オフィスのISO14001では何に取り組む?環境側面と身近な活動の見つけ方

「工場がない事務所では、紙と電気を減らすくらいしか思いつかない」。オフィスのISO14001を担当すると、毎年同じ目標になり、次に何をすればよいか迷うことがあります。
活動を探すときは、先に目標の言葉を考えるより、普段の仕事で何を使い、何を出し、何を選んでいるかを確かめると整理しやすくなります。賃貸事務所でも、自社が決められること、管理会社などへ相談できることを分けて考えられます。

▼目次
1. ISO14001はオフィスでも取り組める
ISO14001は、組織の規模や業種を問わず利用できる環境マネジメントシステムの規格です。ISOの公式説明でも、資源の使用、廃棄物の管理、環境パフォーマンスの確認などを組織の活動に結び付ける枠組みとされています。工場があることを前提にした規格ではありません。
対象を考える際は、自社の活動・製品・サービスについて、自ら管理できるものや影響を及ぼせるものを見ていきます。事務所の消灯だけでなく、物品の選び方、廃棄の方法、営業での移動なども検討の入口になります。
2026年11月時点ではISO14001:2026が発行されています。適用する版や移行の進め方は認証機関と確認してください。ここでは、事務所の仕事に即して、環境活動を組み立てる方法を説明します。
2. 一日の仕事を、使うものと出るものに分けてみる
環境側面は、仕事が環境と関わる要素です。例えば、社用車での移動には燃料の使用があり、その結果として排出ガスなどの環境影響が生じます。業務名だけを並べず、その仕事で何が起きるかまでたどるのがポイントです。
次は考え方を示す説明用の例です。すべてを同じ重要度で管理するという意味ではなく、自社の実際の仕事にあるかを確認して使います。
資料作成・会議:印刷と機器の使い方
見積書や会議資料を作るときに、紙、トナー、電気を使います。紙で渡す必要がある場面と、画面で確認できる場面を区別します。照明や空調は、必要な明るさ・室温・換気を保ち、使わない時間の運転を見直すという考え方です。
購買・廃棄:買う前と手放すときの判断
事務用品や機器を買うときには、必要な量、長く使えるか、修理できるか、使用時の電力、回収方法などを確認できます。廃棄時も、品物や排出方法に応じて担当者・委託先と処理の方法を確認します。環境に良さそうな商品を増やす前に、不要な購入を減らせるかも考えましょう。
訪問・配送手配:事務所の外で起きる影響
営業の訪問や社用車の利用、物品の配送手配も事務所で決めている仕事です。訪問の必要性、移動経路、配送のまとめ方などを見直せる場合があります。自社が選べる条件と、取引先・委託先へ相談する条件を明確にします。
3. 賃貸オフィスでは、管理できる範囲と数字の対象をそろえる
建物全体の空調を管理会社が運転している場合と、自社の区画で操作できる場合では、できる対策が違います。まず、設備の運転・変更を決める人と、自社で操作してよい範囲を確認します。設備の入替えが難しければ、使用時間や部屋の使い方を相談する方法もあります。
電気の使用量は、金額だけでなく電力量と対象期間を確認します。例えば、明細のkWhは電力量を表します。建物全体と自社区画の数字が混ざっていないか、工場や倉庫と事務所が合算されていないかも確かめます。
社用車の燃料も、ガソリンなどの種類、給油量、対象車両、期間をそろえます。電気と燃料を金額のまま合算すると、何が増えたか分かりにくくなります。最初は元資料の単位で整理し、CO2への換算が必要なら、使う係数や計算条件を別途確認しましょう。
自社分の使用量が分からない場合は、管理会社などに確認できる資料があるか尋ねます。把握できない範囲を推測の実績値で埋めず、確認できた対象と、今後の確認方法を残しておきます。
4. ISOトラストの支援経験:計測と環境影響の洗い出しを一緒に進める
ISOトラストが支援した建設業、運送業、製造業のお客様には、電気や車両のガソリンなどの使用量をどう計測・計算すればよいか分からず、困っていた企業がありました。支援では、ほかのお客様への支援経験も参考にしながら、一緒に計測を進めました。
また、業務ごとの環境との関わりが見えにくいお客様とは、「環境側面抽出・影響評価表」を用いて仕事の内容を洗い出しました。それぞれのプロセスにどのような環境側面があり、どのような環境影響につながるかを整理して、ISO14001への対応を支援しています。
その後、お客様自身が仕事と環境の関係を理解できるようになり、環境負荷を抑える工夫を一緒に考えられるようになった支援例があります。省電力や紙の削減、電子化にもつながっています。こうした確認は、工場や車両を持つ企業の事務所業務を考えるときにも役立ちます。
5. 活動を決めたら、担当・確かめ方・見直す時期を決める
活動候補が出たら、環境影響の大きさ、自社の方針や守るべき条件、改善できる余地などから優先順位を考えます。紙を減らしやすいからという理由だけで、ほかの重要な環境側面を外してしまわないようにします。
例えば、印刷を減らすなら、どの資料を電子化するのか、誰が運用を決めるのか、何を見て結果を確かめるのかをそろえます。説明用の記録案なら、「対象業務/行うこと/担当者/確認資料/見直し時期」という項目で整理できます。これはISOが指定する必須様式ではありません。
使用量が増えたときも、すぐに失敗と決めず、人数、営業日、稼働時間、対象の変更などを確認します。決めた行動が続いたかと、環境への負荷がどう変わったかを見て、次に直すことを決めましょう。
6. オフィスの活動で迷ったときに確認したいこと
最初の打合せには、直近の電気・燃料の明細、現在の環境側面の表、事務所の主な仕事が分かる資料を用意すると話を進めやすくなります。すべてを新しく作る前に、今ある資料で分かることから整理しましょう。
ISOトラストでは、環境側面の洗い出し、使用量の整理、環境活動と記録の運用まで、お客様の業務に合わせて支援しています。何を環境活動にすればよいか、今の数字が正しく整理できているか迷う場合は、ご相談ください。
毎年、新しい活動を増やさなければいけませんか?
新しい活動の数を増やすこと自体を目的にする必要はありません。今の活動に改善の余地があるか、業務や設備が変わっていないか、重要な環境側面を見落としていないかを確かめ、必要な見直しをします。
テレワークにすれば、必ず環境負荷が減りますか?
通勤や事務所の電力が減る可能性はありますが、自宅側のエネルギー使用なども関係します。確認した範囲を明確にして評価し、事務所の数字だけで会社全体の負荷が必ず減ったと結論付けないようにします。
著者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている。





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