ISO9001の“用語及び定義”って何?初心者向けに簡単解説&導入時の注意点を紹介!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 17 時間前
- 読了時間: 7分

▼ 目次
1. はじめに
1.1. 本記事の目的と想定読者
ISO9001を取り入れようとすると、「専門的な用語が多くて何が何だか分からない…」という声をよく聞きます。実際、審査書類やマニュアルのなかには、リスクベース思考や利害関係者など、新しく出てきた言葉もあり、慣れないと混乱しがちです。
この記事で得られること:
ISO9001の用語と定義を初心者でも理解できる形でまとめた
用語の背景やポイントを把握することで導入時のトラブルや誤解を減らせる
コンサルタント視点のアドバイスや事例を参考にしながら、社内展開や監査時の対策がとりやすくなる
想定読者は、ISO9001を初めて導入する中小企業の管理者・品質担当者や、「規格の言葉が難しくて困っている…」と感じる初心者の皆さんです。
1.2. ISO9001で“用語及び定義”が重要な理由
ISO9001には専門用語が多いため、間違った理解のまま運用を進めると、マニュアルが形だけになったり、監査での指摘を受けやすくなります。
初心者向け用語解説:
「用語及び定義」:ISO9001規格内で使われる専門用語の意味をまとめた部分や、関連文書(JIS Q 9000など)に記載された定義を指す
2. ISO9001「用語及び定義」とは?基本を簡単に解説
2.1. 規格上の位置づけ:ISO9001の用語セクションについて
ISO9001規格の冒頭や付属文書には、品質マネジメントシステムを運用するうえで必要な用語がたくさん登場します。
例:プロセスアプローチ, 利害関係者, リスクベース思考, 文書化した情報, etc.
規格で重視される考え方(JIS Q 9000など)
JIS Q 9000:ISO9001の基礎・用語を日本語でわかりやすくまとめた文書
メリット: ここで紹介される定義を理解すれば、ISO9001本体の条文もスムーズに読める
2.2. リスクベース思考との関係
ISO9001:2015からは、リスクベース思考が重要な位置づけになりました。
リスクベース思考:不具合や問題が起こる前にリスクを予測し、先手を打って対策する発想
コンサルTIP: 用語の背景として、「リスク」を含む条文を理解しないと、監査で「リスク評価が不十分」と指摘されやすい
2.3. 初心者が押さえるべき用語のポイント
単なる和訳だけを覚えるのではなく、「なぜその言葉が規格に登場し、どんな狙いがあるか」まで理解すると運用が楽になる
ヒント: “リスク”や“利害関係者”など、新版からのキーワードを重点的に学ぶと効率的
3. 主要キーワードの簡単解説:覚えておきたい用語
3.1. 品質マネジメントシステム(QMS)
定義:組織が顧客要求や法令を満たしながら品質を継続的に向上させるための仕組みの総称
イメージ:会社の仕事をPDCAで回し、常に改善する管理システム
3.2. 利害関係者(ステークホルダー)
定義:組織の活動に影響を与えたり、受けたりするすべての人や団体
具体例:顧客・従業員・仕入先・株主・地域社会など
メリット:それぞれのニーズや期待を把握し、トラブルやクレームを防ぐ
3.3. リスクベース思考
定義:計画段階でリスクと機会を考慮し、問題を未然に防ぐ考え方
実務例:重大クレームが起きるリスクが高い工程を重点管理→ クレーム削減と効率化を同時に図る
3.4. プロセスアプローチ
定義:業務を部門別ではなく“受注→設計→製造→出荷”など一連の流れ(プロセス)として管理し最適化する考え方
効果:部門間のコミュニケーションがスムーズになり、ムダや手戻りが減る
3.5. 文書化した情報
定義:ISO9001で必要なマニュアル・手順書・記録類を含むすべての文書(紙・電子問わず)
注意点:改訂管理や旧版の破棄などを徹底しないと、混乱やミスが多発
4. 導入時の注意点:初心者がつまずきやすいポイント
4.1. 用語の理解不足で規格の要求を誤解する
原因:新しい言葉を聞いても「なんとなく分かった気がする」だけで運用に落とし込めない
