【2026年10月更新】ISO14001改訂の変更点を徹底解説!2015年版との比較・移行対応・必要書類まで

更新日:7 日前

ISO14001は、企業が環境への影響を管理し、環境パフォーマンスを継続的に改善するための国際規格です。
ISO14001:2015からISO14001:2026への改訂では、環境マネジメントシステムの基本的な考え方を維持しながら、環境状態の把握、リスク及び機会の整理、変更管理、内部監査などに関する要求事項が見直されています。
今回の改訂について、ISO14001の認証を取得している企業の担当者からは、「2015年版と何が変わったのか」「環境マニュアルや関連書類を作り直す必要があるのか」「具体的にどのような対応をすればよいのか」といった疑問も多く聞かれます。
本記事では、ISO14001:2026の主な改訂内容について、2015年版との違いを比較しながら分かりやすく解説します。
また、各要求事項について、製造業・建設業における具体的な対応例や、見直しが必要となる書類についても紹介します。
これからISO14001:2026への移行対応を進める企業の皆様は、ぜひ参考にしてください。
▼ 目次
1. ISO14001:2026の改訂概要
ISO14001:2026とは?
ISO14001:2026は、環境マネジメントシステムに関する国際規格ISO14001の改訂版です。
従来のISO14001:2015から、環境に関する課題やリスクをより適切に把握し、企業活動における環境管理を効果的に進められるよう、要求事項の一部が整理・明確化されています。
今回の改訂は、環境マネジメントシステムの仕組みを根本から変更するものではありません。
これまで取り組んできた環境側面の評価、環境目標の設定、法令順守、内部監査、マネジメントレビューなどは、引き続き重要な活動となります。
その一方で、従来から求められていた事項が規格本文でより明確に示された部分や、要求事項の配置が変更された部分があります。
そのため、既にISO14001の認証を取得している企業では、現在の環境マネジメントシステムと新しい要求事項を比較し、不足している部分を確認することが重要です。
今回の改訂で押さえておきたいポイント
ISO14001:2026の主なポイントは、以下のとおりです。
水・空気・資源・生物多様性など、環境状態に関する考慮事項の明確化
利害関係者の要求事項と、それに対する対応の整理
リスク及び機会に関する要求事項の再構成
変更の計画策定に関する要求事項の明確化
購入品や外部委託サービスに対する環境管理の明確化
内部監査の目的や監査プログラムに関する要求事項の整理
マネジメントレビューや継続的改善に関する構成の見直し
重要なのは、これらすべてが新たに追加された要求事項というわけではないことです。
2015年版から求められていた内容を整理したものも多いため、既存の運用を活かしながら対応できる部分もあります。
気候変動への対応は2026年に初めて追加されたものではない
ISO14001の改訂について説明する際、注意したいのが気候変動への対応です。
気候変動に関する考慮事項は、2026年版で初めて導入されたものではありません。
ISO14001:2015に対しては、2024年に気候変動に関する追補が発行されています。
そのため、2026年版への移行に際しては、既に反映されている気候変動への対応と、今回の改訂で整理・明確化された内容を区別して理解することが重要です。
2. ISO14001:2026への移行と対応スケジュール
ISO14001:2026への移行は必要?
ISO14001:2015に基づく認証を継続する企業は、新しい規格への移行に向けて準備を進める必要があります。
ただし、移行に際して、環境マネジメントシステムのすべての仕組みを新しく作り直す必要があるとは限りません。
まずは現在の環境マニュアルや運用書類と2026年版の要求事項を比較し、変更が必要な部分を特定することが重要です。
移行期限や審査スケジュールについて
具体的な移行期限や審査方法については、適用される認定機関・認証機関の正式な移行方針を確認する必要があります。
特に、次回の維持審査や更新審査と合わせて移行審査を受けられるかどうかは、契約している審査機関に確認しておきましょう。
移行期限の直前に対応を始めると、書類の改訂や内部監査、マネジメントレビューなどの準備が集中する可能性があります。
そのため、余裕を持って準備を進めることをおすすめします。
ISO14001:2026への移行対応の進め方
一般的には、次のような流れで対応を進めると効率的です。
STEP1:2015年版と2026年版の要求事項を比較する
現在の運用が2026年版の要求事項に適合しているか確認します。
STEP2:環境マニュアルや関連書類を見直す
変更された要求事項に合わせて、必要な書類や管理方法を修正します。
STEP3:変更内容を社内に周知する
担当者や関係部署に対して、変更されたルールや確認事項を共有します。
STEP4:必要な運用を実施する
新たに整理した管理方法に基づき、必要な確認や記録を行います。
STEP5:内部監査・マネジメントレビューで確認する
改訂後の要求事項を踏まえて、環境マネジメントシステムが適切に運用されているか確認します。
STEP6:移行審査を受ける
審査機関が定める方法とスケジュールに従い、移行審査を受けます。
3. ISO14001:2015と2026年版の主な違い
ISO14001:2026では、従来の要求事項の一部について、表現の明確化や項番の変更が行われています。
主な変更点を以下にまとめました。
要求事項 | 主な変更内容 |
4.1 組織及びその状況の理解 | 水・空気・資源・生物多様性などの環境状態を具体的に例示 |
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 | 利害関係者の要求事項と対応の関係を明確化 |
