初心者向け！ISO9001での経営者の責任とは？わかりやすく具体例を徹底解説！
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 5月1日
- 読了時間: 8分
▼ 目次
1. はじめに
1.1. 本記事の目的と想定読者
ISO9001を導入・運用するうえで、しばしば耳にするのが「経営者（トップマネジメント）の責任」という言葉です。しかし、「経営者の責任って具体的に何をすればいいの？」「実際にはどんな行動が求められるの？」と疑問を持つ方も少なくありません。本記事では、ISOコンサルタントの視点を交えながら、初心者にもわかりやすい言葉で「経営者の責任」とは何かを解説し、実務に直結する具体例や成功事例・失敗事例も紹介します。
この記事で得られること:
ISO9001で経営者にどのような責任があるのか理解できる
実務で活かせる具体的な行動例やポイントがわかる
失敗しがちな落とし穴を回避し、外部審査でも高評価を目指せる
1.2. なぜISO9001で“経営者の責任”が重要なのか？
ISO9001は「品質マネジメントシステム（QMS）」を確立するための国際規格ですが、経営者がリーダーシップを発揮しないと形骸化する恐れが高いです。経営者が「品質は大事だけど現場任せ」と考えている企業では、現場が予算や人員配置に苦労し、継続的な品質向上が進みません。リスクベース思考の視点でも、経営トップがリスクや機会を見極め、品質方針をリードすれば、後工程での不良や顧客クレームリスクをぐっと下げ、ビジネスの成功へつなげやすくなります。
2. ISO9001における経営者の責任：基本の考え方
2.1. トップマネジメントの役割：品質方針と戦略的目標
ISO9001規格では、経営者（トップマネジメント）が企業全体の品質方針を策定し、明確な目標を提示することを求めています。
具体例: 「不良率1％以下」「クレーム件数を月5件以内に抑える」「顧客アンケート80点以上」など数値目標を掲げると社員にとってわかりやすい
コンサルTIP: 経営方針と品質目標を連動→ 「品質向上が利益や顧客満足度アップにつながる」と社員に伝え、全社の意識を統一する
2.2. リーダーシップと組織文化の形成
経営者が品質を重視している姿勢を具体的に示し、必要なリソース（人材・設備・予算）を投入することで、品質を大切にする組織文化が育ちます。
他社事例（製造業A社）: 社長が毎週の品質会議に参加し、クレーム原因や改善策を自ら確認→ 現場のモチベーションが上がり、クレーム率激減
2.3. リスクベース思考との関連
ISO9001:2015では、リスクと機会の管理がポイントですが、これらを判断し最終決定するのは経営トップ。
実務例: 新たな製品ライン導入に際し「リスクはあるが、将来性がある」と判断→ 投資を決めた結果、市場シェアが拡大
3. 経営者の責任：わかりやすい具体例
3.1. 例①：品質方針の策定と浸透
経営者が「どんな品質目標を達成し、どんな企業を目指すか」を明文化し、全社員へ周知する。
成功例（サービス業B社）: 社長が「顧客への対応スピード最優先」と宣言→ 各部署が対応マニュアルを見直し、クレームが減少し顧客満足度アップ
3.2. 例②：必要資源・投資の決定
品質向上には社員教育、検査設備、ITツールなどが必要→ 経営者が予算を確保しないと実行できない
失敗談: 不良率が高まっても「設備投資費用がもったいない」と放置→ 最終製品のクレームや再加工コストでかえって損失が増大
3.3. 例③：組織構造や責任分担の明確化
経営者が品質担当を任命し、品質管理部などの責任範囲をはっきりさせる
メリット: クレーム発生時の対応フローが確立→ スピーディーに原因を追及し再発防止へ
3.4. 例④：リスクや機会の評価・戦略的決定
経営者が市場動向や顧客ニーズを把握→ “新製品に挑戦すべきか？” “現行品を改良すべきか？”などリスクと機会をバランスよく評価
体験談（IT企業C社）: “セキュリティ対策を強化”する投資を決断→ 顧客からの信頼が高まり売上伸長
4. 経営者が果たすべき具体的なISO9001要求事項
4.1. 項番5.1 リーダーシップとコミットメント
経営者が品質マネジメントシステムに積極的にかかわり、結果責任を負う
コンサルTIP: 外部審査でも「経営トップは品質に本気でコミットしているか？」を必ず確認→ 経営者の言葉や行動が重要
4.2. 項番5.2 品質方針の策定とコミュニケーション
経営者自身が品質方針を策定し、社内外に周知→ マニュアルや朝礼、掲示板など多方面で告知
他社事例: 製造業D社が方針を簡潔なスローガンにまとめ、社員の意識が劇的に高まった
4.3. 項番5.3 組織の役割、責任、および権限
