初心者向け!ISO9001の維持審査とは?わかりやすく流れと対策を徹底解説!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 4月30日
- 読了時間: 8分

▼ 目次
1. はじめに
1.1. 本記事の目的と想定読者
ISO9001を取得した後も、維持審査(サーベイランス審査や更新審査)が定期的にやってきます。しかし、初めて担当する方や初心者にとっては「どんな流れで行われるの?」「何を準備すればいいの?」と疑問が尽きないかもしれません。本記事では、維持審査の概要やポイントをわかりやすく解説しつつ、実務に直結する具体例やコツを紹介します。コンサルタントの経験や他社での成功・失敗事例を交えながら、“審査前に抑えるべき対策”や“スムーズに合格を続ける秘訣”をお伝えします。
1.2. なぜISO9001の維持審査が大切なのか?
ISO9001の認証は、初回取得で終わりではありません。定期的な審査を受け、品質マネジメントシステム(QMS)が継続的に有効かどうかを確認されます。
初心者向け用語解説:
サーベイランス審査: 毎年または定期的に受ける軽めの外部審査
更新審査: 3年ごと(認証機関により異なる)で実施される、再認証のための本格的な審査
プロの視点: これらの審査を通じて「今もQMSがしっかり運用され、顧客満足度やリスク管理に対応しているか」を第三者が確認→ 不備があれば指摘が出て、重大なら認証取り消しの可能性も。
2. ISO9001維持審査の流れ:初心者向けステップ
2.1. ステップ1:日程調整・審査計画の確認
認証機関と連絡し、サーベイランス審査や更新審査の日時・範囲を決める
実務ポイント: 審査日は繁忙期を避け、内部監査や準備期間を確保してから設定するのがおすすめ
2.2. ステップ2:内部監査と自己評価
審査前に社内で内部監査を行い、問題点を把握→ 事前に是正措置しておくと外部審査で不適合を回避しやすい
他社事例(製造業A社): 内部監査で不具合を20項目発見→ 1ヶ月で対策→ 外部審査で指摘ゼロ達成
2.3. ステップ3:文書・記録の整理
品質マニュアル、手順書、記録類(クレーム対応表、内部監査報告書など)を最新版かつ整理された状態に
コンサルTIP: 紙ベースでも電子管理でもいいが、即時に提示できるようにまとめておくと審査員に好印象
2.4. ステップ4:審査当日のインタビューと現場確認
審査員が部門担当者へ質疑応答+ 実際の工程・書類をチェック
例(サービス業B社): コールセンターの通話ログやクレーム処理フローを見せ、PDCAの回り具合を説明→ 高評価
2.5. ステップ5:フィードバックと是正措置
不適合(major/minor)が出たら期限内に改善策を報告→ クリアすれば認証継続
他社事例: minor不適合多数でも迅速に是正報告→ 再審査なしで維持合格
3. 審査で確認される主なポイント:チェックリスト例
3.1. QMSの運用度合いと文書管理
品質方針や目標をどれだけ実行しているか? 手順書と現場運用のズレがないか?
失敗談: マニュアルは完璧でも“誰も読んでいない”→ 審査員に“形骸化”とみなされ不適合
3.2. リスクベース思考や改善状況
ISO9001:2015で強調される「リスク及び機会」への取り組み→ 具体的にどんな対策や成果が出ているか
成功例(IT企業C社): バグ対応リスクを最優先→ 新ツール導入で大幅にバグ減少→ 審査員に高く評価
3.3. 内部監査とマネジメントレビューの有効性
内部監査が形だけでなく、改善を生んでいるか? マネジメントレビューで経営が意思決定しているか?
コンサル視点: “監査報告の指摘→ 是正策実行→ 次回確認”のPDCAがしっかり回っているかを見る
3.4. 是正措置・再発防止
不具合やクレームをどうやって処理し、同じミスを防ぐ仕組みがあるか? 記録は?