4.3 適用範囲の決定 | ライフサイクルの視点や管理・影響の範囲を整理 |
5.1 リーダーシップ | 環境管理に関わる担当者への支援を明確化 |
6.1.2 環境側面 | 通常時・非通常時・変更時・緊急時の考慮事項を整理 |
6.1.4 リスク及び機会 | 従来の関連要求事項を整理・再構成 |
6.1.5 取組の計画策定 | 旧6.1.4から項番を変更 |
6.3 変更の計画策定 | 変更管理に関する独立した項番を新設 |
7.4.1 コミュニケーション | コミュニケーションに関する記録の取扱いを整理 |
8.1 運用の計画策定及び管理 | 購入品やサービスに関する管理・働きかけを明確化 |
9.1.1 監視、測定、分析及び評価 | 分析対象や記録の取扱いを整理 |
9.2.2 内部監査プログラム | 各監査の目的や監査プログラムの文書化を明確化 |
9.3 マネジメントレビュー | 確認する情報と判断・決定する結果を整理 |
10.1 継続的改善 | 従来の改善に関する要求事項を統合 |
それでは、各要求事項について詳しく解説します。
4. ISO14001:2026の要求事項別の変更点
4.1 組織及びその状況の理解
今回の改訂で変わったこと
ISO14001:2015では、組織の目的や環境マネジメントシステムに影響する内部・外部の課題を明確にすることが求められていました。
2026年版では、環境状態に関する具体例として、水や空気の状態、資源の確保、気候変動、生物多様性、生態系などがより明確に示されています。
企業は、自社の事業活動が周囲の環境に与える影響だけでなく、周囲の環境状態の変化が自社の事業活動に与える影響についても考慮することが重要です。
企業が行うべき対応
まずは、現在把握している内部・外部の課題を見直しましょう。
例えば、水資源の不足、原材料の調達環境の変化、異常気象、地域の生態系などについて、自社の事業との関係を確認します。
すべての環境課題について詳細な調査が必要というわけではありません。自社の事業活動に関係する事項を中心に整理することが大切です。
製造業の対応例
工場で大量の水を使用している場合、水不足によって操業に影響が出る可能性がないか確認します。
また、工場からの排水が河川や周辺の生態系に影響を与える可能性についても確認します。
建設業の対応例
工事現場の周辺に河川や樹木、生物の生息環境がある場合、工事による伐採や泥水の流出などが環境に影響を与えないか確認します。
見直しが考えられる書類
内部・外部の課題一覧表
環境マニュアル
SWOT分析表など
なお、4.1単独で特定の文書の作成が要求されているわけではありません。既存の管理方法で必要な事項を把握できていれば、必ずしも新しい書類を作成する必要はありません。
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
今回の改訂で変わったこと
2015年版では、顧客、地域住民、行政機関、取引先など、環境マネジメントシステムに関係する利害関係者と、そのニーズ及び期待を明確にすることが求められていました。
2026年版では、利害関係者の要求事項を把握するだけでなく、順守義務として取り扱う事項と、その対応をより明確にする考え方が整理されています。
企業が行うべき対応
顧客や行政機関、地域住民などから求められている環境面の要求事項を確認しましょう。
そのうえで、法令による義務や、自社が守ると決めた約束について、実際の業務で対応できているか確認します。
例えば、取引先から包装材の削減を求められている場合、単に要求事項として把握するだけでなく、担当者や確認方法を決めて実行することが重要です。
製造業の対応例
顧客から包装材の削減を求められた場合、包装材の使用量を定期的に確認し、削減状況を評価します。
建設業の対応例
発注者から工事現場の特定の樹木を残すよう求められた場合、保護範囲を明確にし、現場で適切に保護されているか確認します。
見直しが考えられる書類
利害関係者一覧表
順守義務一覧表
顧客要求事項一覧表
環境マニュアル
4.3 環境マネジメントシステムの適用範囲の決定
今回の改訂で変わったこと
ISO14001では、環境マネジメントシステムの対象となる事業所、業務、製品及びサービスなどの範囲を明確にする必要があります。
2026年版でも基本的な考え方は変わりませんが、製品やサービスのライフサイクルの視点や、組織が管理できる範囲、影響を及ぼすことができる範囲について、より明確に整理されています。
企業が行うべき対応
自社の環境マネジメントシステムの適用範囲を再確認しましょう。
特に、原材料の調達、製造、運送、製品の使用、廃棄などの流れについて、自社が直接管理できる部分と、取引先などに働きかけることができる部分を整理することが重要です。
製造業の対応例
製品の運送を外部の運送会社に委託している場合、アイドリングストップなどの環境配慮を依頼できるか確認します。
建設業の対応例
建設業では、工事現場における自社の作業だけでなく、協力会社が行う作業についても環境面の管理が重要です。
例えば、協力会社に対して廃材の分別方法や保管場所を指示したり、泥水が周辺の水路に流出しないように作業方法を周知したりすることが考えられます。
また、工事に使用する資材の調達から施工、廃棄物の処理までの流れを確認し、自社が管理できる範囲と協力会社などに働きかけられる範囲を整理しておくことが重要です。
見直しが考えられる書類
環境マニュアル
環境マネジメントシステム適用範囲
組織図・業務一覧表
環境マネジメントシステムの適用範囲については、引き続き文書化した情報として利用できる状態にする必要があります。
既存の適用範囲に変更がない場合でも、今回の改訂内容を踏まえて、現在の記載が適切であるか確認しましょう。
5.1 リーダーシップ及びコミットメント
今回の改訂で変わったこと
ISO14001:2015では、トップマネジメントが環境マネジメントシステムに責任を持ち、環境方針や環境目標の設定、必要な資源の確保などを通じて、環境管理の取組を支援することが求められていました。
2026年版でも基本的な考え方は変わりません。
一方で、管理職だけでなく、環境管理に関する役割を担う担当者が、必要な活動を進められるように支援することが明確になっています。
環境管理は、環境管理責任者や一部の管理職だけで実施するものではありません。
現場の作業者、購買担当者、設備管理担当者など、それぞれの業務に関係する人が適切に活動できるよう、経営者が支援することが重要です。
企業が行うべき対応
まずは、環境マネジメントシステムに関する役割や責任が明確になっているか確認しましょう。
また、担当者が環境管理に必要な活動を行うための時間や人員、設備などが確保されているか確認することも重要です。
例えば、環境管理担当者が他部署に改善を依頼しても対応が進まない場合には、経営者が必要な調整や支援を行うことが考えられます。
製造業の対応例
製造業では、購買担当者が原材料に含まれる化学物質を確認できるよう、必要な確認項目や作業時間を確保することが考えられます。
また、環境に関する問題が発生した場合に、担当者が速やかに管理者へ相談できる体制を整えておくことも重要です。
建設業の対応例
建設業では、現場責任者が協力会社に対して廃棄物の分別方法や環境管理上の注意事項を指示できるよう、必要な権限や情報を与えることが考えられます。
朝礼や現場会議などを活用して、環境管理に関する情報を共有することも有効です。
見直しが考えられる書類
環境マニュアル
組織図
責任及び権限一覧表
業務分掌表
5.1単独で新たな文書の作成が求められているわけではありません。
既存の役割分担や責任・権限が明確になっており、適切に運用されていれば、大幅な変更は必要ないと考えられます。
6.1.2 環境側面
今回の改訂で変わったこと
環境側面とは、企業の活動、製品及びサービスのうち、環境と相互に作用する、または作用する可能性がある要素のことです。
例えば、電気の使用、廃棄物の発生、排水、騒音、化学物質の使用などが該当します。
ISO14001:2015では、ライフサイクルの視点を考慮しながら、通常時だけでなく、非通常時、変更時、予見できる緊急事態などについても環境側面を特定することが求められていました。
2026年版でも基本的な考え方は変わりません。
今回の改訂では、通常時・非通常時、変更時、潜在的な緊急事態などについて、考慮すべき事項が規格本文で整理・明示されています。
また、環境側面や著しい環境側面、評価基準などに関する文書化した情報についても、必要なときに利用できる状態にすることが重要です。
企業が行うべき対応
現在使用している環境側面の評価表を確認し、通常時の活動だけでなく、非通常時や変更時、緊急事態についても適切に評価されているか確認しましょう。
例えば、普段の製造工程では問題がなくても、設備の故障や薬品の漏えいによって環境汚染が発生する可能性があります。
こうした事態についても、事業内容に応じて環境側面として特定し、評価する必要があります。
製造業の対応例
製造業では、化学薬品を使用する工程において、薬品が漏えいして排水口に流れ込む可能性を想定することが考えられます。
通常の使用量や排水管理だけでなく、薬品の漏えいによって河川などを汚染する可能性についても評価します。
建設業の対応例
建設業では、重機から燃料が漏れた場合に、土壌や周辺の水路を汚染する可能性があります。
そのため、通常の燃料使用による環境影響に加えて、燃料漏えいなどの緊急事態も考慮して環境側面を評価します。
見直しが考えられる書類
環境側面抽出・影響評価表
著しい環境側面一覧表
環境側面評価基準
緊急事態対応手順書
環境側面、著しい環境側面及びその決定基準については、文書化した情報として利用できる状態にする必要があります。
今回の改訂によって、必ずしも環境側面評価表を全面的に作り直す必要はありません。
既存の評価方法で必要な事項が網羅されていれば、そのまま活用することも可能です。
6.1.4 リスク及び機会
今回の改訂で変わったこと
ISO14001では、環境マネジメントシステムに関係するリスク及び機会を明確にし、必要な対応を検討することが求められています。
例えば、環境法令に違反することによって操業に支障が生じる可能性はリスクに該当します。
一方、省エネルギー設備の導入によって環境負荷と費用を削減できる可能性は機会に該当します。
2026年版では、リスク及び機会に関する要求事項が6.1.4に整理されています。
また、リスク及び機会を検討する際に、環境への影響だけでなく、組織に及ぶ影響を考慮することがより明確になっています。
なお、潜在的な緊急事態の特定については、6.1.2の環境側面に関する要求事項へ整理されています。
企業が行うべき対応
現在のリスク及び機会の一覧表を見直し、環境に関する問題が自社の事業活動にどのような影響を与えるか確認しましょう。
例えば、環境法令の改正によって設備の更新が必要になる場合や、原材料の調達が難しくなる場合などが考えられます。
一方、廃棄物の削減や省エネルギーによって、環境負荷だけでなくコストの削減につながる可能性もあります。
これらのリスク及び機会を整理し、必要な対応を検討することが重要です。
製造業の対応例
製造業では、原材料の投入間違いによって不良品が発生し、廃棄物が増加するリスクが考えられます。
これに対して、バーコードなどを利用した材料の照合方法を導入することで、不良品の発生を防止し、資源の無駄を削減できる可能性があります。
建設業の対応例
建設業では、環境対策が入札評価の対象となる場合があります。
環境配慮に関する取組を十分に示せなければ、受注機会を逃す可能性があります。
一方、低燃費重機の使用や廃材の削減などを施工計画に反映することで、環境面での評価向上につながる可能性があります。
見直しが考えられる書類
リスク及び機会一覧表
内部・外部の課題一覧表
利害関係者一覧表
環境目標管理表
リスク及び機会に関する文書化した情報については、必要なときに利用できる状態にしておく必要があります。
既存の一覧表がある場合には、今回の改訂内容を踏まえて、評価項目や対応方法に不足がないか確認しましょう。
6.1.5 取組の計画策定
今回の改訂で変わったこと
ISO14001:2015では、環境側面、順守義務、リスク及び機会などに対して必要な取組を計画することが求められていました。
2026年版では、従来の6.1.4に相当する内容が6.1.5へ整理されています。
基本的な考え方に大きな変更はありません。
引き続き、環境に関するリスクや課題に対して必要な取組を計画し、日常業務の中で実施する方法や、その有効性を評価する方法を決めることが求められます。
企業が行うべき対応
現在実施している環境管理の取組について、担当者や実施方法、確認方法が明確になっているか確認しましょう。
例えば、廃棄物の削減を目標としている場合、分別方法を決めるだけでなく、誰が確認するのか、どのような指標で効果を評価するのかを明確にします。
また、環境管理の取組が日常業務の手順や点検項目に適切に反映されているか確認することも重要です。
製造業の対応例
原材料を発注する際に、使用が制限されている化学物質が含まれていないか確認する項目を設けます。
購買担当者が仕入先から必要な情報を取得し、定期的に確認漏れがないか点検することが考えられます。
建設業の対応例
工事現場において、降雨による泥水の流出を防止するため、事前に土のうを設置するなどの対策を計画します。
また、降雨後には現場の状況を確認し、対策が有効に機能しているか評価します。
見直しが考えられる書類
環境目標管理表
リスク及び機会一覧表
作業手順書
点検記録表
6.1.5単独で特定の文書を新たに作成することが要求されているわけではありません。
既存の管理表や手順書を活用し、必要な取組と確認方法が明確になっているか確認しましょう。
6.3 変更の計画策定
今回の改訂で変わったこと
ISO14001:2026では、「6.3 変更の計画策定」という独立した要求事項が設けられています。
2015年版でも、設備や作業方法などの変更による環境への影響を考慮し、必要な管理を行うことは求められていました。
2026年版では、環境マネジメントシステムに影響する変更を計画的に進めることが、独立した項番として明確になっています。
例えば、設備の変更、使用する材料の変更、業務手順の変更、環境管理担当者の変更などが考えられます。
これらの変更によって、環境法令の順守や環境目標の達成に支障が生じないよう、必要な対応を計画することが重要です。
企業が行うべき対応
現在の変更管理の方法を見直し、環境に関係する変更が適切に管理されているか確認しましょう。
特に、設備や材料だけでなく、担当者や外部委託先の変更についても、環境管理に影響する可能性があります。
変更を実施する前に、必要な確認事項や対応方法を整理し、変更後も適切な環境管理が継続できるようにします。
製造業の対応例
製造工程で使用する洗浄薬品を変更する場合、新しい薬品が排水処理や保管方法に影響を与えないか確認します。
また、必要に応じて作業手順書や薬品管理方法を見直し、担当者へ変更内容を周知します。
建設業の対応例
工事方法を変更する場合、騒音や振動、廃棄物の発生量などに影響がないか確認します。
例えば、工事方法の変更によって騒音が増加する可能性がある場合には、必要に応じて近隣住民への案内内容を見直します。
見直しが考えられる書類
環境マニュアル
変更管理手順書
設備変更申請書
作業手順書
教育記録
6.3単独で新しい変更管理表の作成が必須となるわけではありません。
既存の変更管理の仕組みで必要な確認ができていれば、その方法を活用することも可能です。
ただし、変更前に確認した内容や必要な対策を記録しておくと、変更管理の実施状況を確認しやすくなります。
7.4.1 コミュニケーション-一般
今回の改訂で変わったこと
ISO14001では、環境マネジメントシステムに関する社内外のコミュニケーションについて、何を、いつ、誰に、どのような方法で伝えるかを決めることが求められています。
2026年版でも基本的な考え方は変わりません。
今回の改訂では、コミュニケーションの証拠となる適切な文書化した情報を、必要なときに利用できる状態にするという表現に整理されています。
企業が行うべき対応
現在の社内外の連絡方法や記録の管理状況を確認しましょう。
例えば、環境管理に関するルールを変更した場合、関係する従業員や協力会社に適切に伝えられているか、また、その内容を後から確認できる状態になっているかが重要です。
コミュニケーションの記録については、必ずしも専用の管理表を作成する必要はありません。
メール、会議の議事録、朝礼記録、配布資料など、既存の記録を活用することも可能です。
ただし、必要なコミュニケーションが実施されたことを確認できるよう、適切な記録を管理しておく必要があります。
製造業の対応例
製造業では、廃棄物の分別方法を変更する場合、朝礼や社内会議などを通じて従業員へ周知することが考えられます。
例えば、従来は同じ場所に保管していた廃棄物を種類ごとに分別するルールへ変更する場合、変更内容を説明した資料や、周知した日付、参加者などを記録しておきます。
これにより、環境管理に関する変更事項が適切に伝達されたことを確認できます。
建設業の対応例
建設業では、夜間工事を実施する場合、近隣住民に対して工事の予定や騒音の発生可能性などを事前に案内することが考えられます。
この場合、配布した案内文書や、案内を行った範囲、実施日などを記録しておくことで、適切なコミュニケーションが行われたことを確認できます。
見直しが考えられる書類
環境マニュアル
