ISO14001のライフサイクルの視点とは?身近な具体例で初心者向けに解説

更新日:1 日前

▼目次
1. ライフサイクルの視点とは?製品の前後も考えること
ISO14001の「ライフサイクルの視点」とは、自社の作業中だけでなく、材料が作られてから、製品が使われ、処分されるまでの流れを見て、環境との関わりを考えることです。
たとえば、工場の電気を減らす工夫に加えて、材料の選び方、配送の仕方、使い終わった後の分別まで目を向けます。自社の前後にある工程も見る、と考えるとイメージしやすくなります。
この記事では、専門的な計算方法には踏み込まず、初めての担当者が自社の仕事に当てはめるための考え方を紹介します。ISO14001は2026年版が発行済みです。具体的な対応は、自社の適用規格や審査機関の案内にも照らして確認しましょう。
2. なぜ自社の作業だけを見ていてはいけないの?
自社の中では環境への負担が減っても、別の工程で負担が増えることがあります。前後の流れも見ると、そうした見落としに気づきやすくなります。
たとえば、梱包を減らすことだけを考え、輸送中に製品が壊れやすくなったらどうでしょうか。作り直しや再配送が増えれば、材料やエネルギーを余計に使うかもしれません。梱包の量と製品の保護を一緒に考えることが大切です。
環境のために何か特別な活動を増やす前に、普段の購買・設計・配送などの判断を、流れ全体で見直してみましょう。
3. 5つの場面に分けると考えやすい
① 材料や商品を買うとき
原材料や仕入れる商品に、どんな資源が使われているかを考えます。再生材が使えるか、必要以上に多く仕入れていないか、取引先から必要な環境情報を得られるかなどが、確認のきっかけになります。
② 作る・サービスを提供するとき
電気や水、材料をどのように使い、何を排出しているかを見ます。材料の切り残し、不良品、使い残した薬剤など、普段の改善活動と結び付くこともあります。
③ 包装して運ぶとき
梱包の量や素材、積み方、配送の回数などを考えます。まとめて運べるか、繰り返し使える容器が合うかなど、製品を安全に届ける条件も含めて検討しましょう。
④ お客様が使うとき
使うときに電気や水を必要とする製品なら、その使い方も環境との関わりになります。長く使うための手入れや、無駄を減らす使い方を、分かりやすく伝える方法も考えられます。
⑤ 使い終わったとき
分解や分別がしやすいか、回収や再使用の方法があるかなどを見ます。自社で処分しないものでも、素材の情報や処分時の注意点を伝えられる場合があります。
4. 製造業とサービス業の身近な例
製造業:部品を送る箱を見直す場合
使い捨ての梱包材が多いと気づいたら、通い箱などを検討する方法があります。ただし、回収のための輸送、洗浄や保管、破損しないかも一緒に確認します。容器を変えたら必ず環境への負担が減る、と決め付けず、実際の使い方に合うかを考えましょう。
サービス業:清掃の仕事を見直す場合
清掃サービスでも、洗剤を買う、現場へ運ぶ、必要な量を使う、容器を処分するという流れがあります。使用量を適切にする、詰め替え方法を検討する、容器の分別方法を共有するなど、自社で関われる点を探せます。
オフィス:機器を買い替える場合
パソコンや複合機なら、使用時の電力だけでなく、必要な台数、修理して使えるか、使い終わった機器の回収方法なども考えられます。機器の性能や仕事への影響も確認し、無理のない選択につなげましょう。
5. 自社の仕事に当てはめる4つの手順
① 対象を1つ選んで流れを書く
まずは主な製品やサービスを1つ選び、「買う→作る・提供する→運ぶ→使う→処分する」のように並べます。会社の仕事に合わない段階は、実際の流れに置き換えてかまいません。
② 各段階で環境との関わりを出す
何を使い、何が出るかを短く書きます。例として、材料、電気、水、排気、廃棄物などがあります。分からない工程は、必要な情報を取引先へ確認する候補として残しましょう。
③ 自社でできることを考える
自社で決めて変えられることと、取引先への依頼やお客様への説明で働きかけられることを分けます。すべてを同じ方法で管理しようとせず、関わり方に合う対応を考えます。
④ 重要な点から対応して見直す
自社の評価方法に沿って重要な点を選び、誰が何をするかを決めます。既存の環境側面の一覧や購買の確認項目などに反映すると、日々の仕事につなげやすくなります。製品や取引先、仕事の流れが変わったときは見直しましょう。
6. よくある疑問と勘違い
取引先の仕事をすべて直接管理するのですか?
すべての会社や工程を、自社と同じように動かすという意味ではありません。自社が管理できることや、働きかけられることを考え、重要な環境との関わりに対応します。「自社の外だから何も考えない」という扱いにも注意しましょう。
詳しいLCAの計算が必ず必要ですか?
ライフサイクルの視点と、詳細な数値分析を行うLCA(ライフサイクルアセスメント)は区別して考えます。2015年版に関する解説でも、ライフサイクルの視点だけを理由に詳細なLCAが一律に必要になるとはされていません。別の契約や制度で計算が必要になる場合は、その条件を確認します。
専用の新しい帳票を作る必要がありますか?
専用の用紙を増やすこと自体が目的ではありません。自社で考慮した内容と対応が分かるなら、既存の環境側面の一覧や設計・購買の資料を使って整理する方法もあります。必要な記録の扱いは自社の規格や手順に合わせましょう。
紙・ごみ・電気しか思いつきません
普段の材料の選択、包装、配送、お客様への説明などにも目を向けてみてください。自社の事務所の中だけで考えず、仕事が始まる前と終わった後へ視野を広げると、候補が見つかりやすくなります。
7. まとめ|まずは1つの製品やサービスから
ライフサイクルの視点は、自社の仕事を前後の流れとつなげて見る考え方です。材料を買う前から、使い終わった後までを一度並べ、自社が関われる点を探してみましょう。
最初は対象を1つ選び、「どの段階で」「どんな環境との関わりがあり」「自社で何ができるか」を短く整理するだけでも、検討の出発点になります。重要な点を選び、普段の仕事や改善活動へつなげていくことが大切です。
ISO14001の環境側面や運用の整理でお困りの方は、ISOトラストへお気軽にご相談ください。会社の仕事に合わせ、担当者が理解しやすい仕組みづくりを支援します。
参考資料
著者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている。





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