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ISO9001の出荷判定とは?確認する項目と承認記録の残し方

執筆者の写真: 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
5 日前
読了時間: 6分

更新日:10 時間前

製品はできあがっている。検査表にも数字が入っている。それでも『このまま送って大丈夫ですか』と聞かれたとき、誰が何を根拠に答えるのかが決まっていないと、出荷の直前に確認が集中します。


出荷判定は、必要な確認を終えた製品を、お客様へ渡してよいか判断することです。検査そのものと、出荷を認める判断を分けて考えると、残すべき記録や担当者の役割が整理できます。


出荷判定の記録と梱包した製品を確認する担当者


▼目次



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1. 出荷検査と出荷判定は、役割を分けて考える


出荷検査は、寸法、外観、機能などが決めた基準を満たすか調べる作業です。出荷判定では、その検査結果や必要な確認がそろっているかを見て、製品を引き渡せる状態か判断します。


たとえば寸法は合格でも、指定された成績書が未発行、注文と数量が違う、最新の図面を使ったか不明という状態なら、まだ確認することが残っています。検査表に『合格』と書いてあることと、出荷条件がすべて整っていることを同じにしないようにします。


ISO9001では、製品やサービスを引き渡す前の適合確認と、それを裏付ける記録が重要です。この記事では製品の出荷を中心に説明しますが、報告書や設計データなどの納品でも、確認と承認を整理する考え方は使えます。適用する規格版、顧客との契約、業種固有の条件は正式な資料で確認してください。




2. 何を見て判断する?確認項目の決め方


すべての製品に同じ長いチェック表を使うより、注文や仕様に応じて必要な条件を明確にします。検査項目は、製品の特性、顧客要求、適用される法令、過去の不具合などから決めます。全数検査か抜き取り検査かも、一律の答えで決められるものではありません。


製品と記録の対象が合っているか

品番、注文番号、ロット、数量、仕様・図面の版を照合します。別のロットの検査表を見ていないか、変更前の基準で確認していないかを確かめます。測定値が並んでいても、対象が違えば出荷の根拠にはできません。


必要な検査・確認が完了しているか

決めた合否基準に照らして結果を確認します。空欄、判定待ち、手直し後の再確認漏れがあれば、完了した扱いにしません。数値を測る項目では、使用する測定機器が社内の管理条件を満たしていることも関係します。


納品条件に抜けがないか

必要な場合は、梱包、表示、同梱書類、成績書、納品先、納期なども確かめます。検査部門だけで確認できない項目は、営業や出荷担当との役割分担を決めます。各部門が同じ項目を繰り返すより、誰が確認を完了させるかを明確にしましょう。




3. 出荷を認める人と、代理の判断者を決めておく


『いつも担当している人が判断する』という決め方では、欠勤や急な出荷の際に迷います。出荷判定を行う役割、判断できる製品・案件の範囲、代理を決めます。権限を持たない人が、承認者の名前を代わりに入力する運用は避けましょう。


検査をする人と承認する人を分けると確認を重ねられますが、ISO9001の運用を『すべて別人の押印が必要』と一律に考える必要はありません。製品のリスク、社内で定めた権限、顧客・法令の条件を踏まえ、適切な体制を決めます。


小さな会社で兼任する場合も、判定の根拠と実際に判断した人を記録します。難しい案件を誰へ相談するか、代理者にも必要な力量があるかまで確認しておくと、承認者不在で手順が崩れることを防ぎやすくなります。



4. 承認記録は「対象・根拠・判断した人」をつなげる


出荷判定用の新しい帳票を必ず一枚追加する、という発想から始めなくても構いません。既存の検査表や出荷管理システムに、判定の対象、基準を満たしたことの根拠、出荷を認めた人が分かる形で残せるかを見ます。


次は記録のつながりを考えるための架空の文例です。正式な様式や必須項目を指定するものではありません。扱う製品や契約に合わせて調整してください。


対象

注文番号:Q-026/品番:P-10/対象ロット:L-11/数量:50個


確認の根拠

適用基準:検査基準書P-10・第3版/検査記録:K-026/必要な成績書・梱包確認:完了


判定と承認

判定:出荷可/判定日:○年○月○日/承認者:○○/出荷担当への連絡:完了



5. 保留や不合格があるとき、納期だけで判断しない


検査が未完了、基準から外れた値がある、対象が特定できないといった場合は、まず保留として出荷を止め、理由と確認先を明確にします。『納期が迫っているから先に送る』ことを通常の判断にしてはいけません。


手直しをした場合は、必要な再確認の結果を出荷判定につなげます。元の不合格記録と新しい結果が別々になり、どちらが今回の判断に使われたのか分からなくならないようにしましょう。


通常の条件を満たさない製品の扱いや、確認が完了する前の引き渡しは、関係する権限者による承認や、必要な場合の顧客承認などを含め、別途管理すべき事項です。顧客の了承だけで法令や安全上の条件まで省略できるわけではありません。通常の出荷可の欄だけで処理せず、適用条件と決定内容を残します。




6. 製造業のお客様事例から考える、記録を増やしすぎない工夫


ISOトラストが支援した製造業D社は、取引先の要求に応えるためISO9001の取得を目指していました。限られた予算と、担当者1名での対応が課題でしたが、支援後は認証を取得し、取引先の要求への対応と新規契約の獲得につながっています。


この事例で公開しているのは取得の背景と支援後の変化です。D社の出荷判定の手順や帳票を公開しているわけではありません。ここからは、同じように少人数で取り組む会社へ向けた弊社の提案です。


出荷記録を見直すなら、最初に『一件の出荷について、判定の根拠を何枚の書類から探すか』を確かめてみてください。検査表に判定欄を加える、注文番号で成績書と結ぶ、保留理由と解除の記録を同じ場所で確認できるようにする、といった整理が考えられます。


最初の一件を、注文書から検査結果、承認、出荷までたどってみると、重複入力と不足が具体的に見えてきます。出荷判定の役割や記録を、自社の人数と仕事の流れに合わせて整えたい場合は、ISOトラストへご相談ください。



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著者情報

金光壮太 (ISOコンサルタント)

大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている。

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