コミュニケーション管理表
会議議事録
朝礼記録
社内通知・配布資料
今回の改訂では、コミュニケーションの実施状況を確認できるよう、必要な記録を適切に管理することが重要です。
既存のメールや議事録などを活用できる場合には、新たな書類を作成する必要はありません。
8.1 運用の計画策定及び管理
今回の改訂で変わったこと
ISO14001:2015では、環境マネジメントシステムに関係する業務について、必要な管理基準を設定し、その基準に従って業務を実施することが求められていました。
例えば、廃棄物の分別方法、化学物質の取扱い、排水管理、騒音対策などについて、適切な管理方法を定める必要があります。
また、自社の業務だけでなく、外部委託先が行う業務や、購入する製品・サービスについても、必要な環境面の要求事項を伝えることが求められていました。
2026年版でも基本的な考え方は変わりません。
今回の改訂では、環境マネジメントシステムに関係する購入品やサービスについても、組織が管理できる範囲や影響を及ぼせる範囲を踏まえ、適切に管理することが明確になっています。
企業が行うべき対応
まずは、自社の業務に関する環境管理のルールが適切に定められているか確認しましょう。
そのうえで、外部委託先や購入品・サービスについて、必要な環境面の管理が行われているか確認することが重要です。
例えば、原材料の購入時に使用が制限されている化学物質を確認しているか、廃棄物処理を委託する業者に必要な条件を伝えているかなどが考えられます。
また、外部委託先に環境管理を依頼する場合には、必要な管理内容を伝えるだけでなく、実際に対応されているか確認することも重要です。
ただし、すべての購入品やサービスに対して一律の管理を行う必要があるわけではありません。
環境への影響や自社が管理できる範囲などを考慮し、必要な管理方法と程度を決めることが求められます。
製造業の対応例
製造業では、原材料を購入する際に、使用が禁止・制限されている化学物質が含まれていないか確認することが考えられます。
例えば、発注書に使用を制限する化学物質の条件を記載し、納入された原材料について、仕入先から提供された資料などを確認します。
また、廃棄物の処理を外部業者に委託している場合には、必要な処理方法や管理条件が適切に伝えられているか確認します。
建設業の対応例
建設業では、協力会社が工事現場で行う作業について、必要な環境管理のルールを周知することが重要です。
例えば、木くずや金属くずなどの廃材について、種類ごとの保管場所や分別方法を事前に伝えます。
また、実際の工事現場で適切に分別されているか確認することで、環境管理の実効性を高めることができます。
見直しが考えられる書類
環境マニュアル
作業手順書
購買管理規程
外部委託先管理表
廃棄物管理手順書
化学物質管理表
8.1では、必要な範囲で業務が計画どおり実施されたことを確認できる文書化した情報を利用できる状態にすることが求められます。
既存の作業手順書や購買管理の仕組みを活用し、環境管理に関する必要事項が適切に反映されているか確認しましょう。
9.1.1 監視、測定、分析及び評価-一般
今回の改訂で変わったこと
ISO14001では、環境パフォーマンスや環境マネジメントシステムの有効性を評価するため、必要な監視、測定、分析及び評価を行うことが求められています。
例えば、電気使用量、水使用量、廃棄物の発生量などを定期的に確認し、環境目標の達成状況や過去の実績と比較することが考えられます。
ISO14001:2026でも基本的な考え方は変わりません。
今回の改訂では、監視・測定する項目だけでなく、分析する対象を明確にすることが規格本文で整理されています。
また、監視、測定、分析及び評価の結果については、必要なときに確認できる状態にすることが求められます。
企業が行うべき対応
現在使用している環境目標管理表や測定記録などを確認し、必要な分析及び評価が行われているか見直しましょう。
例えば、電気使用量を毎月記録している場合、単に使用量を集計するだけでなく、前年同月との比較や、使用量が増減した理由について分析することが考えられます。
また、環境目標が未達成となった場合には、その原因を確認し、必要な改善につなげることが重要です。
製造業の対応例
製造業では、工場の電気使用量を生産数量と比較し、製品1個当たりの電気使用量を算出することが考えられます。
例えば、生産数量が減少しているにもかかわらず電気使用量が増加している場合には、設備の稼働方法や待機電力などを確認します。
これにより、単純な使用量の増減だけでは把握できない改善点を見つけることができます。
建設業の対応例
建設業では、重機の燃料使用量を稼働時間と比較し、燃料使用量が適切であるか確認することが考えられます。
例えば、同じ種類の工事で燃料使用量が増加している場合には、重機の空ぶかしや待機時間などを確認します。
必要に応じて作業方法を見直すことで、燃料使用量の削減につなげることができます。
見直しが考えられる書類
環境目標管理表
環境パフォーマンス管理表
電気・水使用量管理表
廃棄物管理表
監視・測定記録
監視、測定、分析及び評価の結果については、適切な文書化した情報として利用できる状態にする必要があります。
現在の記録で必要な分析や評価が行われているか確認し、不足している場合には評価項目などを見直しましょう。
9.2.2 内部監査プログラム
今回の改訂で変わったこと
ISO14001では、環境マネジメントシステムが規格要求事項や自社で定めたルールに適合し、有効に運用されているか確認するため、内部監査を実施することが求められています。
ISO14001:2015では、内部監査の頻度、方法、責任、計画に関する要求事項などを定め、内部監査を計画的に実施する必要がありました。
2026年版でも基本的な進め方は変わりません。
今回の改訂では、各内部監査で何を確認するのかという監査の目的を明確にすることが整理されています。
