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ISO9001・ISO14001の統合マニュアルとは?作り方・具体例・参考例を徹底解説!

  • 執筆者の写真: 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
    【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
  • 3 分前
  • 読了時間: 9分

ISO9001・ISO14001の統合マニュアルとは?作り方・具体例・参考例を徹底解説し、一体運用で品質と環境を効率化。長期的メリットや審査対策も網羅します!

▼ 目次


ISO9001・ISO14001の統合マニュアルとは?作り方・具体例・参考例を徹底解説し、一体運用で品質と環境を効率化。長期的メリットや審査対策も網羅します!

1. はじめに

● ISO9001・ISO14001の統合マニュアルとは?

ISO9001(品質マネジメントシステム)とISO14001(環境マネジメントシステム)は、企業が品質と環境の両面から継続的な改善を目指すための国際規格です。通常は別々のマニュアルや仕組みを運用しますが、**両規格を一体化した“統合マニュアル”**を作成することで、文書管理や監査対応が効率化します。

  • 統合マニュアル: 品質と環境の共通部分をまとめ、重複管理を減らす仕組み

  • 本記事の目的: 統合マニュアルのメリットや作り方、具体例を徹底解説し、実務に役立つヒントを提供



2. なぜ統合マニュアルを作るのか? そのメリットと効果

● 文書管理の効率化

品質マニュアルと環境マニュアルを別々に運用していると、

  • 文書の重複: 同じ手順や項目をそれぞれ書いてしまう

  • 改訂時の手間: 両方のマニュアルを更新する必要がある

統合すれば、同じ情報を一度に管理でき、更新や配布が一括で済むようになります。

● 審査対応の簡略化

ISO9001とISO14001の認証審査を同時進行しやすくなります。

  • 監査員も品質と環境をまとめてチェックできるため、審査時間を短縮したり、費用を節約できるケースも多いです。

● 組織全体の意識統一

品質と環境をバラバラに考えるのではなく、**「品質向上+環境保護=社会的責任を果たしながら企業価値を高める」**という一体的な考え方が浸透しやすくなります。



3. ISO9001とISO14001を統合するための基本的な考え方

● ハイレベルストラクチャー(HLS)

近年のISO規格(ISO9001:2015、ISO14001:2015など)は、項番 4〜10の構成が共通化されている「ハイレベルストラクチャー(HLS)」を採用しています。

  • 項番 4: 組織の状況

  • 項番 5: リーダーシップ

  • 項番 10: 改善

これによって、品質と環境の要求事項が似た構成になったため、統合マニュアルにまとめやすくなりました。

● 共通する要求事項と特有要素

  • 共通部分: リスク管理、文書管理、内部監査、継続的改善など

  • 特有要素:

    • ISO9001では顧客満足度や不良率の削減など品質面に重点

    • ISO14001では法規制の遵守(排出基準、廃棄物処理など)や環境影響評価に重点

統合マニュアルでは、共通する仕組み(リスクと機会の特定、監査手順など)を一元化し、品質と環境で異なる部分は章や項目を分けて管理するのが基本です。



4. 統合マニュアルを作る前に押さえる準備ポイント

  1. 現状の文書や手順を棚卸し

    • ISO9001マニュアル、ISO14001マニュアル、作業手順書、記録類などをまとめて把握する

    • どこが重複し、どこが分離しているのかをチェック

  2. 経営層のコミットメントと全体方針の整理

    • 経営者が「品質と環境をどう両立して企業価値を高めたいか」を明確にする

    • 経営方針を改訂し、「品質方針+環境方針」の統合方針を打ち出す場合もある

  3. 関連する法規制とリスクの把握

    • 環境関連法規(排水基準、大気汚染防止法など)と品質リスク(不良率やクレーム管理)を整理

    • 統合時に相反する要求がないか、または相乗効果を狙えるか確認


ISO9001・ISO14001の統合マニュアルとは?作り方・具体例・参考例を徹底解説し、一体運用で品質と環境を効率化。長期的メリットや審査対策も網羅します!


5. 統合マニュアルの作り方:ステップ別ガイド

  1. 統合方針の策定

    • なぜ統合するのか? どの範囲を含めるのか? 経営者と主要部門で方向性を共有する

    • 例:製造部門と環境管理部門を中心に、建設業なら施工管理部門とも連携

  2. 項番ごとの共通要素と独自要素の統合

    • ハイレベルストラクチャーに沿い、品質+環境で共通する文書は1つにまとめる

    • 特有要素はサブ項目に分ける

    • 例:項番 8(運用)において、品質手順と環境手順を別々の章で並列化

  3. ドラフト作成と部署レビュー

    • 各部署(品質管理部、環境管理部、製造部、営業など)でクロスチェック

    • ここで発生する意見をもとに文書の修正

  4. 運用手順や記録様式の整合

    • たとえば「製造記録(品質)」と「廃棄物記録(環境)」を統一様式で管理できないか検討

    • 「文書管理ルール」も一本化することで、更新漏れを防ぐ

  5. 最終承認とリリース

    • 経営トップが承認後、全社員に「これが新しい統合マニュアルです」と周知

    • 内部監査や教育で活用できるように、わかりやすい体裁を目指す



6. 具体例・参考例:項番の統合方法

ハイレベルストラクチャーに沿ったレイアウト例を示します。

  • 4:組織の状況

    • 4.1: 品質・環境の外部課題と内部課題を一緒に整理(市場動向、法規制など)

  • 5:リーダーシップ

    • 5.2: 統合された「品質・環境方針」

    • 5.3: 組織図に品質責任者と環境責任者を同列かつ連携させる

  • 6:計画

    • 6.1: リスクと機会(品質リスク&環境リスク)を同じ表で管理

    • 6.2: 統合目標(不良率&エネルギー使用量を同時に削減など)

  • 8:運用

    • 8.4: 外部提供プロセスを品質・環境基準で同時に評価

    • 8.5: 製造や施工手順で環境配慮項目を追加

  • 10:改善

    • 10.2: 不適合と是正処置を品質・環境問わず一括管理で再発防止策を共有



7. 統合マニュアルの成功事例

● 事例A:製造業での導入

ある部品メーカー(従業員100名)では、ISO9001とISO14001を別々に運用していました。

  • 問題: 文書管理が煩雑、監査が年2回でコスト増

  • 統合後: 文書を30%削減し、年1回の統合監査で済むようになり、監査費用が約2割ダウン

  • 効果: 全社員が「品質・環境」を一体で考え、原材料ロスを減らす施策に繋がった

● 事例B:建設業での導入

建設業のB社は、複数の現場で環境負荷(廃棄物削減や騒音対策)と品質(工期遵守や仕上がり)を同時に管理したいと考え、統合マニュアルを作成。

  • 結果: 安全管理や協力会社への要望もまとめやすくなり、現場の負担が軽減

  • 不具合や環境トラブルが起きた場合の手順を一本化し、対処が迅速になった



8. 統合マニュアル運用で注意すべき点

● 項番 8.3(設計開発)などの除外要素の扱い

  • 企業によっては「設計開発は行っていない」場合もあります。

  • ISO9001では除外が認められるが、ISO14001側で設計に関する法規制があるケースも考慮し、両規格の立ち位置を調整する。

● 文書管理システム(DMS)の活用

  • 統合マニュアルをPDFやクラウド上で管理し、常に最新版を全社員が見られるようにする

  • 変更時には、自動的に通知が送られる仕組みを持つシステムを使うと便利

● 運用で起こりがちな混乱への対処法

  • 品質部門と環境部門の役割分担が曖昧になるとトラブル

  • 統合マニュアル内で、担当部署や責任者をハッキリ記載し、社内周知する



9. 統合マニュアルがもたらすメリットとデメリット

● メリット

  1. 文書管理の効率化: 重複文書を削減し、更新作業を一本化

  2. 審査コスト・工数の削減: 統合監査で一度にチェックできる

  3. 組織全体の意識統一: 品質と環境を両立した経営が浸透

● デメリット(注意点)

  1. 複雑化のリスク: もともと別の焦点(品質・環境)をまとめるため、内容が混ざり合って分かりにくい恐れ

  2. 大規模変更に対する現場の抵抗: 既存の業務フローを大きく変える場合、反発や混乱が起きる可能性


ISO9001・ISO14001の統合マニュアルとは?作り方・具体例・参考例を徹底解説し、一体運用で品質と環境を効率化。長期的メリットや審査対策も網羅します!


10. 統合マニュアル作成にかかる期間とコスト

● 作成期間の目安

  • 小〜中規模企業: 3〜6ヶ月程度で統合マニュアルを完成させ、運用開始

  • 大企業・多拠点企業: 半年〜1年かかることもあり、各拠点ごとの文書や要求を調整する手間が増大

● 主なコスト要素

  • コンサルタント依頼費(規模や既存システムによる)

  • 社内プロジェクトメンバーの人件費(会議や文書作成に割く時間)

  • 認証機関の審査費用(統合審査でコストを下げられる可能性あり)

● コスト削減効果

  • 一度に統合審査を受けられるため、監査費用や会議時間が短縮

  • 文書重複を解消し、長期的には更新作業も少なくなる



11. 運用フェーズのポイント:監査・更新・改善

● 内部監査の統合

  • 項番 9.2(内部監査)で、品質監査と環境監査を同時に行う

  • チェックリストも品質面と環境面の項目を合わせて作り、重複を省く

● 更新・改訂時のフロー

  • バージョン管理ルールを決め、改訂箇所を明確化

  • 統合マニュアルを更新するときは、品質と環境の影響を同時に評価

  • 部署や拠点に確実に改訂が行き渡るよう、社内ポータルやメールで周知

● 改善サイクル(PDCA)の活用

  • ISO9001でもISO14001でも、Plan-Do-Check-Actの考え方は同じ

  • 統合マニュアルを使うことで、1つのPDCAサイクルで品質問題と環境リスクを同時に確認・改善可能



12. まとめ:ISO9001・ISO14001を効率よく統合マニュアル化しよう

統合マニュアルは、品質(QMS)と環境(EMS)の要求事項を一元化して管理する有効な手段です。

  1. 文書管理・審査対応の効率化

    • 重複文書が減り、監査も一度で済むためコスト削減

  2. 組織全体の意識統一

    • 「品質と環境」を同時に考えることで相乗効果を狙える

  3. 作成から運用まで一連のステップを踏む

    • 事前の棚卸し・項番ごとの統合・運用のレビューや更新など、丁寧なプロセスが成功の鍵

ISO9001とISO14001の統合マニュアルは、単なる文書管理のテクニックではなく、経営戦略上の大きなアドバンテージにもなります。ぜひ本記事を参考に、あなたの企業や組織に合った方法で統合マニュアルを作成し、品質と環境の両面でさらなる成長を目指してみてください。

おわりに

今回ご紹介した「ISO9001・ISO14001の統合マニュアルとは?作り方・具体例・参考例を徹底解説!」では、ハイレベルストラクチャーを活用した統合方法や、実際の成功事例、運用時のポイントなどを詳しくまとめました。

  • 文書管理の効率化だけでなく、社員の意識や審査費用の面でもメリットを得られる

  • 事前準備と現場の巻き込みが重要

ぜひこの内容を参考に、統合マニュアルの作成・運用をスムーズに進めていただければ幸いです。ISO9001・ISO14001の統合で、より強力なマネジメントシステムを築いていきましょう。

ISO9001・ISO14001の統合マニュアルとは?作り方・具体例・参考例を徹底解説し、一体運用で品質と環境を効率化。長期的メリットや審査対策も網羅します!

この記事の監修者情報

金光壮太 (ISOコンサルタント)

大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている

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