ISO9001の品質目標:営業部門でどう作る?具体的な例と運用ポイントをわかりやすく紹介!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 5月8日
- 読了時間: 7分

▼ 目次
1. はじめに
1.1. 本記事の目的と想定読者
ISO9001の導入を検討していると、「品質目標は製造や開発だけでなく、営業でも設定が必要?」と疑問に思う方が多いです。実際、ISO9001は全社的な品質マネジメントを求める規格なので、営業部門も例外ではありません。
この記事で得られること:
営業部門に特化した品質目標の設定例を学び、初心者でも混乱せずに取り組める
具体的なKPIや運用上のポイントを知り、すぐに実務に活かせる
コンサルタント視点のアドバイスや、他社の成功・失敗事例を参考にしながら効率的に導入可能
想定読者は、営業部門でISO9001を導入しようとしている管理者・担当者や、「品質目標をどう作るか」で悩む初心者の皆さんです。
1.2. ISO9001で“営業部門の品質目標”がなぜ重要?
ISO9001の規格は、製造や開発だけでなく組織全体に対して品質向上を求める仕組みです。営業部門も、顧客との最初の接点や契約管理など、会社の品質イメージを左右する重要な役割を担っています。
初心者向け用語解説:
品質目標=「企業や部門が達成すべき具体的な数値目標や基準」を指し、ISO9001では部門ごとに設定を推奨
顧客満足度= 営業対応の質が直接影響し、クレームやリピート率につながる指標
2. 営業部門における品質目標の位置づけ:ISO9001の基本
2.1. 規格の狙い:営業プロセスも顧客満足度に直結
営業活動の中でも、見積作成ミスや契約内容の不備などが起きれば、顧客満足度が落ちてクレームに発展するケースがあります。
具体例: 見積り段階でヒアリング不足→ 後から仕様変更が発生し、納期や費用トラブルに
2.2. リスクベース思考と営業品質
ISO9001:2015以降、リスクベース思考が求められています。営業部門でも、顧客対応や契約手続きの段階でどんなリスクがあるかを洗い出し、品質目標を設定することが重要です。
コンサルTIP: 「納期調整ミスが多い」「不明確な契約書でクレーム発生」など、リスクを先に想定→ 必要な目標やルールを作る
2.3. 初心者が押さえるべき用語
KPI(Key Performance Indicator):品質を数値で測る主要指標。例えばクレーム件数や顧客満足度
クレーム初回対応時間:顧客からの問い合わせや不満を受けて、営業が何時間以内に対応を開始するか
見積リードタイム:顧客要望を受けてから見積書を出すまでにかかる平均時間
3. 営業部門の品質目標:具体的には何をどう作る?
3.1. 顧客満足度やクレーム対応率を指標に
営業部門の品質目標として分かりやすいのが、顧客からの声を数値化する指標です。
例: 「クレーム対応開始を24時間以内にする」「問い合わせメールの返信を100%翌営業日までに行う」など
他社事例(サービス業A社): メール初回返信を4時間以内に設定→ 返信遅延クレームが半減
3.2. 契約不備率や納期遵守率など数値化
営業が契約書を取りまとめる場合、「契約不備率」「不適合のない契約書作成率」といった目標が考えられます。
実務メリット: 曖昧契約や仕様漏れが減り、後からのクレームや追加費用発生を防ぎやすい
3.3. “プロセス”として営業を捉える視点
ISO9001の“プロセスアプローチ”を使うと、営業の流れ(問い合わせ受付→見積→契約→引き渡し)を一連の工程として見直し、どこでトラブルが起きやすいかを特定しやすくなります。
成功例: 「見積プロセス」に要件ヒアリング不足というリスク→ “ヒアリングシートを必ず使う”ルールを品質目標に設定し、ミス大幅減
4. 具体的な参考例:営業部門の品質目標リスト
4.1. クレーム関連
クレーム初回対応時間:クレーム発生から◯時間以内に営業担当が連絡を入れる
クレーム再発率:同じトラブルがどの程度繰り返されるかの割合→ 低下させるほど顧客満足度UP
4.2. 納期・契約関連
納期遵守率:営業が確約した納期を守れる割合
契約不備率:契約書や見積書に誤記・漏れがある件数 or 率
4.3. 顧客満足度・リピート
