だけで終わらせない
5.1. “監査チェックリスト”のみ消化し、実際の工程を見ない
失敗例: 質問表にYes/Noで答えただけ→ 製造現場やサービス現場が本当にマニュアル通りか未確認
対策: “現場ウォーク”を取り入れ、工程や操作を直接観察→ 文書と実態の差を把握
5.2. 改善提案が具体性に欠け、実行されない
“部署で気をつけましょう”程度では誰も動かない→ 次回監査で同じ指摘が繰り返し…
コンサルTIP: 原因分析(5Whyなど)→ 対策案を“いつ・誰が・どうする”まで明確化→ 確実に実行
5.3. 同じ指摘が毎回繰り返される
内部監査→ 指摘→ 軽い対処のみで根本解決しない→ 次回も同じ不具合が発生
事例(製造業E社): 過去3回「在庫管理不備」を指摘→ 結局在庫システム導入を決断し、ようやく解消
6. 内部監査と外部監査の関係:外部審査で評価される運用法
6.1. 外部監査は内部監査の延長線
外部監査: 第三者が“QMSがISO9001要求を満たすか合否を判定”
内部監査: 自主チェックで問題洗い出し→ 改善→ 外部監査で指摘されるリスク減
メリット: 内部監査で見つけた不備を修正済→ 外部審査で追加不適合が最小限に抑えられる
6.2. 内部監査の結果を“マネジメントレビュー”で活かす
監査報告を経営陣がレビュー→ 必要な投資や方針変更を決める
事例(IT企業F社): 開発遅延の原因を監査で特定→ レビュー会議で追加エンジニア採用を決断→ 遅延ゼロ達成
6.3. 外部監査前に“模擬審査”で最終チェック
コンサルや他部署が“外部監査員”役になり本番さながらに審査→ 最終的な弱点を早期改善
コンサル経験: 模擬審査をすると半分以上の企業が“不安点”を事前につぶせ、本番で不適合が激減
7. 監査員が見るポイント:内部監査の“質”
7.1. リスクベース思考:高リスク工程を重点チェック
審査員視点: 重大リスクや頻繁にクレームが出る部分をどのように内部監査しているか?
事例(製造業G社): 特殊工程に優先監査を行い、技術漏れや計測誤差を未然に防止→ 外部監査で“実効性ある”と高評価
7.2. 是正措置の迅速な実行と記録
指摘した不備をいつまでに直す? 原因は?→ アクションが曖昧だと形骸化
コンサルTIP: 是正報告書に“担当者・期限・対策効果検証日”など具体的に書く→ 次回監査で成果をチェック
7.3. 改善が社員に定着し、次回に活かされているか
毎回同じ指摘が繰り返される企業は“内部監査が流れ作業”と見なされる
他社例(サービス業H社): 1回の監査で見つけた問題→ 社内研修やマニュアル改訂に繋げ、次の監査で不備ゼロ
8. 成功事例:内部監査を活かして品質が高まった企業
8.1. 製造業I社:工程不良率を3ヶ月で50%削減
背景: ある製品ラインの不良率高→ 内部監査で原因が“作業員ごとに作業手順が違う”と判明
対策: 手順書を改訂し、全員へ周知+実務訓練→ 3ヶ月で不良率半減
効果: 外部監査でも“内部監査が改善に直結している”と称賛
8.2. 小売業J社:在庫管理の混乱を監査で解消し、欠品率大幅減
問題: 在庫数の確認ミス多発→ 欠品やダブル発注によるロス
内部監査: 倉庫担当者の作業観察&在庫管理システム運用チェック→ 手入力とシステムが連動していない
成果: システム同期&バーコード化→ 欠品率が月5%→1%に減少
9. まとめ:初心者向け!ISO9001の内部監査とは?目的と流れをわかりやすく徹底解説
9.1. 記事の総括:ポイントの再確認
内部監査の目的: 自社が構築したQMSを自分たちで点検→ 問題やリスクを早期発見し、改善へ繋げる
流れ: (1)監査計画 (2)準備 (3)現場監査 (4)報告書&フィードバック (5)是正措置フォロー
具体例: 製造業で不良率、サービス業でクレーム対応、IT企業でバグ管理など→ 内部監査で運用実態を確認
失敗例と対策: “書類だけ”or“抽象的提案”では形骸化→ 現場観察&具体策提示で効果的
外部監査との関係: 内部監査で弱点を補う→ 外部監査合格率UP、認証維持がスムーズ
成功事例: 不良率半減、クレーム大幅減、在庫管理精度UPなど多面的メリット
9.2. 今すぐできるアクション:初心者が意識すべきポイント
監査計画を明確化: リスクが高い部門を優先、監査員の独立性とスケジュールを設定
準備とチェックリスト作成: 部門の手順書や不具合データを事前に確認→ 質問項目を整理
現場観察+担当者インタビュー: 書類と現場が一致しているか? 実務者の声を聞く
報告と是正フォロー: 具体案を示していつ・誰が対応→ 次回監査で効果検証
経営への報告&外部監査対策: 改善状況をマネジメントレビューで共有→ リソース確保&外部審査に備える
あとがき
ISO9001の内部監査は、“社内の品質管理を自分たちで総点検し、改善を進める”大切なプロセスです。外部監査の合格だけを目的にしてしまうと形骸化し、せっかくのISOが活かされない恐れがあります。本記事で紹介した目的・流れ・具体例・失敗例を参考に、ぜひ内部監査を“本気の改善ツール”として使ってみてください。現場の声を聞き、リスクや不具合を早めにキャッチして是正し、社内効率や顧客満足度の向上につなげる――それこそが真のISO9001の価値。内部監査を活かし、組織全体の品質レベルを一段高めていただければ幸いです。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
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