【2025年最新】ISO14001に改訂予定はある?今後の動向と対応ポイントを解説!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 12 分前
- 読了時間: 6分

▼ 目次
1. はじめに:ISO14001は今、改訂されるのか?
1-1. ISO14001とは?現在の最新版について(2015年版)
ISO14001は、環境マネジメントシステム(EMS)の国際規格で、2015年に大きな改訂が行われた「ISO14001:2015」が現行バージョンです。2025年6月時点では、約10年間改訂されていないことから、次期改訂に注目が集まっています。
1-2. なぜ今「改訂予定」が注目されているのか?
気候変動・脱炭素・ESG経営などの外部要因の急激な変化により、環境に対する期待や責任の水準が上がってきました。コンサル現場でも「今取得してすぐ改訂されたら無駄にならないか?」という相談が増えています。
2. 【結論】ISO14001に改訂予定はある?(2025年6月時点)
2-1. 国際標準化機構(ISO)での改訂動向
ISOでは2025年に入り、ISO14001:2015の「Amendment 2(追補版)」が進行中です。日本規格協会や主要認証機関からも、2026年初頭をめどに新バージョンが発行される予定であると発表されています。
2-2. 2025年~2026年に発行予定のAmendment 2とは?
Amendment(追補)とは、既存規格の構造を大きく変えずに「部分的に明確化・追加する」形式の改訂です。今回は主に「気候変動」「変更管理」などに関する明確化が加えられます。
2-3. ISO14001:2026(仮称)の位置づけと発行時期
正式な規格名は未確定ですが、現時点で2025年12月〜2026年初頭に発行予定の「ISO14001:2026(仮)」は、全面改訂ではなく“強化型のマイナーチェンジ”と捉えられます。
3. 今回の改訂の背景と狙い
3-1. 気候変動とサステナビリティへの国際的要請
企業活動が気候変動にどのような影響を与え、逆にどのような影響を受けるかを問う「リスクベース思考」がISO14001にも求められるようになりました。カーボンニュートラル対応やTCFD(気候関連財務情報開示)との親和性を高めるのが目的です。
3-2. ISOマネジメントシステム共通構造(附属書SL)との整合性
すべてのISOマネジメント規格で使われている「附属書SL」がアップデートされたことで、ISO14001もそれに追従する必要があります。特に、リスク・機会、変更管理、レビューの整理といった部分が整合対象になります。
3-3. 利用者からの「わかりにくい」という声への対応
6.1.1の「リスクと機会」があいまいで理解されにくい、マネジメントレビューが項目間で重複している、などの指摘に対応する形で、構成が整理される見込みです。
4. 想定される主な改訂ポイント【速報ベース】
4-1. 「リスクと機会」項目の再構成(6.1.4)
これまで6.1.1に含まれていた「リスクと機会の特定」が、6.1.4として独立することで、EMSの適用範囲での課題特定がより分かりやすくなります。
4-2. 「変更の管理(6.3)」新設の可能性
従来のISO14001にはなかった「変更管理(Change Management)」の要求事項が追加される見込みです。工程変更・人事変更などの“変更による環境影響”を評価し、計画的に対応する体制が求められます。
4-3. 「マネジメントレビュー」の再整理(9.3)
インプット・アウトプットの内容を明確化し、レビューの実効性向上を狙います。ある企業ではレビューが“会議の報告会”になっていたため、この変更は大きなプラスです。
4-4. 環境側面評価にライフサイクル視点を明記(6.1.2)
製品やサービスの“使用中・廃棄後”まで含めた視点での評価が求められます。製造業・小売業ではこの影響が大きく、すでにLCA(ライフサイクルアセスメント)との連動を始めている企業も出ています。
5. ISO14001改訂スケジュール(2025年6月現在)
5-1. 規格改訂の正式フロー(WD~FDIS)とは?
ISO規格の改訂は以下のフローで進行します:
WD:作業草案(Working Draft)
CD:委員会草案(Committee Draft)
DIS:国際規格案(Draft International Standard)
FDIS:最終国際規格案(Final DIS)
IS:正式発行(International Standard)
5-2. 今後のマイルストーンと時期別対応チェックリスト
時期 | 進行状況 |
2025年2月 | Amendment案公開 |
2025年5月 | 投票・パブコメ期間 |
2025年8月 | Final Draft 公開予定 |
2025年12月 | 正式発行(予定) |
2026年 | 移行期間スタート想定 |
5-3. 現在の規格の有効期限や移行期間の想定
過去の改訂(2015→2004)では3年の移行期間が設けられました。今回も同様に2026年〜2029年が移行期間になると予想されます。
6. 改訂に備えて企業が取るべき準備と対応策
6-1. 現行文書の整備と項番連動性の確認
今のうちに「品質・環境マニュアル」や手順書を、規格項番ごとに整理しておくと移行作業が非常にスムーズになります。コンサルとしてもこの準備を事前に進める企業の方が確実に対応が速いと実感します。
6-2. 気候変動リスクの事前分析と反映(4.1/6.1項への統合)
現行でも「外部課題」として気候変動を扱えます。脱炭素・BCP(災害リスク)・水資源・サプライチェーンリスクなど、自社に関係する項目を棚卸ししておきましょう。
6-3. 既存のEMS運用で見直しやすいポイントはどこか?
環境側面の見直し頻度と根拠
環境目標とパフォーマンス評価の紐付け
変更があった際のリスク・機会の再評価ルール
このあたりは改訂後にチェックされやすくなるポイントです。
7. よくある質問(FAQ)
7-1. 今から取得するなら、改訂後まで待つべき?
待つ必要はありません。ISOは「仕組みを整え、継続的に見直す」ことが本質なので、現行で取得し、改訂に合わせて柔軟に運用する方が得策です。
7-2. すでに認証取得済みの企業はどうすれば?
新規格発行後に「移行審査」が始まります。通常、定期サーベイランス審査や再認証時にあわせて対応すればOKです。
7-3. 改訂対応のために追加費用や審査は必要?
場合によってはマニュアル更新や教育の再実施が必要ですが、審査機関によっては通常審査内で済むこともあります。費用については事前に審査機関へ確認を。
7-4. ISO9001・ISO45001との同時改訂の可能性は?
はい、ISO9001・ISO45001も2025〜2026年に改訂予定があり、附属書SLに沿った内容で連携される見込みです。複数規格を統合している企業は一括対応が効率的です。
8. まとめ:ISO14001改訂にどう備えるべきか
ISO14001の2025年〜2026年改訂は、環境マネジメントの“進化”ととらえるべきです。
今取得しても、すぐに無駄になることはありません。
改訂の本質は「わかりやすさ」「気候変動への対応強化」です。
改訂に備えて、既存の仕組みを再点検することが最良の準備です。
情報を先取りしている企業ほど、移行がスムーズで、社内の理解・定着も進みやすい傾向があります。焦らず、今できることを一つずつ取り組んでいきましょう。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
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