経営者が部門や管理者の権限範囲を決め、すべての活動がISO9001要求と整合しているか監督
メリット: 問題発生時に責任の所在が明確→ “誰が何をすべきか”がはっきりして対応が早い
5. 失敗を防ぐ実務ポイント：経営者の責任が形だけにならないために
5.1. “品質は担当部署任せ”ではなく、定期的に会議参加
失敗例: 社長が“忙しい”を理由に品質会議を欠席→ 現場が必要予算を申請できず対策が進まない
対策: 経営者が週1回 or 月1回、品質報告を必ずチェックし、重大問題に指示→ 改善が速くなる
5.2. 品質目標を売上・利益に直結させて社員に動機付け
“不良率削減” “クレーム減”などの品質目標が達成されると、コスト減や顧客満足度UPで売上増につながる→ 経営者がそれをアピールすると社員のやる気も高まる
コンサルTIP: “品質を高めるほど会社が伸びる”という成功事例を紹介し社内を巻き込む
5.3. 経営者が自らリスク評価や内部監査結果を確認
リスクや監査結果を経営者が本気で見ないと、良い提案も実行されず形骸化
体験談: 一度クレーム対応に失敗し大損害を出した製造業E社→ 社長が監査レポートを細かく読むようになり、不良率大幅減
6. 経営者がリーダーシップを発揮するメリットと審査での評価
6.1. メリット：品質改善が加速し、競合優位性UP
経営トップが品質に予算と人を投じる→ クレーム・不良率減でリピート率向上
製造業F社事例: 社長が高性能検査機導入を決断→ 不良率が半分に→ 大手取引先からの受注増
6.2. 外部審査での好評価ポイント
審査員は“トップがQMSに関与しているか”を重視→ 会議議事録やマネジメントレビューへの参加状況をチェック
具体的視点: 経営者が品質方針・リスク対策を説明できれば「リーダーシップが取れている」と判断
7. 他社事例：経営者の責任を活かして品質向上に成功したケース
7.1. 製造業G社：トップが主導して大幅改善
背景: 不良率が高くクレーム多発→ 部門任せで手詰まり
経営者の行動: 社長が週1の品質ミーティングを開始、現場の意見を予算面でサポート
結果: 1年で不良率を3%→1%に削減、顧客満足度向上→ 審査でも“トップダウンの成果が顕著”と高評価
7.2. サービス業H社：クレーム多発を経営者が直視→ 改善提案が活性化
経緯: カスタマーサポートのクレームが激増→ 経営者が実情を把握していなかった
改善: 経営トップがクレーム件数や内容を毎週モニタ→ 予算をつけてサポート体制拡充
効果: クレーム処理速度向上→ “不満”が“感謝”に変わる事例増→ 顧客離れ減少
8. まとめ：初心者向け！ISO9001での経営者の責任とは？わかりやすい具体例を徹底解説
8.1. 記事の総括：ポイントの再確認
ISO9001での経営者の責任: 品質方針策定、リーダーシップ発揮、リスク管理、必要な資源配分など多岐にわたる
わかりやすい具体例: (1)品質方針＆目標設定 (2)投資・予算決定 (3)組織体制の明確化 (4)リスク評価と戦略的決断
失敗例と対策: (a)“現場任せ” (b)形骸化 (c)リスクへの投資不足など→ 経営者がコミットし改善を促す
実務メリット: 不良率減・クレーム減・売上増など競争力UP→ 外部審査でも好印象
成功事例: トップの本気度が伝わると、社員の意識改革が進み、業績が伸びる
8.2. 今すぐできるアクション：初心者が意識すべきポイント
経営者自ら“品質方針”を明文化し社内へ周知: 朝礼・ポスター・社内SNSなど
品質会議への定期参加: 改善提案を迅速に予算決定→ 現場のモチベーションUP
リスク＆機会の検討: 経営戦略の一部として品質課題を把握し、トップが意思決定
内部監査レポートを必ず確認: 改善が滞る場合、トップ判断で打開→ 形骸化防止
社員への動機付け: “品質向上＝ 会社の利益＆顧客満足度UP”と具体的にアピール
あとがき
ISO9001の規格では、経営者（トップマネジメント）のリーダーシップが不可欠と強調されています。品質方針を決めても、現場任せや資源不足ではまともに回らず、形骸化するリスクが高いです。本記事で紹介した具体例や実務ポイントをぜひ活用し、経営者自身がQMSの中心人物として動いてみてください。不良率削減や顧客クレーム減少などの具体的成果が上がれば、企業全体のモチベーションも高まり、外部審査でも“リーダーシップが行き届いている”と高く評価されます。経営トップがISO9001を本気で使うことで、企業の競争力や顧客信頼を確実に高めていけるでしょう。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
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