CS(Customer Satisfaction)スコア:顧客アンケートで評価(5段階評価など)
リピート率:再注文や追加契約の割合(顧客ロイヤルティを測る指標)
4.4. その他の具体例
問い合わせ対応速度:問い合わせから回答を出すまでの平均時間
見積リードタイム:見積依頼→見積提出までの日数(短縮すれば顧客に好印象)
5. 営業部門で品質目標を作るときの運用ポイント
5.1. 経営方針や全社目標と連動させる
品質目標は全社的な品質方針や事業戦略との整合が重要です。営業だけ独立しても、製造やサポートが別方向を向いていれば効果半減。
コンサルTIP: 全社の品質方針が「クレーム率1%以下」なら、営業部門は“クレーム減”を意識した具体的行動目標を作る
5.2. 数字で測定しやすいKPIを設定
“顧客に満足してもらう”だけでは抽象的→ 不良率0.5%以下や初回返信24時間以内のように具体化がポイント。
メリット: 達成度を客観的に把握でき、PDCAサイクルで評価しやすい
5.3. 定期的なレビューとフォローアップ
目標を立てっぱなしで放置すると形骸化→ 月次or四半期ごとに数値を確認し、未達なら原因分析&是正策を検討。
失敗例: 会議がただの報告会になり改善アクションが決まらず→ 何も変わらない
6. よくある疑問と失敗事例:営業部門で品質目標が機能しない場合
6.1. 疑問1:営業は売上目標が最優先、品質目標は必要?
実際: クレーム多発や契約ミスで信用を落とすと売上にも悪影響→ 品質目標は売上に直結
対策: 売上アップと矛盾しない指標(顧客満足度、リピート率など)を品質目標に取り入れる
6.2. 疑問2:クレーム数が少ないなら問題ない?
クレーム0でも、潜在不満が表面化していない可能性→ 定期的にアンケートやフォローコールで顧客の本音をキャッチ
他社事例(サービス業C社): “クレーム0”だと油断→ 調査で不満が多数潜在→ 改善後リピート率が2割アップ
6.3. 失敗例:目標数値が非現実的→ 現場が諦め放置
原因: 経営者が現場理解なしに高すぎる目標を設定→ 落差にスタッフもやる気喪失
コンサルTIP: 過去データや現場ヒアリングを参考に「少し挑戦的だが可能」な数値を設定→ 達成の楽しみを作る
7. まとめ:ISO9001の品質目標:営業部門でどう作る?具体的な例と運用ポイントをわかりやすく紹介
7.1. 記事の総括:ポイントの再確認
営業部門にもISO9001の品質目標が必要: 顧客満足やトラブル防止に直結
規格とリスクベース思考: 営業プロセスを可視化し、リスクの高い部分に合った指標を設定
具体例: クレーム関連(初回対応時間など)、納期・契約関連、リピート率、CSスコアなど
運用のコツ: 全社方針との連動、数値化、定期レビュー→ PDCAを回す
よくある失敗: 高すぎる目標や放置→ 結果が出ない→ 改善が回らない
7.2. 今すぐできるアクション:初心者が意識すべきポイント
経営・現場で話し合い、数値化しやすいKPIを決定: クレーム件数、納期遵守率など
リスクベース思考で優先順位づけ: 全てを追うのは大変→ 重大リスクの工程に集中
月次or四半期で目標達成度をチェック: 未達時は原因を分析、改善策を速やかに実行
記録をしっかり残す: 内部監査・外部審査でも、実施証拠として品質目標の達成度を示せる
成功体験を共有しモチベUP: 小さな達成でもチームで称え合い、士気向上につなげる
あとがき
ISO9001は製造や開発の品質管理だけでなく、営業部門を含む組織全体で品質向上を目指す仕組みです。営業部門でも、クレーム対応や契約管理などが十分に整備されていないと、大きなクレームや信用失墜に繋がるリスクが高まります。本記事でご紹介した具体的な品質目標例(クレーム初回対応時間、契約不備率、リピート率など)や運用のコツを参考に、営業部門でのデータ活用やPDCAサイクルを回してみてください。内部監査や外部審査で“営業部門も品質を意識している”と評価されるだけでなく、顧客満足度アップや売上増といった経営効果も得られるはずです。ぜひ、ISO9001の枠組みを活かして、営業品質をさらに高めていきましょう。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
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