また、内部監査プログラムに関する文書化した情報についても、監査の実施状況や結果とともに、必要なときに確認できる状態にすることが明確になっています。
企業が行うべき対応
まずは、現在使用している内部監査計画書を確認し、監査の目的が明確になっているか確認しましょう。
例えば、単に「製造部門の内部監査を実施する」と記載するだけでなく、「化学物質の管理が適切に行われているか確認する」など、具体的な目的を設定することが考えられます。
また、内部監査の頻度や方法、担当者などを定めた計画や手順についても、適切に管理されているか確認しましょう。
製造業の対応例
製造業では、化学物質の保管方法を変更した場合、変更後のルールが適切に守られているかを内部監査で確認することが考えられます。
例えば、薬品の保管場所や表示、点検記録などを確認し、社内で定めた管理方法に従って運用されているか評価します。
建設業の対応例
建設業では、工事現場における廃棄物の分別ルールが、自社の従業員だけでなく協力会社にも適切に周知され、実施されているか確認することが考えられます。
例えば、廃材の保管場所を現場で確認するとともに、朝礼記録や点検記録などを確認します。
見直しが考えられる書類
内部監査計画書
内部監査プログラム
内部監査チェックリスト
内部監査報告書
内部監査手順書
今回の改訂では、内部監査プログラムに関する文書化した情報と、内部監査の実施及び結果を示す記録を適切に管理することが重要です。
既存の内部監査計画書に目的や必要事項が明確に記載されていれば、新たな書類を作成する必要はありません。
9.3 マネジメントレビュー
今回の改訂で変わったこと
マネジメントレビューとは、経営者が環境マネジメントシステムの運用状況を確認し、必要な改善や変更について判断する活動です。
ISO14001:2015では、環境目標の達成状況、内部監査の結果、順守義務への対応状況、利害関係者からの情報などを確認し、環境マネジメントシステムの適切性、妥当性及び有効性を評価することが求められていました。
2026年版でも基本的な考え方は変わりません。
今回の改訂では、マネジメントレビューに関する要求事項が、実施の基本、確認する情報、判断・決定する結果という構成に整理されています。
企業が行うべき対応
現在使用しているマネジメントレビューの報告資料や議事録を確認し、規格が求める事項について適切に確認されているか見直しましょう。
また、単に報告事項を記録するだけでなく、経営者がどのような判断を行い、どのような改善や変更を決定したかが分かるようにすることが重要です。
例えば、環境目標が未達成となった場合、原因を報告するだけでなく、必要な改善方法や担当者、実施時期などを決定することが考えられます。
製造業の対応例
製造業では、排水処理設備の不調が続いている場合、マネジメントレビューでその状況を経営者へ報告します。
経営者は、設備の修繕や点検体制の見直しなどについて判断し、必要な予算や担当者、対応期限などを決定します。
建設業の対応例
建設業では、複数の工事現場で廃棄物の分別ミスが発生している場合、その状況をマネジメントレビューで報告します。
経営者は、全社的な教育方法の見直しや、現場管理体制の改善などについて判断します。
見直しが考えられる書類
マネジメントレビュー議事録
マネジメントレビュー報告書
環境目標管理表
内部監査報告書
改善計画書
マネジメントレビューの結果については、文書化した情報として利用できる状態にする必要があります。
既存の議事録で必要な確認事項や経営者の判断・決定事項が明確になっていれば、大幅な変更は必要ないと考えられます。
10.1 継続的改善
今回の改訂で変わったこと
ISO14001では、環境マネジメントシステムの適切性、妥当性及び有効性を継続的に改善することが求められています。
ISO14001:2015では、改善の機会を明確にして必要な取組を行うことと、継続的改善に関する要求事項が、それぞれ10.1及び10.3に定められていました。
2026年版では、これらの内容が新しい10.1に整理されています。
基本的な考え方は従来と同じであり、環境管理の取組を継続的に見直し、改善につなげることが重要です。
企業が行うべき対応
例えば、廃棄物の分別方法を変更した場合には、変更後に分別ミスが減少したか、廃棄物の発生量に変化があったかなどを確認することが考えられます。
また、内部監査で指摘された問題について改善を実施した場合には、同様の問題が再発していないか確認することも重要です。
改善活動は、一度対策を実施して終わりではありません。
対策の有効性を確認し、その結果を次の改善活動につなげることで、環境マネジメントシステムの継続的な改善を図ります。
製造業の対応例
製造業では、廃棄物の分別ミスを減らすため、ごみ箱の表示を分かりやすく変更することが考えられます。
例えば、廃棄物の種類ごとに表示方法を統一したり、写真を使用して分別方法を示したりすることで、従業員が適切に分別できるようにします。
その後、変更前後の分別ミスの発生状況を比較し、改善の効果を確認します。
建設業の対応例
建設業では、工事現場で使用する材料の発注数量を見直すことで、余剰材料の発生を抑制することが考えられます。
例えば、過去の工事実績を参考に必要な材料の数量を検討し、過剰な発注を防止します。
その後、同じ種類の工事について、使用せずに廃棄する材料が減少したか確認することで、改善の効果を評価します。
見直しが考えられる書類
環境マニュアル
環境目標管理表
是正処置報告書
改善計画書
マネジメントレビュー議事録
10.1単独で新たな文書の作成が要求されているわけではありません。
既存の環境目標管理表や改善記録などを活用し、改善活動の実施状況や効果を確認できるようにしておくとよいでしょう。