対策:JIS Q 9000や規格本文を照らし合わせながら、社内研修や勉強会を開催し共通理解を図る
4.2. 社内への周知と用語統一が不十分
失敗例:営業部は“リスク”を“危険”と認識→ 製造部は“不確実性の管理”と認識→ 意味がズレてコミュニケーション齟齬が発生
コンサルTIP:全社で「ISO9001用語集」を作り、具体的な社内事例とセットで説明
4.3. 規格に書いてある言葉をそのまま使って形骸化
原因:専門用語を無理やり社内文書に入れる→ 現場が使いこなせず運用停滞
成功例:リスクベース思考= “予め不具合を想定して先手を打つ習慣” といった言い換えで現場が理解しやすくなる
5. 他社事例:成功・失敗から学ぶ用語・定義の活用法
5.1. 失敗事例:用語の誤解でマニュアル作りが二度手間
原因:担当者が“プロセスアプローチ”を部門割りのことだと思い込み→ 結局フローが整理できず手戻り
改善:規格解説本やコンサル指導を受け、プロセス(工程)全体像を捉え直し→ 混乱を解消
5.2. 失敗事例:トップが“リスクベース思考”を軽視→ 審査で大きな指摘
原因:昔ながらの“問題が起きたら対処”型→ リスクは事後対応で十分と判断
コンサルTIP:経営者に「リスクを先読みすればクレームコストや損失を減らせる」意義を強調し、導入を促す
5.3. 成功事例:用語集を社内Wiki化してクレーム激減
製造業A社:ISO9001キーワードと社内用語との対比表をWiki化し、部門ごとに更新
効果:全員が同じ認識で業務フローを運用→ 作業指示のミスやクレームが2割減
6. 用語・定義を導入時に活かすポイント:コンサル視点のアドバイス
6.1. 社内用語とISO用語の対比表を作る
メリット:新しい用語を会社独自の言い方に置き換え、現場がスッと理解できる
例:“リスク”を“事前対応が必要な問題のタネ”、 “ステークホルダー”を“社内外の大事な関係者”など
6.2. 用語教育を新人研修や定期勉強会で行う
理由:言葉を知ったつもりでも忘れやすい→ 新人だけでなく既存社員にも定期的に復習
成功例:半年おきに勉強会をして“プロセスアプローチ”や“リスクベース思考”を社内事例で再確認
6.3. 内部監査でも“用語理解”を確認する
実務アドバイス:監査員が「このリスクベース思考はどのように運用してますか?」など短い質問で理解度をチェック
成果:部署間での用語理解差を発見・是正しやすい
7. まとめ:ISO9001の“用語及び定義”って何?初心者向けに簡単解説&導入時の注意点を紹介
7.1. 記事の総括:ポイントの再確認
“用語及び定義”の重要性:ISO9001の専門用語を誤解すると、導入や審査でつまずきやすい
主要キーワード:品質マネジメントシステム、利害関係者、リスクベース思考、プロセスアプローチなど
導入時の注意点:社内周知・用語統一が不十分だと混乱や形骸化を招く
他社事例:用語の誤解で手戻り/社内用語集やWiki化でトラブル激減
活かし方:社内用語と対比、定期勉強会、内部監査で理解度チェック
7.2. 今すぐできるアクション:初心者が意識すべきポイント
ISO9001の主要用語をピックアップし、簡単な社内用語集を作る
リスクベース思考やプロセスアプローチなど、規格の根幹用語を重点学習
社内勉強会・新人研修で繰り返し説明→ 忘れ防止&全員の共通認識を育てる
内部監査で用語理解を質問→ 足りない部分があれば追加教育
形骸化防止:規格の用語をそのまま使うのではなく、社内実情に合わせた言い換えや具体例を示す
あとがき
ISO9001には専門的な言葉が多いため、最初は「英語の規格文書を無理やり日本語訳したような…」と感じるかもしれません。しかし、その言葉一つひとつに、品質向上の狙いや効率化の手がかりがあります。本記事で紹介した主要用語の解説や注意点を参考に、まずは**“用語と定義”を正しく理解し、社内で共通認識を持つところから始めてみてください。そうすることで、審査対応もスムーズになり、リスク削減・業務改善の実感を得られるはずです。ぜひ、ISO9001の用語を味方につけて、クレーム減少やコスト削減**といった効果を実現しましょう。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている