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ISO14001環境側面の洗い出し方とは?評価手順と具体的な参考例まとめ!

  • 執筆者の写真: 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
    【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
  • 6 時間前
  • 読了時間: 5分

ISO14001の環境側面とは?評価手順・参考例・具体例を業種別にわかりやすく解説した保存版ガイド!

▼ 目次


ISO14001の環境側面とは?評価手順・参考例・具体例を業種別にわかりやすく解説した保存版ガイド!

1. ISO14001における環境側面とは

1-1. 環境側面の定義と重要性

環境側面とは、企業の活動・製品・サービスが環境に与える影響の“きっかけ”となる要素です。例えば「ボイラーの稼働」は環境側面であり、その結果として「CO2排出」が環境影響です。ISO14001では、これらを明確にし、管理することが求められています。

私が支援した食品工場では、初回の環境側面洗い出しで「食品残渣の水切り不足による排水のBOD濃度上昇」が見逃されていました。見直しによって環境負荷だけでなく排水費用も削減できた好例です。

1-2. 環境側面と環境影響の違い

簡単に言えば、環境側面=原因、環境影響=結果です。

  • 環境側面:ガソリン車の使用

  • 環境影響:CO2の大気中排出 → 地球温暖化への影響

この違いを理解することで、影響の大きい“根本原因”を正しく管理できます。



2. 環境側面の洗い出し手順

2-1. 活動・製品・サービスの特定

まず、自社の業務プロセス(購買・製造・物流・事務など)を洗い出します。特に初めて導入する企業では、部門単位でのヒアリングが有効です。

2-2. インプットとアウトプットの分析

次に、各活動で「何を使って(インプット)」「何が出るか(アウトプット)」を整理します。

  • 例:製造工程 → 使用:電力、水 → 排出:廃棄物、熱、排水

2-3. 環境影響の特定

アウトプットが環境にどんな影響を与えるかを分析します。

  • 廃棄物 → 土壌汚染・埋立増加

  • 排気ガス → 大気汚染・温暖化

この一連の流れをまとめる「環境側面評価シート」が実務で広く活用されます。



3. 著しい環境側面の評価方法

3-1. 評価基準の設定

著しい環境側面(significant environmental aspects)は、環境目標や管理策の対象になります。評価基準は以下の観点で設定されることが多いです:

  • 環境への影響の大きさ

  • 発生頻度・可能性

  • 法的・規制の関連性

  • 社会的関心・苦情の有無

3-2. 点数化・マトリクスによる評価手法

各項目に点数をつけ、合計点が一定以上になった項目を「著しい」と判断します。

  • 例:5点満点で3項目を評価 → 合計10点以上を著しい側面とする

製造業では排水処理設備やVOC排出が、建設業では騒音・振動などが「著しい」と判断されるケースが多いです。



4. 業種別の環境側面と具体例

4-1. 製造業

  • 使用電力・燃料によるCO2排出

  • 廃棄物(切粉、梱包材、化学薬品)

  • 騒音・振動・粉じんの発生

4-2. 建設業

  • 掘削・解体による粉じん、残土

  • 重機の燃料消費、油漏れリスク

  • 建設資材・梱包材の廃棄

4-3. サービス業

  • オフィスの電力・水使用量

  • コピー用紙・書類の廃棄

  • 照明・空調機器のエネルギー消費

4-4. 小売業

  • 商品輸送・物流での燃料消費

  • 店舗照明・冷蔵設備の電力使用

  • 廃棄商品・包装材のごみ排出


ISO14001の環境側面とは?評価手順・参考例・具体例を業種別にわかりやすく解説した保存版ガイド!


5. 環境側面の文書化と管理の仕方

5-1. 環境側面一覧表・影響評価シートの作成例

実務ではExcelなどで「活動内容/環境側面/環境影響/評価点/管理方法」といった表を作成。これは内部監査・審査時の重要文書になります。

5-2. 文書の保管・見直し頻度・変更管理

毎年のレビュー・工程変更・法改正時などに定期的に見直す必要があります。改訂履歴を残すことで信頼性が高まります。



6. 環境側面と環境目標の連携方法

6-1. 著しい環境側面からの目標抽出

「電力消費」→「使用量前年比5%削減」など、具体的に数値化することで部門別の実行計画に落とし込みやすくなります。

6-2. KPI設定とモニタリングの実務ポイント

  • 月次・四半期での数値報告

  • 部門ごとの削減率を可視化

  • 社内掲示や朝礼などで定期的に進捗共有



7. 気候変動・カーボンニュートラルと環境側面の関係

7-1. Scope1〜3排出の取り扱いと位置づけ

GHGプロトコルに準じて、

  • Scope1:自社排出(ボイラー・社用車)

  • Scope2:購入電力による間接排出

  • Scope3:上流・下流の排出(物流・原材料)

企業によってはScope2・3も環境側面に含めて評価・目標化しています。

7-2. 環境側面としてのGHG排出評価の考え方

CO2、CH4、N2Oなどのガス種ごとの排出量を「t-CO2e(CO2換算)」で集計するのが一般的です。カーボンフットプリントの考え方と近いため、脱炭素経営とISO14001を連動させる動きが増えています。



8. 内部監査で見られる環境側面のチェックポイント

8-1. 審査員がチェックする記録・評価手法

  • 評価シートに妥当性があるか

  • 評価基準が主観的でないか

  • 著しい環境側面が妥当に抽出されているか

8-2. よくある指摘事項と事例対応

  • 環境側面が最新設備に対応していない

  • 評価が形骸化している(全て同じ点数)

  • 管理策が未実施(対策が書いてあるだけ)

これらはよくある指摘事項なので、事前に自己監査でチェックしておくことが重要です。



9. よくある質問とその対応策(FAQ)

9-1. 環境側面はどこまで洗い出すべき?

可能な限り網羅が望ましいですが、優先順位をつけて「環境影響が大きいもの」や「法令に関係するもの」は必須です。

9-2. 法令遵守との関連は?

例えば、廃棄物管理が適正でなければ廃棄物処理法違反になります。著しい環境側面は「関係法令の確認」も評価要素として入れるべきです。

9-3. 環境側面の見直しはいつ・どうする?

  • 年1回の見直し(マネジメントレビュー)

  • 新規設備の導入・工場の移転・新規事業開始時

  • 法改正時や苦情発生時などもタイミングになります


ISO14001の環境側面とは?評価手順・参考例・具体例を業種別にわかりやすく解説した保存版ガイド!


10. まとめ:環境側面の正しい理解と運用がISO14001成功のカギ

ISO14001において環境側面の特定・評価は「最も実務に近く、最も審査で見られるポイント」です。単に評価表を作るだけではなく、

  • 本質的に「環境リスクを見える化し、対策を考える」仕組み

  • 事業・製品の特性に合った“柔軟かつ実効的”な運用

が求められます。自社に合ったやり方で、継続的な見直しと改善を繰り返すことが、ISO14001の本来の価値を最大限引き出すコツです。

ISO14001の環境側面とは?評価手順・参考例・具体例を業種別にわかりやすく解説した保存版ガイド!

この記事の監修者情報

金光壮太 (ISOコンサルタント)

大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている

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