また、環境マニュアルを規格の項番に沿って作成している場合には、従来の10.1及び10.3に関する内容を、新しい10.1に合わせて整理することも考えられます。
5. ISO14001:2026への移行で見直すべき書類
ISO14001:2026への移行にあたっては、環境マニュアルや各種管理表などの見直しが必要になる場合があります。
ただし、今回の改訂によって、すべての書類を新しく作り直さなければならないわけではありません。
既存の書類や運用方法が2026年版の要求事項を満たしていれば、そのまま活用できるものもあります。
そのため、まずは現在使用している書類と新しい要求事項を比較し、必要な部分を修正することが重要です。
環境マニュアル
環境マニュアルを作成している企業では、2026年版の要求事項に合わせて内容を確認しましょう。
特に、規格の項番に沿ってマニュアルを作成している場合には、項番の変更や要求事項の整理に対応する必要があります。
例えば、2015年版の6.1.4「取組の計画策定」は、2026年版では6.1.5に整理されています。
また、新たに設けられた6.3「変更の計画策定」についても、既存の変更管理の仕組みが要求事項に対応しているか確認することが重要です。
ただし、ISO14001では環境マニュアルという名称の文書を必ず作成することが要求されているわけではありません。
既存の規程や手順書などで必要な事項を管理できている場合には、それらを活用することも可能です。
内部・外部の課題一覧表
4.1「組織及びその状況の理解」の改訂内容を踏まえ、現在の内部・外部の課題を見直しましょう。
特に、水資源、気候変動、資源の確保、生物多様性などについて、自社の事業活動との関係を確認することが考えられます。
例えば、製造業では水不足による操業への影響、建設業では工事現場周辺の自然環境への影響などが考えられます。
すべての環境課題を新たに追加する必要はありませんが、自社の事業活動に関係する事項が適切に把握されているか確認することが重要です。
利害関係者一覧表・順守義務一覧表
4.2「利害関係者のニーズ及び期待の理解」の改訂内容を踏まえ、利害関係者から求められている事項を確認しましょう。
例えば、顧客からの環境配慮に関する要求、行政機関から求められる法令順守、地域住民からの騒音や排水に関する要望などが考えられます。
そのうえで、自社が順守義務として取り扱う事項について、必要な対応が行われているか確認します。
既存の利害関係者一覧表や順守義務一覧表を活用し、必要に応じて内容を追加・修正するとよいでしょう。
環境側面抽出・影響評価表
6.1.2「環境側面」の改訂内容を踏まえ、現在の環境側面の評価方法を確認しましょう。
特に、通常時だけでなく、非通常時、変更時、潜在的な緊急事態などが適切に考慮されているか確認することが重要です。
例えば、製造業では薬品の漏えい、建設業では重機からの燃料漏れなどが考えられます。
また、環境側面や著しい環境側面、評価基準などについて、必要なときに確認できる状態になっているか見直しましょう。
既存の評価表で必要な事項が網羅されている場合には、全面的な作り直しは必要ありません。
リスク及び機会一覧表
6.1.4「リスク及び機会」の改訂内容を踏まえ、現在のリスク及び機会の一覧表を確認しましょう。
特に、環境に関する課題が自社の事業活動に与える影響について、適切に検討されているか確認することが重要です。
例えば、環境法令への対応不足によって操業に支障が生じるリスクや、省エネルギー設備の導入によって環境負荷と費用を削減できる機会などが考えられます。
また、対応が必要と判断したリスク及び機会について、必要な取組が計画されているか確認しましょう。
変更管理に関する書類
2026年版では、6.3「変更の計画策定」が独立した要求事項として設けられています。
そのため、設備や材料、作業方法、担当者などの変更について、環境管理上の影響を適切に確認できる仕組みがあるか見直しましょう。
例えば、製造工程で使用する薬品を変更する場合、排水や保管方法、法令への影響などを事前に確認することが考えられます。
変更管理に関する専用の書類を新たに作成することが必須というわけではありません。
既存の設備変更申請書や作業手順書などを活用し、必要な確認事項を管理することも可能です。
内部監査計画書・内部監査プログラム
9.2.2「内部監査プログラム」の改訂内容を踏まえ、内部監査に関する書類を見直しましょう。
特に、各内部監査の目的が明確になっているか確認することが重要です。
例えば、監査計画書に監査対象部門や実施日だけを記載している場合には、監査の目的についても明確にすることが考えられます。
また、内部監査の頻度、方法、責任などを定めた監査プログラムと、監査の実施状況や結果に関する記録が適切に管理されているか確認しましょう。
マネジメントレビュー議事録
9.3「マネジメントレビュー」の改訂内容を踏まえ、現在の議事録や報告資料を確認しましょう。
特に、経営者が確認する情報と、判断・決定した結果が明確になっているか確認することが重要です。
例えば、環境目標の未達成や内部監査での指摘事項について、単に報告するだけでなく、必要な改善や変更が決定されているか確認します。
既存の議事録で必要な事項が網羅されている場合には、大幅な変更は必要ないと考えられます。
★書類の見直しで重要なポイント
ISO14001:2026への移行に際して重要なのは、書類の数を増やすことではありません。
現在の環境マネジメントシステムが、新しい要求事項に適切に対応できているかを確認することが重要です。
既存の書類や運用方法を活かしながら、必要な部分だけを修正することで、企業の負担を抑えた移行対応が可能になります。
また、書類の改訂だけでなく、変更した内容が実際の業務に反映されているか確認することも大切です。
6. ISO14001:2026に関するよくある質問
Q1. ISO14001:2026では、環境マニュアルをすべて作り直す必要がありますか?