他社事例(製造業D社): 過去クレーム履歴と是正報告を審査時に提示し、改善効果をアピール→ 不適合なし
4. よくある失敗と対策:維持審査で指摘される原因
4.1. 形だけのマニュアル・記録で実務が追いついていない
失敗例: 文書だけは整合性があるが、現場ルールと乖離→ 審査員質問に担当者が答えられず発覚
対策: 定期的に現場と話し合い、マニュアルを使いやすく更新。社員がマニュアルを理解し運用する風土づくり
4.2. 改善策が抽象的で実行されない
“注意喚起しました”“気をつけます”では、根本原因が未解決→ 再発リスク大
コンサルTIP: 問題発生の原因を深掘り(Whyを5回など)→ 担当・期限・効果検証まで設定
4.3. 内部監査の形骸化
監査員が“仲良し”で甘い指摘→ 本番審査で一気に不適合が出る
経験談: “内部監査で指摘ゼロ”は要注意→ 見落としの可能性→ 総点検が必要
5. 維持審査への対策:初心者が押さえる準備法
5.1. 内部監査の活用:模擬審査やリハーサル
自社の品質担当やコンサルが外部監査員になりきって質問→ 本番さながらの疑似審査で不備を事前につぶす
他社事例(製造業E社): 模擬審査を行った結果、10項目の潜在不備を発見→ 是正後、本審査は不適合0
5.2. 文書・記録管理システムの整備
紙・電子どちらでもよいが、すぐ提示できるよう索引やフォルダ管理を統一
成功例(IT企業F社): システム導入で迅速検索→ 審査員が求める資料を即時提示→ “運用把握が素早い”と高評価
5.3. 経営トップの関与と現場教育
トップが“ISO運用は現場任せ”ではなく、マネジメントレビューで改善指示→ 現場が真剣に取り組む
コンサル視点: 審査員への説明で“経営層が品質方針を理解し、資源も投入している”と示せれば印象◎
6. 事例:維持審査に成功し、品質管理を進化させた企業
6.1. 小売業G社:サーベイランス審査で在庫管理を改善
背景: 前回審査で在庫管理の不備を指摘→ 次回までに改善要
対応: 新システム導入+担当者教育→ 欠品率と誤出荷が激減
効果: 次回審査で“迅速な是正措置が行われた”として高評価+顧客満足度向上
6.2. サービス業H社:内部監査とPDCA徹底でクレーム半減
内容: コールセンターが苦情多発→ 審査でMinor不適合
対策: 内部監査で原因を分析→ スクリプト改訂&対応速度アップ
結果: クレーム半減&顧客リピート率上昇→ 維持審査で“不適合ゼロ”を達成
7. Q&A:初心者が抱きがちな維持審査への疑問
7.1. 「審査日はどれくらい前に決定する?」
一般的には3〜6ヶ月前に日程案が提示→ 企業都合とすり合わせ
コンサルTIP: 社内の業務スケジュールと重ならないよう早めに調整
7.2. 「更新審査とサーベイランス審査はどう違う?」
サーベイランス審査: 毎年or定期で軽めにQMSを確認→ 問題なければ認証維持
更新審査: 3年ごとのフル審査→ 実質的に再認証の合否を判断
注意: 更新時は審査範囲も広く時間もかかる
7.3. 「内部監査で指摘ゼロはいいこと?」
要注意: 指摘が全くない= 実態把握できてない可能性→ 外部審査で大量の不適合が出る危険
おすすめ: 小さな不備でも洗い出し、改善しておく方が安全
8. まとめ:初心者向け!ISO9001の維持審査とは?わかりやすく流れと対策を徹底解説
8.1. 記事の総括:ポイントの再確認
維持審査の意味: ISO9001認証を継続するために定期的に外部審査を受け、QMSが有効か確認
審査の流れ: (1)日程調整→ (2)内部監査→ (3)文書・記録整理→ (4)審査当日の現場確認&インタビュー→ (5)是正措置
チェック項目: リスク管理、品質目標達成度、内部監査・レビューの実効性、不具合への是正策など
失敗例と対策: “書類だけ運用”や“曖昧な改善策”で不適合リスク→ 具体的対策&内部監査の強化が鍵
成功事例: 早期の対策・PDCA徹底でクレーム激減、外部審査を好評価でクリアする企業が多数
初心者Q&A: 日程調整から更新審査との違い、内部監査指摘ゼロの注意点など
8.2. 今すぐできるアクション:初心者が意識すべきポイント
内部監査の強化: 問題を早めに発見→ 審査前に是正
文書・記録の一元管理: 審査員要求に即対応→ 時間ロスを防ぐ
PDCA運用: 指摘箇所は期限・責任者を明確にして再発防止→ 毎年の審査でも安定合格
経営層の関与: レビューで指摘内容を共有し、必要なリソースや方針を決める→ 現場の改善が加速
継続的改善の姿勢: 単に認証を守るだけでなく、顧客満足度向上やコスト削減を狙う
あとがき
ISO9001の維持審査は、取得後も組織が継続的に品質マネジメントを実践しているかを検証する大切なプロセスです。ここで“形だけ”の運用が露見すると不適合が多数指摘され、場合によっては認証取り消しのリスクも。本記事で述べた流れ・チェックポイント・失敗事例と対策を参考に、内部監査やドキュメント整備をきちんと行い、PDCAを回し続けることで、審査員に“運用が本当に機能している”と感じてもらえます。すると、クレーム減少や現場効率化など実際の業務メリットも得られ、企業としての品質力がさらに高まるはず。ぜひ、維持審査を“面倒な行事”ではなく“継続改善のチャンス”と捉え、ISO9001を企業の強力な経営ツールとして活用してください。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
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