いいえ、必ずしもすべて作り直す必要はありません。
今回の改訂では、従来の要求事項が整理・明確化された部分も多いため、既存の環境マニュアルを活用できる場合があります。
まずは2015年版と2026年版の要求事項を比較し、必要な部分を修正することをおすすめします。
Q2. ISO14001:2026への移行では、新しい書類を作成する必要がありますか?
新しい書類の作成が必ず必要になるわけではありません。
既存の管理表や手順書などで、新しい要求事項に対応できていれば、そのまま活用することも可能です。
例えば、6.3「変更の計画策定」についても、既存の変更管理の仕組みで必要な事項を確認できる場合には、専用の管理表を新たに作成する必要はありません。
ただし、要求事項によっては文書化した情報の管理が求められるため、必要な記録や書類が適切に管理されているか確認することが重要です。
Q3. ISO14001:2026では、気候変動への対応が新たに必要になったのですか?
気候変動への対応は、2026年版で初めて追加されたものではありません。
ISO14001:2015に対しては、2024年に気候変動に関する追補が発行されています。
そのため、2026年版への移行に際しては、既に反映されている気候変動への対応と、今回の改訂によって整理・明確化された事項を区別して確認することが重要です。
Q4. ISO14001:2026では、環境側面の評価方法を変更する必要がありますか?
必ずしも評価方法を変更する必要はありません。
2026年版でも、環境側面を特定し、著しい環境側面を決定する基本的な考え方は従来と同じです。
ただし、通常時・非通常時、変更時、潜在的な緊急事態などについて、適切に考慮されているか確認することが重要です。
既存の評価表で必要な事項が網羅されていれば、そのまま活用できる場合もあります。
Q5. ISO14001:2026では、内部監査の方法が変わりますか?
内部監査の基本的な進め方に大きな変更はありません。
ただし、2026年版では、各内部監査の目的を明確にすることや、内部監査プログラムに関する文書化した情報を適切に管理することが整理されています。
そのため、現在の内部監査計画書や内部監査プログラムを確認し、必要な事項が明確になっているか見直すことをおすすめします。
Q6. ISO14001:2026への移行では、内部監査やマネジメントレビューを実施する必要がありますか?
ISO14001では、内部監査及びマネジメントレビューを実施することが求められています。
2026年版への移行に際しても、新しい要求事項を踏まえた環境マネジメントシステムの運用状況を確認することが重要です。
具体的な移行審査で求められる運用実績や確認方法については、契約している審査機関の案内を確認しましょう。
Q7. ISO14001:2026への移行対応は、いつから始めればよいですか?
移行対応は、できるだけ余裕を持って進めることをおすすめします。
特に、環境マニュアルや関連書類の見直しだけでなく、変更内容の周知、必要な運用、内部監査、マネジメントレビューなどを実施する場合には、一定の準備期間が必要になります。
まずは新旧規格の要求事項を比較し、現在の環境マネジメントシステムに不足している部分を確認することから始めるとよいでしょう。
なお、正式な移行期限や移行審査のスケジュールについては、認定機関及び契約している審査機関の最新情報を確認してください。
7. ISO14001の改訂対応ならISOトラストへ
ISO14001:2026への移行では、2015年版との違いを正しく理解し、現在の環境マネジメントシステムに必要な変更を加えることが重要です。
しかし、実際に対応を進める際には、次のようなお悩みを抱える企業も少なくありません。
2026年版で何が変わったのか分からない
環境マニュアルのどこを修正すればよいか分からない
既存の書類をそのまま使用してよいか判断できない
内部監査やマネジメントレビューをどのように進めればよいか分からない
移行審査に向けて何を準備すればよいか分からない
ISOトラストでは、ISO14001の認証取得支援や運用支援を通じて、企業の実情に合わせた環境マネジメントシステムの構築・運用をサポートしています。
規格改訂への対応においても、必要以上に書類や業務を増やすのではなく、既存の仕組みを活かしながら、無理なく運用できる環境マネジメントシステムを目指すことが重要だと考えています。
ISO14001:2026への移行でお困りの企業様へ
ISO14001:2026への移行に関して、環境マニュアルの改訂や関連書類の見直し、内部監査、マネジメントレビューなどでお困りの場合は、お気軽にISOトラストまでご相談ください。
企業ごとに事業内容や環境管理の方法は異なるため、今回の規格改訂においても、それぞれの実情に合わせた対応が重要です。
ISOトラストでは、既存の環境マネジメントシステムを最大限に活用しながら、必要な書類の見直しや運用方法の改善など、企業の負担を抑えた規格改訂対応をサポートいたします。
ISO14001:2026への移行対応について、ご不明な点やお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
8. まとめ
今回は、ISO14001:2026の主な改訂内容について、2015年版との違いや、企業が実施すべき対応、見直しが考えられる書類などを解説しました。
今回の改訂では、環境状態に関する考慮事項の明確化や、変更管理に関する要求事項の新設、内部監査やマネジメントレビューに関する要求事項の整理などが行われています。
一方で、環境マネジメントシステムの基本的な考え方に大きな変更はなく、これまでの取組を活用できる部分も多くあります。
そのため、ISO14001:2026への移行にあたっては、すべての書類や運用方法を作り直すのではなく、2015年版との違いを正しく把握し、必要な部分を見直すことが重要です。
まずは現在の環境マニュアルや関連書類、実際の運用状況を確認し、新しい要求事項に対応できているか整理することから始めましょう。
本記事が、ISO14001:2026への円滑な移行と、より効果的な環境マネジメントシステムの運用に向けた参考となれば幸いです。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている





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